はじめてみよう 16
悪魔があたしに近づいて‥くる
ジワリジワリと近づいてきて‥ガバッと抱き寄せられて
「もう、降参しなよ‥」
うん。と素直に頷きそうになって‥
あたしは、慌てて首を振る。
「あんたが、降参しないと、俺困るんだけど」
「困るって言われても‥」
「あんたも困ると思うんだけど?」
「へえっ」
「だって俺、あんたが うん って返事するまで、あんた帰さないつもりだから」
ニッコリニッコリ笑う‥
「な、な、なんで?」
「っん?なんで?ってなんで?」
問いかけに問い返しですか‥ とは言えないで‥
「あ、あたし‥しょ、しょ、庶民だし‥美人じゃないし」
「うん。知ってるよ」
「だったら‥」
「でも、牧野じゃん?」
「そりゃそうだけど‥」
「俺、牧野だったら、何でもいいよ」
へっ?
「だからさ‥ 降参しなよ」
ムギュウと抱きしめられて‥
「ねぇ、あんた何が心配」
何も言えずに、押し黙る‥
「花沢の事?」
事も無げに、類があたしに聞いてくる。
「だったら大丈夫だよ」
ニッコリ笑う。
そんな簡単に大丈夫って、なんで言えるの?
「俺、牧野じゃなきゃ結婚しないって言ってるし、それにさぁー」
へっ?
「あんた、アムルの担当だっただろう?」
コクンとあたしは頷いた。
「あんた倉庫番のよっちゃんと、友達でしょ?」
コクンコクンと頷いた。
担当を外れてからも、たまにメールをしたりする。
よっちゃんの奥様の圭ちゃんとも、仲良しで、
3人でご飯を食べに行ったりするんだ。
「ククッ、恋の相談したでしょ?」
へっ‥な、な、なんで???
「あの夫婦、俺の祖父母‥」
えぇぇぇぇーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
あたしは、心底驚いた。
「あの相談した、ビー玉王子って俺の事だよね?」
恥ずかしくて、目を伏せるしかなくて‥
スカートを握りしめて、もじもじしてしまう。
抱きしめた手に力が入る。
類の顔が、目の前に近づいてきて‥
キスを落とされる。
「類‥」
「降参した?」
「‥」
「降参しなよ」
「‥」
「うーーん、じゃぁとりあえず‥ はじめてみよう‥」
はじめてみよう‥‥
はじめても、いいのかな?
でも、はじめたら‥終わりがまってるんだよね‥
「あっ、終わりなしの始まりだからね。もうねずっとずっとエンドレスだから」
類が笑う。
「あんた、知ってると思うけど、来週、重要な商談幾つかあったよね?」
コクンとあたしは頷く。
「降参しないと、俺出れないよ」
えっ、な、なんで?
「さっき、言ったでしょ?降参するまで放さないって‥俺、本気だよ?」
悪魔か、天使か、 天使か、悪魔か‥美しい顔で、類が笑う。
「ねっ、降参しなよ」
あたしは‥‥ コクンと頷いた。
類の口づけが降って来た‥‥
その瞬間、二人の恋は、はじまった。
永遠の恋が、はじまった。
fin

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無事に二人の恋は始まる事ができました。
第一話目を書いたときから、考えるとちっぴり長いおつきあいになった
はじめてみよう‥
無事に終える事が出来ました。
ありがとうございます。
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