いつかあなたと陽だまりで Fin
中には、一枚の写真と住所が記されている。
俺の目から、涙が溢れ出す。
俺は写真を握り締め、西田に声をかける
「いつ飛べる?」
「すぐにご用意出来ております。」
ジェットに乗り込む‥ 心が逸る。
ジェットの中には、いつの間にか用意されていたのか、8年間のあいつの様子と写真が用意されていた。
一枚の作文のコーピーが添付されていた。
わたしの英雄 マリア・バイヤール
わたしのパパは、ヒーローです。ヒーローは人気者なので、とても忙しいです。
ヒーローのお仕事はナイショにしなくては、いけないので、わたしは、パパのお顔をしりません。
ナイショなので、お写真もとってはいけなかったので、わたしは、パパのお顔を見ることが出来ません。
だけど、ママが、おしえてくれました。わたしの中にヒーローがいると。さびしくなったら、かがみを見なさいと。ニッコリ笑えば、ヒーローにあえると。
わたしのパパは、ヒーローです。
でももしも側にいたら、マリアのことを大好きで大好きで、ちょっとおひげの伸びたホッペでぐりぐりしてくれると教えてくれました。
わたしのパパは、側にいたら、ぜったいに 親バカになるって、教えてくれました。誰よりも誰よりもわたしのことを大スキになるって、教えてくれました。
わたしのパパは、ヒーローです。
メイちゃんへ
お話したヒーローのパパの作文をおくります。
忍おじちゃまと、ターちゃまと3人でよんでください。
うさぎちゃんありがとうございました。
カワイイお洋服もたくさんありがとうございました。
みんなみんなうれしかったけど。
メイちゃんと 忍おじちゃまと、ターちゃまと
いっぱいいっぱい あそんだのが 一番 楽しかったです。
フランスに来る時は、かならずマリアに会いにきて下さい。
その時、じまんのママをおしえてあげます。きっとメイちゃんとすぐに、なかよしさんになると思います。
まってます。
マリア
何度も何度も読み返した。
何度も何度も、写真を見た。赤ちゃんの頃からの写真。
すげぇカワイイの。つくしにそっくりでやんの。
見たかったなぁ。この目で。
抱いてやりたかったなぁ。この手で。
過ぎた時は、戻らねぇ、
だがよ、未来はつくっていける。
俺は、そう信じてる。
生涯、この2人を守り抜く。
俺は、俺に誓う。
**
「ボスは残業?ジョアンお迎えに行こうか?」
「今日は、ボブにお願いしたから大丈夫。マリア、今日はお茶のお稽古日でしょ?」
「OK。うん、そうなんだよね~ じゃぁまた明日ね。」
事務所をあとにする。マリアを迎えに行く。西門流フランス支部でお茶を習い始めたマリア。母と違って、なかなか筋が宜しい様で、本人も楽しんでお稽古に通っている。
「ありがとうございました。」
「また来週。」
もう一度お辞儀をして、会館をあとにする。
マリアと2人で、夜道を歩く
「ねぇマリア、久しぶりに回転フレンチ行っちゃう?」
「うん。ママ、いいね~」
2人で手を繋ぎ、メディ テラ ネを目指す。
「ねぇママ、パパのお星さまはどれだろうね。」
上を向いて、空を見る。
「うーん。どれかな~一番キラキラで…」
バッフン‥ 上を向いて歩いていたら、出会い頭で人にぶつかる。一瞬懐かしい香りを嗅いだ気がした。
「す、すみません」
あたしは慌てて謝り、相手の顔をみようとした瞬間‥マリアと二人、抱きしめられる。
懐かしい香り。懐かしい胸。あたしの瞳から、涙が溢れる‥
「ママ?ママ?」
マリアが驚いて、あたしに声をかけてくる。
司があたしとマリアを胸から離す‥
目と目が合う。
「ママ?」マリアが司とあたしを交互に見る。
そして‥…
「ヒーローさん?」
司がゆるくゆるく首をふる。
「皆のヒーローは、辞めてきた。マリアだけのパパになりにきた。」
「パパ? マリアの?」
「あぁ、ダメか?皆のヒーローの方がいいか?」
マリアが、慌てて首をふる
「ダメじゃない。マリアだけのパパがいい。」
マリアの大きな瞳から、涙が零れ落ちる。
司が、そっと宝物を抱きしめるように、マリアを抱き上げる。
「つくし、待たせたな。」
「うん。」
「俺でいいか?」
「うん。司が良い。司じゃなきゃ嫌だ。」
マリアがいるのも忘れて、あたしは、ありったけの思いを伝えてた。
マリアがくすりと笑って
「パパ、ママは毎晩お星様を見るの。それでね、ヒーローのお星様を見つけるの。」
「そうか。」
「うん。今日から、お空を眺めなくても横向けばいいから楽だね。ねっママ。」
司の顔が破顔する。あたしの大好きな大好きな、司の笑顔。
8年ぶりに見れた司の笑顔。
もう2度と見れないと思っていた司の笑顔。
あの後、
メープルパリに連れて行かれたあたしとマリア。
最上階のお部屋で、美味しい料理とパパをしっかり堪能して夢の中に入っていった。
マリアを寝かしつけ終えた司が、あたしの腰掛けているカウチの横にくる。
「ただいま」
司があたしの目を見つめて言う。
「ただいま」
あたしが司の目を見つめて言う。
2人同時に
「「おかえり」」
そう言い合って、キスをする。
熱く甘いキスをする。
8年ぶりの司は、あたしを狂わせる。
あたしの女が花開く。
「綺麗だ。」
美しい男があたしを賛美する。
あたしは、幸せに酔いしれる。
もう2度と会えないと思っていた愛おしい男。
司、司、司、 あんたを愛してる。
あたしの全細胞が、司を求める。
あたしは、司の全てを受け入れる。
朝まで抱き合って、シャワーを浴びてマリアとお揃いのパジャマに着替えて
マリアのベットに潜り込む。
マリアを真ん中に、3人で川の字になって眠る。幸せを噛みしめる。
微かに、朝陽が差し込んでいる。今日はきっといい天気。
目が覚めたら 3人で手を繋ぎ、陽だまりの中を歩こう。
あなたと一緒に陽だまりを歩こう‥
fin
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いつかあなたと陽だまりで いかがでしたでしょうか?
いっぱいいっぱい謎の部分が残っていると思いますが(笑)
皆さんの頭の中で、想像してみて下さい。若返ること間違いないです。
メイちゃんと桜子、バイヤールの養父母が暗躍したことは間違いありませんww
ここも細かく書こうかな?と考えたのですが、要らないかなぁって思って省きました。
物語は物語の中でまだまだ続いていくことでしょう。
もしかしたら、マリアが、司が、つくしが、はたまたジョアンが、ボスが いえいえ皆の思いが溢れ出して、その後のお話なんてものが生まれるかもしれません。
その時の司は、もうバカみたいに、つくしとラブラブで、マリアに親ばか街道まっしぐらなことでしょう。
それはそれ、またの機会に♡
最後まで、お付き合い頂き大変有り難うございました♡
asuhana
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