無花果の花はうちに咲く ~過去03~ 類つく
消えた温もりを探すように目覚めれば、ベッドの中から彼女は消えていた。あれほど深い快楽を共にしたと言うのに、一人残されたと思うと良くわからない激しい感情が湧いてきた。
数日経った昼下がり、車を走らせ彼女の通う高校に向かった。校門近くで車を止めさせ暫く待てば、運良く彼女が出てきた。長い黒髪を緩い三つ編みにまとめ、女友達と連れ立った彼女は楽しそうに笑っていた。
窓を開け、声をかけようとした瞬間……
「牧野!」
長身の男が彼女の名を呼び後を追い掛けてくる。彼女は立ち止まり、いくつか言葉を交わしたあと男と一緒に歩き出した。俺の乗る車の横を彼女が通り過ぎていく。俺には決して向けられる事のない笑顔を浮かべている。
胸がズキンと痛んで
「……淫…乱女」
吐き出すように呟いていた。そして決めた。彼女を蹂躙しようと。
その夜、彼女の携帯のダイヤルを回した。
RRRR
『……はい』
訝しげな彼女の声が受話器から聞こえてくる。場所と時間を告げた。彼女はなにも答えずに黙ったままだった。
『牧野つくし16才か。へぇ、あんた、随分と進学校に通ってるんだね。
そうそう、明日は友達の家にでも泊まるって言っておいてよ。ねっ』
彼女を脅すように言葉を発して電話を切った。
制服姿の彼女は普段の彼女より少し幼く感じる。なのに……彼女の身体からは淫らさが漂ってくる。
ブレザーを脱がし、ネクタイを外す。スカートの裾から太腿を撫で上げれば、もう既に甘い蜜を滴らせ男を咥える準備をしている。
「やっぱりあんた、凄い淫乱だよね」
彼女は、俺から逃れるように視線を外し瞳を閉じた。瞼に口づけを落とす。彼女の瞳は閉じたまま、微かに長い睫毛が揺れている。シャツの鈕をゆっくりと外す、ブラのホックが外して同時に腕から抜いていく。
抜けるように白い肌と、形のよい乳房が露になる。貪りたい気持ちを抑え、両方の掌で螺旋を描くようゆっくりと優しく撫で上げ、恍惚の表情を浮かべた瞬間、鷲掴みにする。痛さのあとの感触はより極上の刺激へと変化を遂げていく筈だ。白い肌が淡桃色に変わり乳首が固く尖り始めていく。彼女の呼吸は乱れ、身体は熱を増し、支えなしでは倒れてしまいそうな程に身体を奮えさせている。
「俺の目を見て、欲しいって言いなよ」
耳朶を舐りながら彼女に囁けば
黒真珠のような彼女の瞳が俺を見て
「欲…し…い」
と震る声で口にした。
乳首を捏ねるように摘まみあげれば、ビクンビクンと身体が揺れ、切なそうに声を出す。
「胸だけでイケちゃうんだ。流石だね。そうそう、御堂、静と寝たみたいだよ」
彼女は悲しそうに目を伏せた。
吐き気がするほどに嫌な女だ。自分は他の男の愛撫によがっている癖に、御堂の不実を悲しがるなんて……気を失うまで幾度も幾度も貫いた。
白いシーツの上に広がる黒髪、月明かりに浮かぶ白い肌に魅せられながら激しく憎悪した。
愛の隣に憎しみが在るなんて……俺は知らなかったんだ。ただ、ただ憎かった。自分に靡かない彼女が。他の男に心を寄せる彼女が。
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