君の天使 28 司つく
刹那‥
「あぁ〜はぁっ〜」
盛大な欠伸の声がする。
ぷっ、尾形っち〜 そりゃぁないよ
なんだけど‥
2人の耳には何の音も聞こえない。瞳にはお互いしか映らない。手と目は絡み合ったままだ。
コンコンと音がして、ガチャリッ‥‥扉が開く。
トモと杏奈嬢2人が、話しながら入ってくる。
司とつくしの手と目は、慌てて離される。
何となく、いいや何となくどころか‥非常に気まずい空気が流れる。
「あぁ〜はぁっ〜はっ‥って、て、て、寺沢専務‥本日は、お日柄もよく‥」
「尾形さん、それ違うと思いますよ」
「あ、あ、杏奈さんは黙ってて下さい」
「あら〜黙ってては、あんまりでしてよ」
ププッ ククッ アハハッ
「杏奈さんと、尾形さんって仲良しなんですね」
大笑いして、つくしに振り向いて
「つくしが、楽しそうな職場で働いてて安心したよ」
ニッコリと王子様の微笑みを浮かべるトモ。
ポッと顔を染める‥つくし‥
じゃぁなくて、杏奈嬢
当のつくしは‥
「寺沢専務、大変ご無沙汰しております」
綺麗な所作でお辞儀する。
あちゃちゃ、折角 “つくし” 呼びで目の前の男に牽制をかけたのに‥出端挫かれ状態だ。
そうこうしている内に、他のメンバーも集まってきて、会食が始まった。
杏奈嬢の視線は、ずっとトモで、トモの視線は、ずっとつくし。
つくしと、司は、お互いを避けるように目を合わせない。
尾形っちは、一人で、食事を堪能中。
尾形、やっぱり凄いよね。この2人が終わったら尾形っちに付くってのも悪くないかもね?
あっ、まだまだつくしと司だった。
クイックイッとスフィルが呼んでいる。
っん?アタシ? 親指で自分を指せば、スフィルがコクンコクンと頷く。
羽根を3回羽ばたかせて、スフィルに寄れば
《よっ!オレ、スフィル。お前の名前は?》
スフィルが、あたしに聞いてくる。
《契約違反になっちゃうよ?》
《喜べ、あいつ等は超特Aだ》
《超特A?》
《あぁ、100年に一度のカップルだってさ。さっき確認したから大丈夫》
《それだと、喋ってもいいの?》
あたしが聞けば
《成果は半々だけど、特A以上のポイント貰えるから》
そう言って両目を瞑る。
《くくくっ‥ウィンク下手過ぎ》
《いいんだよ‥で、お前の名前は?》
《アタシは、シューニャ》
一瞬‥スフィルの顔がニッコリ微笑んだ。
っん?なんだろう?
《ふーん シューニャは、なんで司を選んだの?》
《司、0時丁度に涙を一粒零してたの》
スフィルとあたしは、お互いの情報を交換した。
メモに書く代わりに、羽根で空に書く。
と言っても、0時丁度に何かある。だけだったけど。
だけど、アタシはスフィルの話を聞いて、つくしを好きになった。
司と幸せにしてあげたいって、そう思った。
だって、今もつくしのヒールは地についてない。
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