曇天 6 あきつく
雪が降りそうな寒さになってきた‥‥
外の寒さと、比例するかのような牧野のテンションの低さ‥
反比例するかのような、五木専務のテンションの高さ‥
何となく居心地が悪い‥… 3人での食事が始まる。
「美作部長は、何がお好きですか?ここはなんでも美味しいですよー なっ、牧野」
「特に好き嫌いはありませんので何でも大丈夫ですよ。」
「そうですか。では‥… いつものシェフのお任せでいいかな? 牧野もいつものでいいよね。飲み物も牧野はいつもので大丈夫かな?」
五木専務が、いつものいつものを連発する度に、
少しだけ眉間に皺を寄せる牧野に思わず笑いそうになる。
「はぁ。では、シェフのお任せと、アペリティフは、クリュッグでお願い致します」
いつものでは済まさず、言い直しをしている姿が可笑しくて、可笑しくて
「学生時代の友人と言う事は、牧野とは随分と久しぶりなんじゃないですか?」
五木専務が聞いてくる。3日前に一緒に商店街で買い物してました。とは、なんとなく言い難い雰囲気で‥…考えあぐねる。
「いいえ。美作さんとは3日前にお会いしてます。」
きっぱりはっきり牧野が五木専務に向かって返答していた。
「‥…えっ” そ、そ、そうなんだ‥…」
ニコリと笑みを返しながら
「はい。」
と、言い切っている。
俺は目を白黒させながら、傍観者になり切っていた。
牧野のテンションが浮上していくのが解る。食事に舌鼓を打ちながら、よく食べよく飲み、よく話す。
反比例するかのように、目の前の美丈夫のテンションは下がっていく‥…
「五木専務は、本社にはいつお戻りになるんですか?」
ヒュゥーーー 快適な部屋の温度が3度程下がった気がしたのは気のせいじゃない‥‥
「はっはっ‥」
吹けば飛んでってしまいそうになってる五木専務‥他人事ながら気の毒になる。
チラッと牧野を見ると、アペリティフで酔いが回ったのか?
メインの肉を前にして歌でも唄いそうな勢いだ‥…
それにしてもだ、本当にこいつはいつでもどこでも美味そうに飯を食う。
牧野が食ってると、コンビニのオニギリだって美味そうに見えるんだろうな。
「五木専務は、こちらに来てどれくらいなんですか?」
「あっ、3ヶ月になります。」
「では、まだまだ本社にはお戻りになられないのではないですか?」
「そうそうそうですよ。まだ来たばかりで、何の成果もあげてませんしね。戻れませんよ。牧野そう言う事だ。そういう事。俺はまだ戻らない。」
「はぁー そうですか。」
余計な事をいうなとばかりに...キッと小さく睨まれる… 怖ぇーー
「...い、い、五木専務のクリスマスのご予定は?」
「ルノールのパーティーへ出る予定です。」
「これは、奇遇ですね私もですよ。またそちらでお会いできますね。」
「えぇーそうですね。」
「コホンッ。牧野もルノールに来るように...」
「あらそれでしたら、最初から美作さんと伺う予定でおりますわ。」
えっ” 俺誘ったっけ? 確かに今晩あたり電話でもして誘おうかと思っていたが…
怪訝そうな俺に
「そうでしたよね?美作さん」
余計な事は言うなの視線で俺を見る。
「...はい。」
俺は頷くしかなかった。
冷たくなった空気を払拭するかのように、タイミングよくデザートが運ばれる...
ホッ 取りあえず牧野はご機嫌になるだろう。
「うわぁっ~ 美味しそう ♡ いっただきまーす」
牧野の笑顔に、安堵する...
それにしても、この3人での食事は心臓に非常によろしくない。
次の機会が無い事を切に願おう。
「五木専務、本日は大変ご馳走様でした。今度は私の方からお誘いさせて頂きます。」
「いえいえ、突然お誘いしてしまって申し訳なかったです。この後いっぱい飲みにで」
遮るように
「この後、美作さんと共通の友人と会う約束がありますので、これで失礼致します。」
見事なほどの慇懃無礼な対応で、俺の手を引く牧野。
引きずられながら店を出る俺...
「はぁぁっーーー 美作さんゴメンね! ホントあいつ、しつこいのよね」
おぃおぃ曲がりなりにもお前の会社の専務だろ? あいつって…
「あぁーー疲れた〜もう美味しいもん食べてても、あいつと一緒だと味もわからなくなっちゃうのよね〜」
プリプリ怒ってるけど、お前すんげぇー美味そうに食ってたぞ‥…
「‥…って、五木専務ってかなり男前じゃねぇ?」
「顔はねぇー 確かにハンサムかな?まぁ、スペック的には満点なんだろうねー」
「でもねぇーー あいつしつこいのよ。何かって言うと、ご飯行こうだ。飲みに行こうだ。パーティーに付きあえだ。ピーチクパーチク五月蝿いの」
それって牧野に気があるって事じゃないのか?
「上司だし、断れないから付き合ってるのに、俺の女感バリバリだすし‥もう鬱陶しいたらありゃしないのよーーーで、何をとち狂ったか、社長達を巻き込んで結婚してくれだよ?」
「断ったら流石に居づらくなって、退社届け出したらさぁー プロポーズ撤回するから辞めないでくれって言われたから、東京に勤務地変更出したんだよ。それなのに、追いかけて来て、あいつも東京勤務って?ありえないっつーの‥…」
で、でも五木商事の御曹司で、バリバリやり手で、あの容姿なら大概の女は喜ぶんじゃねぇの?
「なので、ルノールのパーティー宜しくお願いします。」
丁寧にお辞儀をしてくる牧野。
「あぁ。牧野あそこのチョコ好きって言ってたから‥商店街探検のお礼に丁度誘おうとおもってたとこ。」
「覚えててくれたんだー 嬉しい。ありがとうね。」
多分‥…いいや絶対に、五木専務も牧野のルノール好きを覚えてて誘ったんだと思うぜ。
それにしても、だ。俺の立ち位置って何なんだろか?
気の合う仲間? お兄ちゃん? そんなとこかな‥…
ふと空を見上げると‥…雪が降って来ていた。
寒いと感じる筈だ‥…
★曇天 不定期連載中 更新予定は掲示板をご覧下さい。(リンクから飛べます)
↓ランキングのご協力よろしくお願い致します♥

にほんブログ村
♥ありがとうございます。とっても嬉しいです♥
外の寒さと、比例するかのような牧野のテンションの低さ‥
反比例するかのような、五木専務のテンションの高さ‥
何となく居心地が悪い‥… 3人での食事が始まる。
「美作部長は、何がお好きですか?ここはなんでも美味しいですよー なっ、牧野」
「特に好き嫌いはありませんので何でも大丈夫ですよ。」
「そうですか。では‥… いつものシェフのお任せでいいかな? 牧野もいつものでいいよね。飲み物も牧野はいつもので大丈夫かな?」
五木専務が、いつものいつものを連発する度に、
少しだけ眉間に皺を寄せる牧野に思わず笑いそうになる。
「はぁ。では、シェフのお任せと、アペリティフは、クリュッグでお願い致します」
いつものでは済まさず、言い直しをしている姿が可笑しくて、可笑しくて
「学生時代の友人と言う事は、牧野とは随分と久しぶりなんじゃないですか?」
五木専務が聞いてくる。3日前に一緒に商店街で買い物してました。とは、なんとなく言い難い雰囲気で‥…考えあぐねる。
「いいえ。美作さんとは3日前にお会いしてます。」
きっぱりはっきり牧野が五木専務に向かって返答していた。
「‥…えっ” そ、そ、そうなんだ‥…」
ニコリと笑みを返しながら
「はい。」
と、言い切っている。
俺は目を白黒させながら、傍観者になり切っていた。
牧野のテンションが浮上していくのが解る。食事に舌鼓を打ちながら、よく食べよく飲み、よく話す。
反比例するかのように、目の前の美丈夫のテンションは下がっていく‥…
「五木専務は、本社にはいつお戻りになるんですか?」
ヒュゥーーー 快適な部屋の温度が3度程下がった気がしたのは気のせいじゃない‥‥
「はっはっ‥」
吹けば飛んでってしまいそうになってる五木専務‥他人事ながら気の毒になる。
チラッと牧野を見ると、アペリティフで酔いが回ったのか?
メインの肉を前にして歌でも唄いそうな勢いだ‥…
それにしてもだ、本当にこいつはいつでもどこでも美味そうに飯を食う。
牧野が食ってると、コンビニのオニギリだって美味そうに見えるんだろうな。
「五木専務は、こちらに来てどれくらいなんですか?」
「あっ、3ヶ月になります。」
「では、まだまだ本社にはお戻りになられないのではないですか?」
「そうそうそうですよ。まだ来たばかりで、何の成果もあげてませんしね。戻れませんよ。牧野そう言う事だ。そういう事。俺はまだ戻らない。」
「はぁー そうですか。」
余計な事をいうなとばかりに...キッと小さく睨まれる… 怖ぇーー
「...い、い、五木専務のクリスマスのご予定は?」
「ルノールのパーティーへ出る予定です。」
「これは、奇遇ですね私もですよ。またそちらでお会いできますね。」
「えぇーそうですね。」
「コホンッ。牧野もルノールに来るように...」
「あらそれでしたら、最初から美作さんと伺う予定でおりますわ。」
えっ” 俺誘ったっけ? 確かに今晩あたり電話でもして誘おうかと思っていたが…
怪訝そうな俺に
「そうでしたよね?美作さん」
余計な事は言うなの視線で俺を見る。
「...はい。」
俺は頷くしかなかった。
冷たくなった空気を払拭するかのように、タイミングよくデザートが運ばれる...
ホッ 取りあえず牧野はご機嫌になるだろう。
「うわぁっ~ 美味しそう ♡ いっただきまーす」
牧野の笑顔に、安堵する...
それにしても、この3人での食事は心臓に非常によろしくない。
次の機会が無い事を切に願おう。
「五木専務、本日は大変ご馳走様でした。今度は私の方からお誘いさせて頂きます。」
「いえいえ、突然お誘いしてしまって申し訳なかったです。この後いっぱい飲みにで」
遮るように
「この後、美作さんと共通の友人と会う約束がありますので、これで失礼致します。」
見事なほどの慇懃無礼な対応で、俺の手を引く牧野。
引きずられながら店を出る俺...
「はぁぁっーーー 美作さんゴメンね! ホントあいつ、しつこいのよね」
おぃおぃ曲がりなりにもお前の会社の専務だろ? あいつって…
「あぁーー疲れた〜もう美味しいもん食べてても、あいつと一緒だと味もわからなくなっちゃうのよね〜」
プリプリ怒ってるけど、お前すんげぇー美味そうに食ってたぞ‥…
「‥…って、五木専務ってかなり男前じゃねぇ?」
「顔はねぇー 確かにハンサムかな?まぁ、スペック的には満点なんだろうねー」
「でもねぇーー あいつしつこいのよ。何かって言うと、ご飯行こうだ。飲みに行こうだ。パーティーに付きあえだ。ピーチクパーチク五月蝿いの」
それって牧野に気があるって事じゃないのか?
「上司だし、断れないから付き合ってるのに、俺の女感バリバリだすし‥もう鬱陶しいたらありゃしないのよーーーで、何をとち狂ったか、社長達を巻き込んで結婚してくれだよ?」
「断ったら流石に居づらくなって、退社届け出したらさぁー プロポーズ撤回するから辞めないでくれって言われたから、東京に勤務地変更出したんだよ。それなのに、追いかけて来て、あいつも東京勤務って?ありえないっつーの‥…」
で、でも五木商事の御曹司で、バリバリやり手で、あの容姿なら大概の女は喜ぶんじゃねぇの?
「なので、ルノールのパーティー宜しくお願いします。」
丁寧にお辞儀をしてくる牧野。
「あぁ。牧野あそこのチョコ好きって言ってたから‥商店街探検のお礼に丁度誘おうとおもってたとこ。」
「覚えててくれたんだー 嬉しい。ありがとうね。」
多分‥…いいや絶対に、五木専務も牧野のルノール好きを覚えてて誘ったんだと思うぜ。
それにしても、だ。俺の立ち位置って何なんだろか?
気の合う仲間? お兄ちゃん? そんなとこかな‥…
ふと空を見上げると‥…雪が降って来ていた。
寒いと感じる筈だ‥…
★曇天 不定期連載中 更新予定は掲示板をご覧下さい。(リンクから飛べます)
↓ランキングのご協力よろしくお願い致します♥

にほんブログ村
♥ありがとうございます。とっても嬉しいです♥
スポンサーサイト