明日咲く花

花より男子の2次小説になります。

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2017

No.097 サプライズ あきつく

「筑紫君、ちゃんと話し聞いてる?」 「あっ、はい。すみません」 真っ赤になりながらモジモジしてる__筑紫君……俺は何でか面接の時から、この子のことが気になって仕方ない。 一緒に面接に来た〝ノブ〟彼は間違いなく売れっ子になると直感した。 その直感は正しく、瞬く間に〝ミラージュ〟のNo.3に躍り出ている。 だけど__俺の目を奪ったのは、筑紫君だった。 いやっ、俺、断じてゲイじゃない&helli...

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2017

No.095 DOPPEL あきつく

タクシーに手を挙げる。「………までお願いします」 肩を抱く酔っぱらい女性を車に押し込めて、にこやかに笑って手を振れば 「ノブさ〜ん、つくし君〜またね〜」 車の中の女性達が騒ぎながら手を振っている。 「今日は、有り難うございました。ではまたミラージュでお待ちしています」 隣りでノブちゃんが艶やかに笑っている。車が見えなくなった途端煌びやかな衣装を翻し、店に入っていくのをあたしは追い掛ける。 責任者の館さんに...

08

2017

No.090 シェア あきつく

待ち合わせの場所につけば大きく大きく手を振りながらつくしが近づいて来る。「あきらー」嬉しそうに俺の名前を呼びながら。なぁつくし、知らないだろう?この瞬間、俺が途方もない幸せに包まれることを。ポスンッと助手席に座り込み「今日は車なんだね。なんだかブルジョワ気分」思わず苦笑いが漏れる……「だよなっ」「うん。だよね」下を向いてクスクス笑いながら「美作部長は不思議ですね〜。一流企業の御曹司なのに贅沢が似合い...

03

2017

No.085 胸をはる あきつく

雨上がりの匂いが嗅ぎたくてベランダに出て月を眺めるふわりっ あきらの両手があたしの身体を包み込む。あきらの左手に右手を添える。なんでもないのに幸せで暖かな温もりが身体に心に伝わってくる。「月、綺麗だね」「月、綺麗だな」言葉が重なり二人でクスリと笑う。「幸せだな」「幸せだね」気持ちが重なり愛に包まれる。「寒くない?」「うーーーん、ちょっと寒くなってきた…かなっ」「じゃぁ、そろそろ部屋、入ろう」あたし...

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2017

No.080 鯛焼き あきつく

傘をクルクルと回しながら小雨の降る中を楽しそうに歩いている女の子が一人。あまりもその様が幸せそうで、タバコ屋の源さんが、角の肉屋のモーリーさんが、お茶屋の米さんが、そして男の子が女の子を見る。「おっ、つくしちゃん! 随分とご機嫌さんだな」そう声をかけたのは、青年団の団長で鯛焼き屋の店主政まささん。「こんにちはっ。あっ、あのね、あのね、見て見て ジャーーーン。なんと、なんと野鳥の会の長靴なんだよ」「...

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2017

No.075 再び あきつく

鉛色の空からぽつぽつと雨が降り出している。店の中には、一昨年流行ったラブソングがBGMで流れている。つくしは、読み止しの本を閉じ、何かを思い出す様に頬杖をつきながら「ふふっ」楽しくて堪らないと言った顔をして小さく笑った。カランコローン カラン昔懐かしいカウベルの音と共にドアが開いて、男が一人店の中に入って来る。ゆっくりと辺りを見回してからつくしを見つける。彼女の姿を見つけた彼の瞳は幸せ色に満ちていく...

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2017

No.070 雪花弁 

「おぉっ~寒い」はぁぁっーー合わせた両手に息を吹きかけながら小さく呟いた。牧野つくし27才。大手出版社に勤めて5年になる。日々働く女で頑張っている。そんなつくし__なんでこんな辺鄙な片田舎に居るかと言うと……新しい原稿を書いて欲しいとこの5年筆を断っている作家に会いに来た帰りなのだ。彼の作り出す世界が言葉が好きだった。この世界に入る切っ掛けは作家の書いた本だった。同じ世界にいればいつか会えるかもしれ...

14

2017

No.065 人魚の恋 あきつく

ザァーザァー 波の音が耳に優しく谺する。青白く光る月と輝く星と静かな海が少女を見ていた。パシャッーン一糸纏わず少女が海に潜る……永年暮らした街を出て行く最後の夜だった。少女は人魚になってこの町と海とにサヨナラを告げた。あの日から十五年……月日は少女を大人の女性に変えて行く。*-*-*-*-*-昨晩遅くまで書類を仕上げていた身体に、まるで呪文を唱えている様な退屈な講師の話し…..眠気が襲って来る。「ふわぁっーー」失...

09

2017

No.060 ニャーと鳴く あきつく

ニャーどこかで猫が鳴いた声がした。ゆっくりと左右に首を振る__少しずつ意識が目覚めて行く。もうじき日本の地に降りる。新しい仕事に就く前にポッカリと空いた日々。少しだけ開放感を味わいたくて東京を離れ横浜で過ごす事に決めた。馴染みのBarのマスターと軽口を叩き合い酒を呑む。カラン 氷が解ける音が鳴るゆったりと静かな時が流れて、心地よい空間に俺は漂う。静寂を破るように「あきらーーー」俺を呼ぶ声がする。そっ...

04

2017

No.055 アキラとあきら あきつく

ニャーと猫が鳴いた。まるで、僕を一緒に連れて行って下さいと言う様に猫が鳴いた。夜空には、お月様とお星様がくっ付く様にならんでるそんな夜だった。「あんた、あたしん家に来る?」それがあたしの相棒、アキラとの出会いだった。あっ、猫の名前はアキラアキラって名前をつけた理由? 理由なんてない。ただ何となく、アキラを見た瞬間、あぁ、このコの名前は、アキラだって思ったんだ。アキラは、自由気ままに居なくなる。元々...

30

2016

No.050 お得だよ あきつく

冬の街を歩くのが好きになったのは__「寒いね~」そう言うつくしの手を握りコートのポケットに入れる様になってからだろうか?それとも「うわっ、綺麗」そう言いながらイルミネーションを見上げるつくしを後ろから抱き締めて二人の世界に浸れる様になってからだろうか?つくしが来るのを待つ間とりとめも無くそんな事を考える。「美作さーん」ほらっ、向こうから手を振りながら息咳きってやってくる。「待った?」「っん?今来た...

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2016

No.045 メリークリスマス あきつく

うふふっ あたしはついている。何を隠そうラッキーガールなんだうふふっ、見事当りを射止めて美作先輩と一緒にクリスマスパーティーに出席する事になったんだ。降って湧いたかのように訪れた今回のチャンス……あたしの魅力で絶対に絶対に美作先輩をモノにする。ところで、あたしに魅力なんてモノは存在したっけ? ははっ、まぁ、その辺の事は考えるのは辞めとこう。ミコちゃんのアドバイス通り下着は、上下お揃いにした。うんうん...

20

2016

No.040 覚悟 あきつく

「広報さんの意見は?」人差し指で眼鏡を上げながらサラサラの髪を靡かせる。〝くぅっーーーーカッコイイ〟毎度の事ながら見惚れちゃう。あっ、いま見惚れてる場合じゃなかった。今は、仕事だ仕事。仕事モードONだ。ニッコリ笑顔で微笑んで「はい。広報と致しましては___」うん大丈夫。仕事モードに切り替えたぞ。ヨシッ カボチャカボチャ カボチャだ。大根? 胡瓜? 茄子?やっぱりカボチャだな。眼鏡かけたイケメンカボチ...

15

2016

No.035 人魚と眼鏡 あきつく

ジリジリと暑い夏のあの夜__俺は人魚に出会った。寝苦しい夜だった。何度も寝返りを打ちベッドを寝け出した。浜辺を歩けばねっとりとした風が素肌に纏わりつき、砂が足の指の間をくすぐる。「はぁっ、早く東京に帰りたいよな」思わず吐いて出た言葉だった。バッシャンッザァーザァーという波の音と共に聞こえた水音に引かれるように岩陰を見た。そこには人魚がいた。人魚は、いいや髪の長い少女が月明りの中一糸纏わぬ姿で海に潜...

10

2016

No.030 花火 あきつく

サヨウナラあたしは空っぽの部屋に向って呟いた。階下からあたしを呼ぶ声がする。あたしは元気いっぱい大きな声で返事をする。「今行くーー」勢い良く階段を駆け下りる。「お待たせっ」そう言いながら弟の進が運転する軽トラに乗り込んだ。車に揺られながら今迄の自分とサヨナラした。「進ありがとうね。助かちゃったよ」「これで本当にいいの?」「うんっ、何が?」「何がって……」「うんっ?荷物の事?いいの、いいの」「そうじゃ...

05

2016

No.025 一秒前 あきつく

「まってー あきたーーーー」「あきたじゃない。あきらだ」「あきたっていってるもん」「だから、あきら!」ぷくぅっーーっと頬を膨らませて、チビッコつくしが怒ってる。夢かぁー 間違いなく夢だ。「あきらーーー 起きろぉー」ホラッ、あんな可愛く追い掛けてきてたと思えない程の勢いで俺の部屋のドアを開けるんだもんな。「起きてる」ベッドの脇にドスンっと音を立て座ってから「ベッドの中で微睡んでるのを起きてるなんて言...

30

2016

No.020 夢かもしれない あきつく

鼻唄まじりで昼食休憩から戻ってみれば___「つ”くじぜんぱーい__データークラッシュしちゃいましたーー」怖い事を言い出す由加里ちゃん「牧野先輩、戸田物産からクレームあったんすけど、どうしたらいいっすか?」舐めた口聞きながらふざけた事を抜かす松下君二つ続けてトラブル発生?と目の前が真っ暗になる。ブルンと首を一振りしてから気持ちを入れ替えて「OK OK 由加里ちゃんはもう一度入力して、松下君は由加里ちゃん...

25

2016

No.015 コアラって あきつく

「美作さーーん、見て見て」充分過ぎる程大人の女なのにも関わらず___大声あげて嬉しそうにはしゃいでる。「うんっ?」「空、空、空」空を見上げれば、オランウータンがスカイウォークをしている。オランウータンの空中散歩よりも……俺にとってお前を見てる方が楽しいかもしれない。そんな言葉を呑み込んで「おっ、凄いな」「ねっ!次は何見る?コアラ見ちゃう?」顔をクシャクシャに綻ばせて俺の目を覗いてくる。その顔があんま...

20

2016

No.010 ティンクル あきつく

小ちゃな頃ね……あたし花の妖精に出会ったの突然彼女が話し出した。「花の妖精?」「うん。花の妖精。フワフワしててとっても綺麗だったの。あたしの命の恩人__かな」「ふぅ~ん」花の妖精か……どんな妖精だったんろう?なんて頭を過った瞬間……思い出した「あっ、俺も小ちゃな頃__ティンクルに出会ったよ」「ティンクル?」「あぁ」沢山の流れ星が流れた夜だったバルコニーから外に出て、裏山のお気に入りのの場所に向かった。真...

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2016

No.005 いい事思いついた! あきつく

僕の名前はミャーミャ  ミャーミャー鳴いてたかららしいんだけど__なんか安易だし……男なのになんか変だよね?それなのに「ミャーミャ ミャーミャ」つくしに呼ばれればミャー 一声鳴いてから、嬉しくって喉をゴロゴロ鳴らしながら脚に頭をなすりつけちゃうんだ。カラ カラ カランつくしがカリカリをお皿に入れてくれる。チェッ 今日はカリカリかぁって思うけど……お給料日前って言うの?だから仕方ないんだよね。うん、仕方...