禁花~愛しいあなた~03
刹那________今まで感じる事のなかった欲情があたしを襲った。
悪魔が囁いた。この欲情にのってしまえと。どうせ住む世界が違う男だ。総二郎を利用して何もかも壊してしまえと________
欲のこもった目で、総二郎の心配げな瞳を真っ直ぐに見つめ、総二郎の首に手を回した。
総二郎とのキスはその日飲んだどのワインよりも甘美な味がした。あたしは夢中で総二郎を貪った。総二郎に跨り、激しく腰を振り、嬌声を上げた。
淡白だと思っていたあたしの身体は、驚くほどに貪欲で小さな刺激さえも快楽に姿を変えさせた。数え切れないほどの絶頂の渦に堕とされて、あたしはこの日初めて雌になった。
何度も何度もイカされて、何度も何度も二人でイッた。
指先でさえ1ミリたりとも動かせないほどに疲れ果てて二人で眠りについた。
小一時間ほど眠って目が覚めたのは、気分が昂っていたからなのだろうか?それとも普段の激務で短時間睡眠に慣れていたからなのか、どちらにせよ助かったと思って脱ぎ散らかしていた服を身につけ、部屋を出た。
マンションのエントランスでタクシーを降りると、そこには彼が待っていた。
「「どうしたの?」」
声が合わさって、思わずくすりと笑ってしまった。彼は酷く驚いた顔をしてから
「君が勘違いしてるんじゃないかと心配になったんだ」
そう言いながら、あたしを抱きしめようとした。
あたしは、彼の手を無意識に払いのけていた。呆然とあたしを見る彼に、見知らぬ男に抱かれ何度も腰をふり、貴方とは感じたことのない絶頂を感じた。と言っていた。
あたしは、仕事も信用も将来の安定も穏やかな幸せも全て失い、ついでに婚約不履行の慰謝料と、結婚式場のキャンセル料の支払いでそれまでの貯金も殆ど失った。
代わりに自由と身軽さを手に入れた。
時間が出来たあたしは、宵越しの金はもたねぇを実践するが如く、バカンスに旅立つ事に決めた。マイルがかなり溜まっていたので、一生に一度の贅沢とばかりに奮発してファーストクラスをとった。
ファーストクラス用のラウンジでマカロンを食べようとしたまさにその瞬間_______
「ヨッ」
声を掛けられ、振り向けば総二郎が立っていた。
二度目の再会はあの日の快楽を風化するのには短い月日過ぎた。
総二郎に会った途端、あたしの身体は全身で総二郎を求める。
テニイレロ
テニイレロ
この男を手に入れろと。
総二郎は仕事。あたしはバカンス。
なのに、夜は一緒に過ごし、あたしは毎晩総二郎を貪り、総二郎はあたしを貪った。
総二郎の身体にあたしは溺れ、総二郎はあたしの身体に溺れた。
その関係は、バカンスから日本に戻ってからも続いている。
何度も何度も離れようとした。
なのに____あたしの身体は、総二郎が齎す快楽を求める。
総二郎を愛し始めたのは、二つの季節が過ぎた頃だった。
総二郎を愛するなんて、愚かなことだと自分で自分を笑った。
お茶席での禁花があるように、
貴方はあたしの禁花で、
あたしは貴方の禁花だ。
住む世界が違うのだから____仕方ない。
なのに、あたしの心は、あたしの身体は、総二郎を求める。
だから、あたしは愛を求めない。
愛と言うルールが無ければ、あたしはあたしで許されるのだから。
総二郎の全身にキスを降り注ぐ。愛してるの言葉の代わりに_____

ありがとうございます
悪魔が囁いた。この欲情にのってしまえと。どうせ住む世界が違う男だ。総二郎を利用して何もかも壊してしまえと________
欲のこもった目で、総二郎の心配げな瞳を真っ直ぐに見つめ、総二郎の首に手を回した。
総二郎とのキスはその日飲んだどのワインよりも甘美な味がした。あたしは夢中で総二郎を貪った。総二郎に跨り、激しく腰を振り、嬌声を上げた。
淡白だと思っていたあたしの身体は、驚くほどに貪欲で小さな刺激さえも快楽に姿を変えさせた。数え切れないほどの絶頂の渦に堕とされて、あたしはこの日初めて雌になった。
何度も何度もイカされて、何度も何度も二人でイッた。
指先でさえ1ミリたりとも動かせないほどに疲れ果てて二人で眠りについた。
小一時間ほど眠って目が覚めたのは、気分が昂っていたからなのだろうか?それとも普段の激務で短時間睡眠に慣れていたからなのか、どちらにせよ助かったと思って脱ぎ散らかしていた服を身につけ、部屋を出た。
マンションのエントランスでタクシーを降りると、そこには彼が待っていた。
「「どうしたの?」」
声が合わさって、思わずくすりと笑ってしまった。彼は酷く驚いた顔をしてから
「君が勘違いしてるんじゃないかと心配になったんだ」
そう言いながら、あたしを抱きしめようとした。
あたしは、彼の手を無意識に払いのけていた。呆然とあたしを見る彼に、見知らぬ男に抱かれ何度も腰をふり、貴方とは感じたことのない絶頂を感じた。と言っていた。
あたしは、仕事も信用も将来の安定も穏やかな幸せも全て失い、ついでに婚約不履行の慰謝料と、結婚式場のキャンセル料の支払いでそれまでの貯金も殆ど失った。
代わりに自由と身軽さを手に入れた。
時間が出来たあたしは、宵越しの金はもたねぇを実践するが如く、バカンスに旅立つ事に決めた。マイルがかなり溜まっていたので、一生に一度の贅沢とばかりに奮発してファーストクラスをとった。
ファーストクラス用のラウンジでマカロンを食べようとしたまさにその瞬間_______
「ヨッ」
声を掛けられ、振り向けば総二郎が立っていた。
二度目の再会はあの日の快楽を風化するのには短い月日過ぎた。
総二郎に会った途端、あたしの身体は全身で総二郎を求める。
テニイレロ
テニイレロ
この男を手に入れろと。
総二郎は仕事。あたしはバカンス。
なのに、夜は一緒に過ごし、あたしは毎晩総二郎を貪り、総二郎はあたしを貪った。
総二郎の身体にあたしは溺れ、総二郎はあたしの身体に溺れた。
その関係は、バカンスから日本に戻ってからも続いている。
何度も何度も離れようとした。
なのに____あたしの身体は、総二郎が齎す快楽を求める。
総二郎を愛し始めたのは、二つの季節が過ぎた頃だった。
総二郎を愛するなんて、愚かなことだと自分で自分を笑った。
お茶席での禁花があるように、
貴方はあたしの禁花で、
あたしは貴方の禁花だ。
住む世界が違うのだから____仕方ない。
なのに、あたしの心は、あたしの身体は、総二郎を求める。
だから、あたしは愛を求めない。
愛と言うルールが無ければ、あたしはあたしで許されるのだから。
総二郎の全身にキスを降り注ぐ。愛してるの言葉の代わりに_____
ありがとうございます
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