その距離50センチ fin あきつく
夢にまで見た‥って、夢じゃないよね?
頬を抓って見る‥アレっ痛くない‥
アレっ アレっ?
うん。仕方ない‥
目の前の愛おしい美作さんの頬を抓ってみる。
「痛っ」
「うふふっ、夢じゃなかった」
ギュッと抱き締められて、口づけを一つ。
幸せで涙がポツリ。
美作さんが涙を、唇で掬いとりながら
「俺も夢かと思って、さっき自分の頬を抓ってみた」
笑いながら言ってくれる。
「ねぇ、美作さん」
「っん?」
「あたし、幸せ」
「なぁ、つくし」
「っん?」
「結婚してくれないかな?」
結婚してくれないかな?それって‥それって‥
「ねぇ、美作さん‥それって‥あたしを好きって事でOK?」
「あっ、ゴメン。俺‥全部飛ばしすぎた」
頭を掻きながら、慌てる美作さん‥
あたしに向き直って
「牧野つくしさん。好きです。大好きです。愛してます。結婚して下さい」
嬉しいのに、なんでこんなに涙が出るんだろう。
「美作あきらさん。好きです。大好きです。愛してます。お嫁さんにして下さい」
あたしは、美作さんにギュッと抱きついて、そう返事をした。
2人で見つめ合って、もう一度キスをして‥抱き合った。
長い長い片思いが、終わりを告げた瞬間。
俺等の間には、距離がなくなった。
* *
昼下がり‥家族に招集をかけて集まってもらった。
「つくしと結婚する事にした」
言葉を発した瞬間、家族全員に笑顔が広がる。
絵夢も芽夢も
「つくしお姉様〜 お兄様を選んで下さって有り難うございます」
泣きながら、つくしに抱きついている。
チロっと俺をみて、二人示し合わせたように
「「88点」」
点数を付けてきた。
88点‥って、な、な、な、なんだ?
「準備不足です。婚約指輪も未だなんですよね?」
絵夢が言えば
「勢いに任せてってかんじですものね」
芽夢が言う。
母さんも、父さんも、婆ちゃんも頷きながら、式の日取りやらなんやらを決め出している。
つくしは、幸せそうに微笑んでいる。
翌日、美作各所につくしと俺の婚約を告げる文書が配られる。
お祝いの花が届く。
示し合わせたように、ブルーローズの花束が。
お祝いに駆けつけてくれた面々は、俺じゃなくてつくしにピースマークをしていく。
俺の顔を見て‥
「あきらさんが、ブルーローズでしたかぁ」
「ほぉ、奇跡の殿方が、あきらさんとは」
そんな言葉を残して、帰って行く。
つくしは、始終笑顔だ。
* *
ひと月後、つくしのお腹に‥赤ん坊発覚で‥どやされると思いきや、親父も、お袋も、婆ちゃんも
「流石、美作男児だ」
「決める時は決める」
と褒められて
「やっぱり、遺伝だ」
謎の言葉で締め括られた。
「「100点ですわぁ、お兄様」」
双子達からは、初めての褒め言葉を貰った。
8ヶ月後、俺等のもとには、ヘタレ決定な天使が舞い降りた。
Fin
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