明日咲く花

花より男子の2次小説になります。

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2018

無花果の花は蜜を滴らす 10

あたしには、役者の才能があるんじゃないかと錯覚するほど、万里くんを愛する恋人役を演じた。最初は訝しがっていた万里くんも、恋する男そのものに……そのうち、自分の望む “つくし” しか見なくなってくれた。万里くんの望む “つくし” は、茶番のように滑稽だ。天真爛漫に屈託無くよく笑い、楽しくも無い話をさも楽しそうに話し、万里くんの女友達にヤキモチを妬き、媚びを売るように甘え、おねだりをする。本当のあたしは、恋した...

28

2018

無花果の花は蜜を滴らす 09

バタンッと扉が閉まれば、この部屋特有の甘い香りがあたしを包む。「つくし、とってもいい子だったね」万里くんはそう言うと満足そうな微笑みを一つ浮かべた。「学校もそろそろ行かなきゃね」「行ってもいいの?」「もちろんさ。いい子にするって約束守れてるしね」繋がれていた指先が解けて、テーブルに置かれた錠剤と水の入ったグラスをいつもの様に手渡された。万里くんは、あたしが嚥下するのを確かめたあと、あたしの髪を撫で...

08

2018

無花果の花は蜜を滴らす 08

千暁さんは、あたしの手を取り「つくし行くぞ」そう言ってくれたのに……あたしの身体は動かない。まるで全てがわかっているかの様に瞳子おば様は、優雅な仕草でベルを鳴らし執事を部屋に呼んだ。「鴇田、千暁さんにお帰り頂いて」執事が三回手を叩くと黒服の屈強な男達が現れて、「つくし、一緒に来るんだ」と叫ぶ千暁さんを引きずっていった。いつのまにか隣に来ていたおば様が、あたしの髪をゆっくりと撫ぜている。そして連れて行...

03

2018

無花果の花は蜜を滴らす 07

あの後、帰国した千暁さんがどんなに抗議しようともあたしの前の学校への復学は認められず、中学の時に通っていた付属の高校に転入が決まっていた。特権階級の人間達の巣窟のような場所だ。あたしがあたしでいるために、呼吸いきを自由にするために飛び出したのに……再びその場所に引きずり戻された。しかも……幾つかのオマケ付きで。「進君、大学はハーバードに行きたいんですってね。将来優秀よね。ねぇ、つくしちゃん、それなら、...

23

2018

無花果の花は蜜を滴らす 06

「うーん やっぱりつくしちゃんには、こんな風な柔らかい色合いのドレスが似合うわね。ねぇ、万里そう思わなくて」「うん。この方がつくしらしいよね」髪をフワリと巻かれて淡い色合いのシフォンのドレスで身を包んだあたしは、作り物の笑いを浮かべている。櫻之宮の屋敷の中にいると、あたしはあたしらしく笑えなくなる。「そうそう、つくしちゃんにプレゼントがあるの。万里、つくしちゃんに付けてあげて」瞳子おば様は、ベルベ...

15

2018

無花果の花は蜜を滴らす05

『つくし……いまなにしてる?』どういう経緯になっていたのだろうか? 無断欠席したあたしの連絡が櫻之宮に届いたらしく、大ごとになっていると万里くんから電話が入ったのだ。『お母様が警察に届けるって言ってるんだ。直ぐに迎えを出すから、こっちに来てくれるかな?』「……電話で話すだけじゃダメ…なのか…な………」帰りたくなくて、勇気を出して口にした。『そう言ったんだけど、電話に出ただけじゃ分からないって。誰かに脅され...

11

2018

無花果の花は蜜を滴らす04

着慣れた制服に腕を通し、持ち慣れたカバンを手にして家を出た。いつもと同じ時間、いつもと同じ場所で電車に乗った。耳にイヤホンをしていつもと同じ音楽を聞く。目に入ってくる風景だって、いつもとそんなに大差ない。あたしの前にはOL一年生のサッちゃんが立っている。サッちゃんとあたしは別に友達でもなんでもないけど、この4月から、毎朝同じ車両に乗り合わせている。見るからにフレッシュバリバリのOLさんで、最初の一ヶ月...

07

2018

無花果の花は蜜を滴らす 03

深夜0時日本にいないはずの千暁さんの名がコール音とともに現われたとき、嫌な予感がして、電話に出るのが怖かった。「万里にバレたかもしれない」なのに、千暁さんから、そう告げられた瞬間、ここ数日感じてた違和感の正体に納得していた。「うん。わかった」「つくし……ごめんな」情けなさそうな声音を出しながら、あたしに謝る。千暁さんは悪くない。今まで必死で櫻之宮からあたしを守って来てくれたのだから。心の奥底で覚悟し...

05

2018

無花果の花は蜜を滴らす 02

「確かに、今度食べに行こうとは言われましたが……」「昨日の昼食は会食だったし、夜は残業だったからね。それに明日は休みだろ? だったら来ない選択はないだろ?」彼は、ニッコリ微笑んでカブサを口にする。その笑顔があまりにも可愛くてたまらない。今日の花沢さんマル秘日記には、この事を書こうと決めた。「本来は、手で食べるんですよ」「ふーん。外だとやりにくいから、牧野さん、今度作ってよ」彼の瞳がキラキラ光りながら...

27

2018

無花果の花は蜜を滴らす 01

「へぇ、案外、さっぱりしてて美味しいんだね」形のよい唇が鯖サンドを咀嚼する。美しい男は何をもってしても美しいのだと感心しながら、怪しまれない程度に盗み見をした。「ヨーグルト漬けにした鯖を焼いて、レモンたっぷり絞ってあるんでさっぱりなんですよ」「この魚がサバだっけ?」「えぇ、……って、専務、鯖もしや初めてですか?」「うーん、どうなんだろう?会議の時に、弁当とかに入ってる?」疑問系で問われて会議用のお弁...

16

2018

無花果は香る

「ヴァムピール」形の良い彼の唇から微かに小さな声が漏れた。10年ぶりの言葉が吸血鬼だなんてと、一瞬、クラリと倒れそうになりながら「花沢専務、せめてヴァムピーラとお呼び頂けませんか?」平静を装い女性形容詞を返した。彼の唇が「失礼」と謝罪を述べている。あたしの中の凝り固まった緊張が一気に溶けていく。同時に溢れ出す彼への思い。あぁ、あたしは、やっぱり彼の全てを好き 好き 好き 好き 好き 好き 好き 好き ...

07

2018

無花果の花はうちに咲く ~交差~ 類つく

小さな頃から、感情を表に出すのが苦手だった。腹の底から笑ったことも、怒りを露にし泣き叫んだこともなかった。内にこめた感情は行き場を無くし、行き場を無くした感情は心を壊した。壊れた心は真っ暗な中を彷徨った。暗闇の中の俺に柔らかな光を与えてくれたのは静だった。静の側に居れば柔らかな光の中に居られた。それは、とても居心地の良いものだった。静さえ見ていれば、他の人間には心を閉ざしたままでいられたから。だか...

15

2017

無花果の花はうちに咲く ~過去05~ 類つく

最後の見開きの頁を飾っていたのは、二枚の写真だった。白イチジクを頬張る幼き彼女と、黒イチジクを頬張る現在の彼女。どちらの彼女も至極幸せそうでフ思わず笑みが漏れた。次の瞬間……御堂の言葉が脳裏に甦り、彼女と御堂の間に流れる時間ときの長さに思い至った。ビリッ……ビリビリビリッビリビリビリビリ……全ての写真が紙くずとなり散乱する部屋を飛び出し、彼女が住むマンションへと向かった。携帯のダイヤルを押そうとした瞬間...

08

2017

無花果の花はうちに咲く ~過去04~ 類つく

彼女の身体は、甘い蜜そのものだった。甘い蜜は俺の理性を奪い、欲を剥き出しにさせていった。全ての穴という穴を犯すように貪った。愚かなことに快楽を与えるという形で彼女を支配しようていたのだ。彼女の身体を貪れば貪るほど心は飢えて、堪らなく渇いていった。「いつも言ってるけどさ、そんなとこに突っ立ってると邪魔だから座んなよ」彼女は俯きながらソファーの端に座る。「そこだとテレビが見えない。こっち来て」俺の隣を...

06

2017

無花果の花はうちに咲く ~過去03~ 類つく

まさか、その時が彼女の初めてだなんて思いもしなかった。あまりの快楽に、彼女の出す破瓜の血にさえ気付かずに、淫乱だと罵り朝まで抱き潰した。消えた温もりを探すように目覚めれば、ベッドの中から彼女は消えていた。あれほど深い快楽を共にしたと言うのに、一人残されたと思うと良くわからない激しい感情が湧いてきた。数日経った昼下がり、車を走らせ彼女の通う高校に向かった。校門近くで車を止めさせ暫く待てば、運良く彼女...

04

2017

無花果の花はうちに咲く ~過去02~ 類つく

指に絡ませた黒髪をストンと落しては、絡ませる。何度も何度も繰り返される指の動きに、醜い思いが湧き上がる。御堂の目が細められ、指に絡めた髪に口付けを落とした瞬間……堪えられず席を立ち上がろうとすれば「お食事中ごめんなさい……電話が入ったみたいで」席を立ち上り外に出ていった。御堂は真っ赤なワインを傾けながら「あいつ、可愛いいでしょ」自慢するかのように口にした。「あいつの長い黒髪、白い肌、しなやかな肢体、全...

02

2017

無花果の花はうちに咲く ~過去01~ 類つく

真っ赤に熟れた無花果のように……花はなかに咲く。「牧野つくしと申します」これはデジャブ? 俺は目を擦った。「私の顔に何かついてますでしょうか?」「あっ、いや」同姓同名?いや、牧野だけならともかく、つくしなんて珍しい名前がそうそうあるわけもない。透き通るような白い肌にボルドー色の口紅が艶かしくて「ヴァムピール」小さく呟いていた。目の前の彼女は、眉根を寄せたあと「花沢専務、せめてヴァムピーラとお呼び頂け...

01

2017

無花果 ~過去07~ 類つく

「つくし、どうした?」過去へと想いを馳せていたあたしの顔を千暁さんが覗き込む。「あっ、うん……千暁さん、いつ迎えに来てくれる?」「夜には来れるようにする」「うん。じゃ、頑張る」「あぁ。いつも悪いな」だったら静さんと別れて……と、言いそうになって、慌てて首を振った。「じゃ、おやすみ」いつものように、おでこにお休みのキスをひとつ残して、千暁さんは部屋を出ていこうドアノブニ手をかけて、何かを思い出したように...

01

2017

無花果 ~過去06~ 類つく

無花果を頬張るあたしの写真と共に千暁さんが自宅に挨拶に来たのは、初めて会った2週間後だった。パパやママ、弟の進と瞬く間に仲良くなった。当時まだ学生だった千暁さんは、暇が出来るとあたし達家族に会いに来た。弟しかいなかったあたしは、兄が出来たようで嬉しくて堪らなかった。膨大の量の撮り貯めた写真で作ってくれた家族のアルバムには、あたしが、進が、パパやママが写した千暁さんの写真も沢山含まれている。無花果を...

29

2017

無花果 ~過去05~ 類つく

「あらあら、千暁さんの独占欲ったら。あまり束縛が激しいようだと、つくしちゃんに愛想つかさられてよ。ねぇ、つくしちゃん」あたしが答える前に千暁さんは、大袈裟なほどにかぶりを振り「つくしが俺に愛想を尽かせる? ない。ない。そんなことないから、安心なさってください。なっ、つくし」千暁さんは、あたしの髪に絡めていた指を離して、あたしの右手にそっと手を置く。あたしは千暁さんの顔を見上げてから、おば様の目を見...

26

2017

無花果 〜過去04〜 類つく

夢の中で目覚まし時計がしつこくなり続けるのが聞こえる。夢うつつの中でベッドサイドを探した。いくら手を伸ばしても、目覚まし時計を止められず、同じ動作を繰り返す。「うっう~んっ、あと5分」そう呟いて布団に包まったところで、はたと目を覚ました。目を開けて辺りを見回せば、部屋の中が夕闇に彩られていて、あたしは慌てて起き上がる。素肌の上に彼が脱ぎ捨てたであろうシャツを羽織り、自分の服を探す。ベッドの周りには...

23

2017

22

2017

20

2017

無花果 〜過去01〜 類つく

ありがとう企画第四弾...

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