明日咲く花

花より男子の2次小説になります。

15

2019

ネクタール 08 つかつく

「……多分、そう……だな」俺の返事に、牧野の瞳は更見開かれ、大袈裟でも何でもなくて、今にもおこっちそうだった。人間の目ってこんなにデカくなんだなって変なトコに感心した。いやっ 待てよ。こいつ若しや 妖怪 蔵ボッコ改め、一つ目タヌキか?いやいや、目が二つあるから、一つ目って事はねぇよな。「……司さん、司さん、なんか全く違うこと考えてません?」大きく見開かれていた筈の瞳が、スゥーっと細められ俺をジロリと見てい...

07

2019

ネクタール 07 つかつく

目的の場所についても眠る牧野を見つめていたくて、エンジンをつけたまま停車していた。眠る牧野は、俺の願望がそう見せるのか……なんだかとっても幸せそうで満ち足りた顔をしていた。その顔を見つめれば、心の奥底からなんとも言えない気持ちが湧いてくる。フワフワとして甘く蕩けそうで、なのに……なんだか、涙が出そうで……って「……ったぁ、俺、まったくもってイカれてんな」恥ずかしくなって……ハンドルにうっぷした途端プーーーク...

14

2018

ネクタール 06

俺、なんか変なこと言ったか?っん?牧野を見れば真ん丸の目をしながら真っ赤になって「あたし、あたし……本当に、本当に司さんが理性失っちゃうくらい可愛いですか?」どうやら俺、盛大な独り言を呟いていたらしいカァッーと、頬が、いや全身が火照り、あまりの恥ずかしさで口籠る俺。「ははっ 思い上がりも大概にしろですよね」心なしか、肩を落として俯く牧野。好きな女を俯かせんな。恥ずかしついでに……俺、素直になれ「し、死...

29

2018

ネクタール 05 つかつく

「おっ! 久しぶりだな」「忙しいとこ、悪いな」「かまわねぇそれにしても、三人揃って頼みごとって何だ?」ソファーに腰掛けながら三人の顔を交互に見た。なんとなく普段と違って見えるのは気のせいか?マドラーと氷の触れ合う音がカランとなって、俺の前に水割りが差し出された。琥珀色のその液体をグイッと飲もうとした瞬間……一枚の紙が俺の前に置かれた「なんだ、コレ?」まじまじと見れば、それは牧野の履歴書だった。コレが...

19

2018

ネクタール 04 つかつく

牧野は、困った顔をして「妹じゃないのは知ってるよ」その言葉に俺の胸は、ズキンと痛くなる。恋は、ワクワクや幸せと共に、こんな胸の痛さまでも連れてくんだって……初めて知った。「大切な幼なじみ……だよトウもハナヤンもミマくんもそれは向こうも一緒だよ」胸の痛さが俺を打ち、言わなくてもいい言葉が、押し込めてた思いが、口から出て行きやがる「向こうは、向こうは、お前を特別な女として見てる」黒い思いは止まらない。「お...

15

2018

ネクタール 03 つかつく

結果牧野はスゲェ可愛かった。そして俺は、夏が終わる頃には身悶えする程に牧野に恋をしている自分に気が付いた。何故か相変わらず、スーツになると地味で冴えない牧野になる。生地は上等だ。着心地も良さそうだ。だが、垢抜けねぇんだ。「なぁ、牧野のスーツ……どこで買ったんだ?」心臓バクバクさせながら聞いてみた。「うんっ? あっ、コレは幼なじみ達からの就活応援プレゼントなんですよ」ニッコリ笑って牧野が言った。その言...

13

2018

12

2018

ネクタール 01 つかつく

どこで買ったんだ?みんな同じような没個性のリクルートスーツの中で、黒のスーツの女だけが際立って冴えなく感じてテレビモニターを凝視した。人事部長が「牧野さんは、インターン生の中でみとても優秀なようですが、我が社を受けられた志望動機をお教え下さい」ルーチンワークのように、用意された質問の一つを目の前の女に聞いている。四角四面の面白くもなんともない定型文のような答えが返ってくる筈だった。「二十歳の誕生日...