明日咲く花

花より男子の2次小説になります。

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2018

baroque 88

つくしを送り出した後、総二郎は雛子との待ち合わせの美術館に向かった。雛子と二人で会うようになって何度目になるのだろうか? コロコロと楽しそうによく笑う雛子との時間は、出会った頃のつくしと居るようで総二郎にとってかけがえのないものになりつつある。「総二郎さん、見て見て」雛子の瞳が総二郎を見つめる。一心に見つめる雛子が可愛くて「雛ちゃん、総って言ってみてよ」そう口にしていた。「そ、総…さ…ん」「さんじゃ...

15

2018

紅蓮 106

高層ビルの眼下を見下ろしながら、眉の付け根を二本の指で解した。宗谷の胸の奥に芽生えた小さな疑念は、日増しに大きく膨らんでいく。思い出すのは、以前、司に投げられた言葉の数々……言われた当初は、つくしを取り戻すための心理作戦だと思い込んでいた。だが……「宗谷さんは、何でも良くご存知でいらっしゃる__ならば、設楽先生の奥様が、美繭さんがお亡くなりになられた時に近くに居た事ご存知ですよね」「__彼女、あの海の...

13

2018

紅蓮 105

「わたし、とわちゃん 」巻き毛を風に揺らしながら玲の前に手を出した。黒真珠のような玲の瞳が永遠を見つめたあと、白い歯を見せながらニッコリと笑う。同じ年頃の子故にか?それとも……数奇な運命を持ち生まれた二人だからなのか? 二人は瞬く間に仲良くなった。目を見合わせて、クスクスと笑い合う姿は小さな恋人同士のようで、あまりの可愛さに永遠のガヴァネスの佐久間も宗谷家の使用人達も微笑みを浮かべた。玲の瞳に蝶々が...

09

2018

おとなの掟 〜滅びの呪文〜

真っ白な、真っ白な美しい羽が天井から舞い落ちてくるゴシゴシと目を擦る。___もう一度目を擦る。「__し、_くし、つくし、どうしたの?」「あっ、あぁ」世界にいつも通りの情景が戻って来る。なんでもない風を装いながらあたしは首を振る。「もしかして酔っ払った?」「ハハッ、そうか__も」真っ白な羽が天井から降って来たなんて誰に言っても信じて貰えなどしないから口を噤んだ。マズイ__あたし、酔っ払ってる?「ねぇ...

09

2018

紅蓮 人物紹介

紅蓮関連人物紹介(ネタバレ含みますので、100話以降にお読み下さい)宗谷つくし(*旧姓 牧野)司と別れた後、西門の家で世話になっていた。そこで宗谷と出会い結婚。現在は、宗谷と設楽の手に寄り虚偽記憶を植え付けられている。道明寺司道明寺財閥を守るために、つくしと別れ政略結婚を選んだ。現在は円満離婚。つくしを取り戻すため、奮闘する宗谷凌 (そうや りょう)つくしの現在の夫。愛する女性 美繭(異母姉だと思っている)が...

07

2018

baroque 87

それは誰かが意図したわけではなく、偶然だった。薫は一緒に乗り込んでいた護衛の者に声を掛けてから、眠るつくしを起こさないように静かに隣に腰掛けた。何か夢でも見ているのか?つくしがどこか苦しげに寝返りを打つ。こけた頬に色濃く出た隈が化粧の上からでもわかる。随分とやつれたつくしの寝顔を眺めながら、久しく見ていないつくしの笑顔を思い出す。つくしには、いつでも笑顔でいて貰いたかった。なのに……自分は今、つくし...

03

2018

baroque 86

「私の顔に何かついてます?それとも見惚れちゃいましたか?」雛子に真っ直ぐに見つめられた。「あっ、ごめん……あっ、いや、すみません」「あらっ、そのごめんと、すみませんは何に対してかしら?」「あっ、いや…」「ぷっ そんなに言い訳しないっ」総二郎を真っ直ぐに見つめたあと、雛子は鈴を転がすように美しい音色で笑った。雛子の屈託のない笑い声に釣られて総二郎も笑い出す。「もぉ、笑い過ぎっこれでも若宗匠に憧れる乙女...

28

2018

無花果の花は蜜を滴らす 09

バタンッと扉が閉まれば、この部屋特有の甘い香りがあたしを包む。「つくし、とってもいい子だったね」万里くんはそう言うと満足そうな微笑みを一つ浮かべた。「学校もそろそろ行かなきゃね」「行ってもいいの?」「もちろんさ。いい子にするって約束守れてるしね」繋がれていた指先が解けて、テーブルに置かれた錠剤と水の入ったグラスをいつもの様に手渡された。万里くんは、あたしが嚥下するのを確かめたあと、あたしの髪を撫で...

22

2018

紅蓮 104 つかつく

「かぁしゃま、ねんね?」宗谷は首を傾げそう聞く永久の頭をひと撫でしてから眠り続けるつくしを見下ろした。永久が宗谷を見上げ「とぉしゃまナイナイよ」紅葉のような小さな手で宗谷の頬を持ち上げて「ニッコリよぉ」そう口にした。「永久……」「かぁしゃま ニッコリすきよぉ」「……こうか?」宗谷が微笑めば、小さな手の平を合わせてパチパチと手を叩く。 「そう……だな。母様はニッコリが好きだな」永久の温かい手がもう一度頬に触...

12

2018

紅蓮 103 つかつく

「とぉしゃま、いってらぁしゃい」「あぁ、母様と二人良い子で待っているんだよ 」「あぁーい」宗谷は娘の永久を抱き上げ頬にキスを一つ落としてから、佐久間に引き渡した。佐久間は手を振る永久と共に奥の部屋に下がっていった。回り廊下を歩きながら「つくし、永久のこと、くれぐれも頼むよ。それと……「外に出るなですよ……ね」「まだこの前のこと怒っているのか?仕事が一段落したら三人で旅行にでも行こう永久が見たがっていた...

08

2018

無花果の花は蜜を滴らす 08

千暁さんは、あたしの手を取り「つくし行くぞ」そう言ってくれたのに……あたしの身体は動かない。まるで全てがわかっているかの様に瞳子おば様は、優雅な仕草でベルを鳴らし執事を部屋に呼んだ。「鴇田、千暁さんにお帰り頂いて」執事が三回手を叩くと黒服の屈強な男達が現れて、「つくし、一緒に来るんだ」と叫ぶ千暁さんを引きずっていった。いつのまにか隣に来ていたおば様が、あたしの髪をゆっくりと撫ぜている。そして連れて行...

05

2018

baroque 85

「ふぅっーー」浴びるほどに酒を飲みグデングデンに酔っ払った薫を部屋まで担ぐ様に連れて来た。ベッドに寝かせて靴を脱がせたあと、悠斗は薫の眠るベッドの脇に腰を掛けた。「ハァッー 」ため息を吐き、眠る薫の顔をジッと見つめた。長い付き合いの中、どれだけ飲んでも酔うことなどなかった。いや、馬鹿みたいに酒を飲むなどなかった。薫がこんなにも酔うなど、目の当たりにしている今でさえ信じられぬ思いでいっぱいだ。「コイ...