ずっとずっと 67
嬉しい事も、楽しい事も、悲しい事も、辛い事も、あらゆる感情が彼女といると増幅する。
幸福感に包まれた瞬間に、奈落の底に落とされる気分にだってさせられる。
彼女に恋して、幸せなのに。僕のなかに澱が溜まっていく。
部屋から中々戻らないつくし。やっと戻ってきたと思ったら、初恋の男の名を、口にする。僕の感情が乱れ、大人げない対応をとってしまった。
生涯を共にすると決めてくれた彼女、一緒に居てくれるだけで幸せな筈なのに、もっと僕を見て、もっと僕を愛して、もっともっとと望んでしまう。隠しても隠しても零れ落ちていく僕の修羅……
「薫……何か怒ってる?」
おずおずと彼女が問うてくる。僕はつくしを抱きしめ
「僕の側に居ない時、君に何かがあったらと考えると気が変になりそうなんだ。」
「……薫」
「つくしに窮屈な思いをさせてしまうのは、承知している。でもお願いだから僕の頼みを聞いて……でないと僕はつくしをこの部屋から出せなくなる。」
僕の胸の中で、項垂れながら話しを聞く彼女。
「つくしの自由を奪いたくは無い。だけど、宝珠に嫁ぐという事はそういう事だと理解して欲しい。」
違う、これは僕のエゴだ。君を守る為だけなら、いまはまだ、今と同じような護衛で事足りるだろう。
君の口から、類君の名前が出て僕は狼狽えたんだ。
君が一人じゃないと、気づいてしまう事に僕は恐れ戦いたんだ。
だけど僕は、君を失えない。
僕は賭けに出た。
何も答えない君の身体を、僕の腕の中から手放し、向きを変える
「やっぱり宝珠には来れないと思った?もう嫌になっちゃったかな?もし嫌なら‥今なら引き返せるよ」
僕は君に優しく、だけど突き放す。
「薫‥…」
「つくし、君のしたいようにしていいから。」
彼女に言い捨て、僕は自室に籠る。
これは賭けだ。
彼女に、自分自身で選ばせるため。
自分自身で選んだんだと自覚を植え付けるため。
***
一時間ほど経った頃だろうか、ノックの音がする。
トントン
「薫‥入ってもいい?」
僕は、つくしを迎え入れる。
優しい微笑みを投げかけ、ソファーに腰掛けさせる。
「あたしにSPを付けて。」
君の指を絡めとり、僕は答える
「無理しなくていいんだよ。」
そう答える。
僕の指は君の指を愛撫する。もう放さないと愛撫する。
僕が抱き続けた君の躯は、正直に反応しだす。
君の指を放し、僕は君にもう一度
「僕は君を愛してる。愛してるから君が嫌がる事は強要したくないんだ。無理はしないで」
君は首を振りながら‥…
「無理なんてしてない。あたしにSPをつけて。」
つくし、僕の可愛いつくし。
一度手放した指をもう一度絡めとり、唇で愛撫する。
「本当にいいんだね?」
「うん。お願いします。」
君の行動は僕の手の中にある。
君はもう逃げれない。
いいや、君はもう逃げない。
僕は賭けに勝ち、
君の心に杭を打ち、君を雁字搦めに縛り付ける
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