明日咲く花

愛人コラボ開催中♪　第一弾は　あきつく

君を愛するために～花より男子二次小説 こ茶子さま
gypsophila room Gipskräuterさま
みかんの箱（天使の羽根） みかんさま

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「はぁっーーーーーーー」
出るのは、ため息ばかりなり。チーンってな。

はははっ、我ながら情けなくて渇いた笑いが出て来る。
いや‥渇いた笑いしかでてこないが、正しいって所か。

取りあえず、昼休みの情事は終わりだ。身支度を整え社に戻る。

「専務、１５分の遅刻です。午後の仕事が詰まっておりますので、お早めに願います」
ニコリともしないで‥秘書が俺に告げて来る。
愛想ねぇなぁー　そんな事が頭を過る。

時間に遅れた俺が悪いんだけど‥もう少し愛想よくてもいいよな？
なんて言い返せる筈も無く
「あぁ‥申し訳ない‥‥」

斜め上に顎を持ち上げながら‥眼鏡をクイッと上に上げて、偉そうに俺の顔を見る。

はい。はい。すいません、すいません‥すみませんねぇーとばかりに頭を下げたら‥

鼻で笑われ‥‥た？　俺‥一応上司だよな？
そりゃないだろうとジロリと見れば‥

トンッ
書類を堆く積み上げて、ニッコリと笑いながら
「お早くお願い致します」
そう言い残して去って行く。

後ろ姿を眺めながら‥‥
バーン‥‥静かに拳銃を撃つ真似をする。

後ろに目がついてるのか？と思う様な絶妙なタイミングでくるっと向き直って
「専務、何をされておられるんでしょうか？」

「グッ」
目を反らしながら‥後ろ頭を掻きあげる。

はぁっーー　アッチもコッチもだ。
カキコキと首を回しながら、仕事に取りかかる。

優秀な秘書は、笑わない。いや‥対外的には笑うから‥
正しくは、俺の前では笑わないか？

「ふぅっーーー」

コトンッ
絶妙なタイミングでお茶を出される。

気は利く、仕事は優秀‥だが愛想はないってとこか。

目頭を押さえながら、ぼんやりとお茶を啜る。
窓の向こうの空が、赤く染まってる。

「綺麗な夕陽ですね」
「あぁ、そうだな」

２人で暫し夕陽を眺める。
美しい夕陽を見ていたら、つくしへの思いがこみ上げてきた。

「なぁ‥」
「専務‥お仕事残ってますよ」
「なぁ‥」
「ですから‥お仕事残ってますよ？」

立ち上がって、グイッと抱き寄せる。

「ちょっ、ちょっ、ちょっと‥やっ‥やっ、やめて‥」

パコーン
「痛っ」
ファイルの角で叩いて、すり抜けるように去って行く‥
敵ながら、天晴だ。
いや、敵じゃないか？と苦笑する。

20時を過ぎた頃
「専務大変恐れ入りますが、本日はお先に失礼致します」
そう言い残して帰って行く。

身も心も取り残されて‥堆く積もる仕事をこなす。
時計を見れば、23時を過ぎている。
明日は、休みだと言うのに約束の一つもないなんて‥全くもって頂けない。
俺の恋は、俺を純情に変え、臆病にさせる。３０にも手が届きそうな男が純情も聞いて呆れるが‥
愛する女は、俺を無垢にする。


＊ ＊＊
愛するあなたに、隙をみせないように、鎧を身に纏う‥‥

なのに‥赤い夕陽があまりにも美しくて儚くて‥

「綺麗な夕陽ですね」
そう呟いていた。

あきらが、全身であたしを抱きしめてくる。
あたしの細胞全部が、あきらを好きだと訴えて来る。
慌てて、あたしはあなたから逃げる。

胸の鼓動がばれないように、これ以上深みにハマらないように。
あたしは逃げる。

20時を過ぎる頃、あたしは会社をあとにする。
夜の雑踏に紛れても、心に思い描くのは、愛しい男の事ばかり。
親しい女友達と話していても、頭の中には、あきらのことばかり。

「はぁっーーー」
大きなため息を吐けば、
「幸せが、逃げて行きますわよ。いい加減素直になられたら如何ですか？そんな事が続けば虚しい一生ですわよ」
そう言われ‥

そうか‥続ければ一生なんだ。
瞬間‥あたしは気が付いた
永遠なんて信じていないけど、一秒一秒を重ねていけば、永遠になると気が付いた。

ストンと何かが落ちて来る‥あたしは駆け出していた。

あの場所へ。
２人が出会った、あの場所へ。


酔ったふりして、スマホを鳴らした。


＊＊＊
プライベートのスマホがかたかたと揺れている。
慌てて出てみれば、スマホの向こうからは、酔っぱらた女の声がする‥

『コール音‥７回目だよ。出るの遅過ぎ』
『悪い。悪い』
『悪いなんて‥ちぃーっとも思って無い癖して』
『思ってるよ』
『じゃぁ、迎えにきて‥』

そう言い残して、場所も言わずに電話が切れる。
折り返しかけても‥コール音だけが鳴り響く。

つくしは‥何処？　目を瞑り考える。
ジャケットを羽織り、逸る心を押さえながら、迎えに急ぐ‥

あの場所へ。２人が再び会えたあの場所へ。

女が立っている。愛おしい女が俺を見つけて
「優秀じゃん」
偉そうに‥いいや滅茶苦茶可愛く言い放つ。

「これがお前の答えだと思っていいのか？」
そう問えば‥
コクンと小さく頷いた。

空には満月が光り輝いている。

俺は、つくしを抱きしめる。
愛おしい俺の、俺だけの女を。




fin



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