ずっとずっと 125
「心配させてごめん。」
「ううん‥」
「ねぇつくし、司君の所に戻りたい?」
怖くて聞けなかった言葉を紡ぐ。
「どうしても戻りたかったら、戻っていいよ。」
真っ直ぐにあたしを見つめて、薫があたしに問うてくる。
あたしは、どう答えたら良いんだろう?
沈黙が続く‥
「あははっ、やっぱり戻りたいんだね‥‥ ねぇ、つくしにとって僕って何? 僕等の3年って何? 司君の名前を聞いただけで吹き飛んじゃうものなの?僕はつくしが好きだ。出会ってからずっとずっと君が好きだ。」
薫が、淡々と淡々と話す。
「‥やっぱりダメ。僕の元から去るなんて、司君に戻るなんて許さない。僕は‥君を手放せない。君を手放したら2度と僕は笑えない‥ 僕には君しか見えない。 」
あたしの頬を一撫でする。
「ねぇつくし、君と僕の約束憶えてる?」
あたしの肩を抱き、薫、があたしに聞いてくる。
約束? 約束って?
「前に言ったよね。つくしが僕のところに居てくれるんだったら、ご褒美に一年に一度、司君と2人きりで、会わせてあげるって。1日司君にあげる。あとの355日は僕のもの。」
薫?本気で言ってるの?
声に出したいのに、声にならない‥
「バカかな?でもバカでも構わないんだ。その代わり、君が帰って来なかったら、僕は道明寺を跡形もなく潰す。草一本、塵一つ 残さないくらいにね。」
ニッコリと極上の笑顔で、薫が微笑んで、あたしを抱きしめる。
美しい美しい笑顔。
薫を追いつめたのは、あたし。
あたしが司を諦めきれないから。
こんなにもこんなにも苦しめている
それなのに、それなのに、それなのに‥‥
あたしは、狂っている。
そんなのダメだよと、あたしが言葉を発する前に
「さてと、これ以上さぼってると片倉に大目玉くらっちゃうから、僕は一旦、社に戻るね。お姫様は、真っ直ぐに家に戻っていてね。」
戯けながら、薫があたしを迎えの車に乗せる。
車に揺られ、漆黒の暗闇を見る。
何故、あの時、すぐさま断らなかったのだろう。
‥うぅぅうっく うぅぅ‥ ごめんなさい‥ごめんなさい‥ごめんなさい‥
薫を愛しているのは、嘘じゃない。共に歩んでいく人は薫しか居ないと心の底から理解している。
だけど、だけど‥
一年に一度でも、司と、あいつと会えると思うと、それだけで心が踊るんだ。狂おしいほどに。
ううん、あたしは、狂っているのかもしれない。
司という媚薬に、10代のあの日からずっとずっと狂い続けてるんだ。
出会ってしまったから。あたしの半身だから。
そう、あたしは 司が好き。
薫に、どんなに愛されても、この思いだけは手放せないんだ。
でもね、薫‥ 猾いけど猾いけど、あなたを愛しているのも事実なの。
漆黒の暗闇に、満月が輝く。 妖しく美しく、満月が輝く。
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