無花果 最終話
彼女は、俺の目を真っ直ぐに見ながら緩やかに微笑み
「重くてすみません」
そう謝った。
「俺を愛してくれてありがとう」
俺は、冷静に振り返れば恥ずかしい言葉を……でも、自分の気持ちそのままの言葉を返していた。
生きててくれて______
再びあらわれてくれて_____
俺を愛し続けてくれて_____
ありがとう。
「そんな風に言って後悔しても知りませんよ。私の愛_____本当に重いんですよ。なんせ年季が入ってますんで」
「うん。ありがとう。でもきっと俺の愛も重いよ。
俺もつくし、あんたにずっとずっと会いたかった」
あの頃の俺達は、お互いのことを知らなかった。彼女が持つ諸々の事情も俺の捻じ曲がった気持ちも互いに知らなかった。
でも___________
再びこうして会えた。
俺は彼女を抱きしめる。力いっぱい抱きしめる。二度とこの手の中から消えてしまわないように
俺の胸の中にスッポリと収まる彼女が愛おしい。
「あの日……俺が素直にあんたを愛してるって言えてたら……」
俺の言葉に、俺の腕の中で彼女は首を振り
「あの日……心が通じ合っていたら、多分……悲恋っていうのに変わってました」
彼女のその言葉に全てが込められているのだろう。あの日……心が通じ合っていたら、俺は彼女を離せなかった。
彼女を奪おうとする俺を櫻之宮は決して許しはしなかっただろう。
「ごめん……もしもを軽々しく口にして」
彼女は俺を見上げ
「……違うんです。本当に良かったなって。だって、あの日気持ちが通じ合ってたら、私きっとあなたとの恋を思い出にするだけで満足してたと思うんです」
彼女の瞳が涙でキラキラと光る。俺はもう一度強く彼女を抱きしめ唇を合わせた。
その後、朝までいろんな国の話しをした。俺のよく知る国の話もあれば、全く知らない国の話もあった。国々のいろんな風習を教えてくれた。
「そう言えば、私……油田持ちなんです」
なんて驚くことを聞かされた。聞けば、会う度に妻になれと迫ってきた王子とずっと仲違いしていた知り合いの姫さんの仲を取り持ったらしく、その礼だと貰ったらしい。
「最初は断ったんですけど……もし、あたしのことを類が好きにならなかったら、政略結婚を持ちかけるのに使えって……
それもそうかなぁーって、いざという時のために貰っちゃいました。えへへっ」
いつもの落ち着いた大人の女じゃなくて……まるで幼子みたいに、えへへっと鼻の頭をかく彼女の笑顔が愛らしい。
「あっ、あと……」
「あと?」
「……うんと、絶対に引かないでくださいよ」
「うっ、うん」
「類に舞い込む縁談……ここ数年握り潰してました」
「えっ?」
「あっ やっぱり引きますよね」
「いや、どうやって?と思って」
「まぁそのぉ、蛇の道は蛇っていうか……
あっ、でも、無理矢理結婚しろなんてことは、するつもり無かったんで……そ、そこは安心していいって言うか。あたし、あっいや私、そこはまぁ弁えてましたんで」
なんとも頼もしいことに、どうやら彼女は、色々な奥の手を持っているらしい。
「ねぇ、つくし、そんなに俺のことが好き?」
俺の問いに彼女は
「類しか勝たん」
そう答えながら、大きく笑った。
そんなこんなが俺たちの未来へと続く恋の物語。
長いお付き合いありがとうございました♪

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「重くてすみません」
そう謝った。
「俺を愛してくれてありがとう」
俺は、冷静に振り返れば恥ずかしい言葉を……でも、自分の気持ちそのままの言葉を返していた。
生きててくれて______
再びあらわれてくれて_____
俺を愛し続けてくれて_____
ありがとう。
「そんな風に言って後悔しても知りませんよ。私の愛_____本当に重いんですよ。なんせ年季が入ってますんで」
「うん。ありがとう。でもきっと俺の愛も重いよ。
俺もつくし、あんたにずっとずっと会いたかった」
あの頃の俺達は、お互いのことを知らなかった。彼女が持つ諸々の事情も俺の捻じ曲がった気持ちも互いに知らなかった。
でも___________
再びこうして会えた。
俺は彼女を抱きしめる。力いっぱい抱きしめる。二度とこの手の中から消えてしまわないように
俺の胸の中にスッポリと収まる彼女が愛おしい。
「あの日……俺が素直にあんたを愛してるって言えてたら……」
俺の言葉に、俺の腕の中で彼女は首を振り
「あの日……心が通じ合っていたら、多分……悲恋っていうのに変わってました」
彼女のその言葉に全てが込められているのだろう。あの日……心が通じ合っていたら、俺は彼女を離せなかった。
彼女を奪おうとする俺を櫻之宮は決して許しはしなかっただろう。
「ごめん……もしもを軽々しく口にして」
彼女は俺を見上げ
「……違うんです。本当に良かったなって。だって、あの日気持ちが通じ合ってたら、私きっとあなたとの恋を思い出にするだけで満足してたと思うんです」
彼女の瞳が涙でキラキラと光る。俺はもう一度強く彼女を抱きしめ唇を合わせた。
その後、朝までいろんな国の話しをした。俺のよく知る国の話もあれば、全く知らない国の話もあった。国々のいろんな風習を教えてくれた。
「そう言えば、私……油田持ちなんです」
なんて驚くことを聞かされた。聞けば、会う度に妻になれと迫ってきた王子とずっと仲違いしていた知り合いの姫さんの仲を取り持ったらしく、その礼だと貰ったらしい。
「最初は断ったんですけど……もし、あたしのことを類が好きにならなかったら、政略結婚を持ちかけるのに使えって……
それもそうかなぁーって、いざという時のために貰っちゃいました。えへへっ」
いつもの落ち着いた大人の女じゃなくて……まるで幼子みたいに、えへへっと鼻の頭をかく彼女の笑顔が愛らしい。
「あっ、あと……」
「あと?」
「……うんと、絶対に引かないでくださいよ」
「うっ、うん」
「類に舞い込む縁談……ここ数年握り潰してました」
「えっ?」
「あっ やっぱり引きますよね」
「いや、どうやって?と思って」
「まぁそのぉ、蛇の道は蛇っていうか……
あっ、でも、無理矢理結婚しろなんてことは、するつもり無かったんで……そ、そこは安心していいって言うか。あたし、あっいや私、そこはまぁ弁えてましたんで」
なんとも頼もしいことに、どうやら彼女は、色々な奥の手を持っているらしい。
「ねぇ、つくし、そんなに俺のことが好き?」
俺の問いに彼女は
「類しか勝たん」
そう答えながら、大きく笑った。
そんなこんなが俺たちの未来へと続く恋の物語。
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