紅蓮 41 つかつく
何度も、何度も叫んでも、宗谷はそれすらも楽しむように
あたしの秘部を舐(ねぶ)る。
唇の周りを血に染めて
「生理にしては、一週間程、早いようだね‥」
あたしの夫が言い放つ‥
バレてしまったら‥どうしよう‥あたしの心がドキドキと波打っている。
「道明寺さんのせいかな?」
どこか、哀し気に、そして悋気のこもった声で言う‥
「だけど、つくしは‥ここから出られないよ」
血の付いた唇で、あたしの唇が塞がれる。
* **
宗谷氏が、つくしを抱きかかえ、席を立って四半刻が過ぎる。
途中、帰る旨を伝えると‥
二階堂と名乗る男が、ニコリと笑い
「もうじきお戻りになりますので、もう少しお待ち下さいませ」
そう告げる。
総二郎と、酒を酌み交わし‥宗谷氏の戻りを待つ。
つくし‥美しくなっていた‥まるで日本人形のように‥真っ黒な艶のある髪の毛に、吸い付きたくなる程の白い白い肌。
俺側の都合で別れを決めた‥心を殺し別れを決めた。道明寺を守るため。
つくしとは、縁がなかった、一言で現せばそう言う事だと、何度も何度も己に言い聞かせた。
つくしとの未来を断ち切ってから、俺の心は鬼と化した。
死にもの狂いで、梃入れをした。全ての改革を行った。つくしと別れ、この5年、寝る間を惜しんで働いた。
どこの力も頼らなくていい程に、地盤を強固のものにした。
先月、やっと離婚が決まった。
政略結婚の相手とは、一夜も共にする事なく、いや、離婚を決めたあの日まで一度たりとも二人で会う事も無かった。結婚式の女とあの日会った女が、同一人物だと結びつけられないような間柄。
それは向こうとて同じだったのだろう。
「司さんって、とても美形でしたのね、一夜くらい寝ておけば良かったかしら」
鈴の音のような声で笑った。
「役立たずだったと思いますけどね」
「あらっ、宝の持ち腐れですわね」
一頻り笑った後に
「あなたのお陰で、私はやっと翼をもつ事が出来ましたの。何かお力になれる日が来たら、是非おしゃって下さいね」
この5年、頭角を現した女は、自らの手で幾つかの会社を経営する身になっていた。折角なので,業務提携はこのまま続けようと話も纏まった。
メープルのロビーに二人連れ立った
刹那
「つくし」そう呼ぶ声を聞いた。
愛しい女‥幸せにしたかった唯一の女の名を、離縁が決まった記念するあの日、耳にした。
もう一生、結婚はしないだろう‥ それだけのものは、築いた。
つくしだけを思い、生きていこうと決めている。
つくしが幸せなら、それでいい。
そう思った筈なのに‥‥ アイツを見たら,心が走り出す。
もう一度、つくしをこの手に入れたいと、渇望している。
つくしをもう一度手に入れる事が出来るのなら、この身を、魂を悪魔にさえも売り払える。
俺は、アイツを愛している。
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