明日咲く花

「司さんが、ど、ど、道明寺？？へっへっへぇっ？」
「俺の名前は？」
「司さん」
「ちっ、そうじゃなくてだ、道明寺専務の名前は？」
「道明寺　司‥」
「なっ」
なって？何？なって？
マジマジと、司さんの顔を見る。
ココにいるのは、やっぱり司さんで‥
やっぱり、司さんはマジシャンで

「あんなぁ、牧野、俺マジシャンじゃねぇぞ」
ひゃっ、な、な、なんで解るの？
って、ま、ま、まさか‥　魔法使い？
そっかぁー　だからかぁ、うん。だからだ

「お前が声出してるからだよ」
へっ、はっ、ふっ　あたしは、慌てて口元を抑える
「ちなみにだ、魔法使いでもないぞ」

目の前の女の瞳がしばたく。
バカ決定。心の中で判が押される。
だけど、このバカ女が可愛くてたまらない。
ギュッと抱き締める。ギュッとギュッと抱き締める。
俺の腕の中で牧野は‥　暴れてる。
「い、い、息が出来ない」
色気ねぇーな。
抱き締めた手を緩め
「なぁ、司さんと道明寺は一緒になったか？」
「な、なんで一緒なの？」
「なんでって、お前もしかしたらバカか？」
「はぁっーーー？バカってなに？バカは道明寺でしょ？」
「あんっ？なんでバカにバカって言われなきゃいけねぇんだ」
「はぁっーーバカバカ言うな。おたんこなす」
「たんこぶに茄子なんてならないぞ」
「ほら、バカは道明寺じゃんか」

得意気に言う顔が可愛くて
「なぁ、牧野‥俺、司さんでも道明寺でもお前が好きだわ。お前が誰を好きでも、俺も司さんもお前が好きだわ」
「やっぱり、マジシャン？」
俺は、一旦目を閉じて
「マジシャンでも魔法使いでもない。司さんが道明寺司だ。以上」
「で、で、でも違う人じゃん」
「っん？2人いっか？俺一人だろ？」
「‥‥‥う‥ん」
「なっ、そう言うこった。お前が納得いかなくても、俺は司さんで、道明寺だ」

牧野が何も考えなくていいように、俺は牧野にキスをする。
優しく蕩けるキスをする。

でっけぇ瞳から、涙が一粒‥
「ど、ど、どうした？」
「うっうっ、嬉しいの」
すげぇ、誘い文句‥　
しかも‥良い薫りが俺の鼻腔をくすぐる
挙げ句の果てに、ムギュっと抱きついて来る。

鎮まれ息子‥
そう唱えても、鎮まるわけもなく‥
ムクムクっと‥湧き上がる‥

男は我慢‥だよな？
うん。我慢だ

牧野が俺を見上げる。潤んだ瞳で

俺の頭の中で、足組みながらカモンと誘う牧野が居る
くっーーー誘うな牧野、
こ、こ、これ以上は、俺紳士じゃいられねぇー

そう思った瞬間、なんやら腕に重みが加わる
腕の中には、幸せそうに眠る牧野が‥

股間の何は痛ぇけど、俺の胸はぽかぽかだ。



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