修羅 9 総つく
司に言われ、メープルのBarで酒を酌み交わす‥…
猪突猛進の男が思案にくれている。先手必勝だと言わんばかりに俺は話し始める事にした。
「俺、つくしが好きだわ」
「なっ‥お前等、付き合ってんのか?」
「どうなんだろうな」
「フッ、お前等が付き合ってようが付き合ってまいが、俺には関係ねぇけどな‥ なぁ総二郎、俺もつくしが忘れられねぇ、なんせアイツの初めての男は俺だかんな」
男の獰猛な目が光りながら、笑いをにじませる‥…
「なぁ司、今あいつの身体を燃え上がらせ淫らにさせる事が出来るのは俺だけだよ」
「チッ」
男は、舌打を一つ打つと、面白くなさそうに一気に酒を呷る。
そしてポツリと
「関係ねぇよ。俺はつくしをもう一度手に入れる覚悟だ。俺が最初の男で、最後の男になってやるよ。」
「‥…バカ言ってんじゃねぇよ。つくしの最後の男は俺だよ。俺。」
俺は司にそう宣言して、席を立つ。
「じゃぁ、またな」
***
着物姿の妖艶な総‥…
別れ際、総があたしの耳許に唇を寄せ「日曜日、俺の部屋で待ってる」
そう囁かれただけで、あたしの身体は奥の方から疼き始める。
今日は、まだ週半ば‥…総と会えるまで、いったい何日あるの?
指を折り曲げ日にちを数える‥… 乙女な行動に、自分自身が一番に驚く。
トクンットクンとあたしの胸は鳴る‥…総が好きだと胸が鳴る。
一部始終を観察していた桜子と滋さん‥…
桜子が妖艶な笑顔を浮かべ
「乙女心も良いですけれど、欲しいものは欲しいと、そろそろ素直になりません?」
滋さんが凛とした表情で
「つくしが気にしてる、身分違いなんてもうないんじゃないのかな? 曲がりなりにもSunnySpotは、一部上場企業だよ。つくしはそこの筆頭株主だって忘れないでね♪」
「うふっ、どこの世界に一部上場の筆頭株主の女社長の事を、身分違いなんていう輩がおりますの?居たらお連れして頂きたいですわ。」
言い淀むあたしの腕をとり
「さぁー今日も飲むぞー」
二人の優しさが骨身に沁みる‥…
あぁそうか、あたしはずっとずっと‥この2人に見守られてきたんだ。
この2人が居れば大丈夫。ずっとずっとそう感じてきたんだ。だから逢瀬は日曜日。
月曜の朝にはいつもと変わらない2人の笑顔が見れるから‥…
「ゴメン。あたしやっぱり今日は飲みに行けない」
「えぇ~」
「砕けたら、骨は拾ってくれるんでしょ?約束だよ」
あたしは駆け出す‥… 総の所へ
2人の鼓舞する声が、背中にこだまする
「ヨッシャー頑張れ!!」
「明日は、午後出勤で宜しいですからね~」
メープルに舞戻り、辺りを見回す、ロビーを出てくる、着物姿の伊達男‥
「総‥…」
ロビーを出た瞬間、俺を呼ぶ鈴の音のような声がする。愛おしい女の声がする。
「つくし‥…」
まるで時間が止まったかのように、総しか見えない。総の息づかいしか聞こえない。
2人で手を取り合い、迎えの車に乗る。
車の窓に、ポツリポツリと雨があたる。
口づけを交わし見つめ合う。
地下車庫に車が到着する。専用エレベーターに乗り込む2人。
エレベーターに衣擦れの音がする。
初めて入る、つくしの部屋‥…
色の無い空間に、真っ赤な牡丹が咲き乱れる‥…
はらりっと、牡丹の花びらが舞い落ちる。
それを合図のように、再び2人は口づけを交わす‥…
つくしを立たせたまま一枚一枚服を脱がしていく。
月の光に照らし出され、神々しい笑みを浮かべた、妖婦が立っている。
悩ましいほどに、美しく魅力的な俺の女。
艶やかな牡丹は総を感じる、花びらが舞う。
総が、あたしの服を脱がしていく。
着物姿の艶やかな総と、何も纏わないで立っている自分。
それだけで、あたしの奥底からこみ上げてくる疼き‥…
止められない身体の疼き‥…
総があたしに跪く‥…
あたしは、総の身体を抱きすくめる。幼子を抱(いだ)くように。
クチュリッ 淫らな音がする。
あたしは、総の手によって満開の牡丹のように咲き乱れる‥…
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