ずっとずっと 120
「っん?今日はお休みだよ。」
あははっ‥
あの日から、もうじき3年が経つ。
大学を卒業して、Lucy Jewellでお勤めを始めて、もうじき2年。
滋さんの結婚を皮切りに、優紀、桜子も結婚した。
ナダーは、相変わらず滋さんに首ったけで
拓人さんは、優紀を手元に一時も離さずおきたがり
千尋さんは、桜子に尻にひかれてる。
La Vier の 会食やらなんやらで、滋さんと桜子にも月に一度は会っている。
かおるちゃんと悠斗は、忙しいのに関わらず、二人揃って2週に一度は我が家に訪れる。
京都に居を移した優紀も、拓人さんと一緒に遊びに来たり、一人で来たりと頻繁に、我が家に訪れる。
かおるちゃんと、優紀は気が合う様で、今ではすっかり仲良くなっている。
女子会と称した集まりに、インディゴちゃんがやってくるのも慣例になっている。
仕事も友人も、全てが上手くいっている。
あたしは、聖の思い出と共に、薫を愛し、薫もあたしを愛してくれる。
胸に痛みを抱えつつも幸せな毎日を送っている。
西門さんとは、茶事の事でよく会うようになった。
類と美作さんも時折一緒に、食事をとる。我が家に訪れて来る事も多々ある。
そんな時は決まって、インディゴちゃんが参戦してくる。
ホクホク顔で、類と誰かの間に座っている。こんな時は、ちっともあたしの隣には来やしない。
あたしが、嫌味を言うと
「つくしの顔は見飽きたと〜」なんて応戦してくる。
協同事業に参加するのを、あたしの妊娠騒動で辞退してから、ううんあたしが天橋立に逃げたあの日から、司とは会っていない。
グレンダは、赤ん坊が産まれたのを機にNYに戻っていった。
時折、アレンを通じ、グレンダからの便りを貰う。
先月の便りには、もうじき3つになる、嶺君の写真一葉添えられていた。
司によく似た男の子。真っ直ぐな髪と瞳の色がアレンによく似ている。音楽の才能に優れているようだ。
容姿が司に似ているからか、グレンダが産んだからか、グレンダにちっとも似ていなくても、誰しもが2人の子供だと信じて疑わないと、アレンが教えてくれる。
まぁ、道明寺財閥にしてみれば、司の子供で、グレンダと婚姻生活をつつがなく続けていれば、何ら問題がないのかもしれない。
あたしは、嶺君の写真を指でなぞる。
聖も産まれていれば、そう思いながら‥ 指で写真をなぞりながら
「可愛いね。」
そう呟いていた。
***
3年の月日。傷ついた彼女と僕と2人で愛を育んできた。
いや、僕と彼女の間には、目には見えないけれど、聖が存在する。
愛おしい愛おしい僕等の子供。
まだ彼女自身も気が付いていないが‥
多分、つくしのお腹に新しい命が宿っている‥
インディゴ先生の元には、明日受診する予約は入れてある。
「また、先に薫が見つけたと?どげん好きなん?」
笑いながら、朝一で予約を入れてくれた。
どげん好き?か‥ つくしを失ったら、世界が終わるほど彼女を愛してる。
情けない事に、僕の世界は、彼女を中心に回っている。
彼女と出逢って、6年が経つ。
最初に出逢った時よりも、いいや昨日よりも今この時、彼女を愛している。
少しだけでもいいから、つくしへの思いが和らげられたら、楽だろうと思うのだけど‥
残念な事にこればかりはどうにもならない。
インディゴ先生、いやこれは友人のインディゴちゃん曰くかな‥
「薫は、いかれてる」らしい。
いかれてる‥ いいや、僕は狂っているんだと思う。
つくしという果実に、狂い続けているんだと。
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