02
2019
愛と欲望の果て ~能登でちゃぷん~ 第九話
慌てて食った能登牡蠣がつくしの口の中にスルリと吸い込まれて、咀嚼音と共に喉が上下する。そんななんでもない事なのに……やべっマジ色っぺい。先ずは、しっかり腹ごしらえさせてからなんて思っていたが、食べる行為はどこかエロティックで、俺の欲を擽りやがる。「っん?総、どうしたの?ソレ見せてよ」「あっ、っん」そうだ先ずは、コレの存在だ。透明のボトルの中には、金箔が浮遊した黄金色の液体。つくしがボトルに手を伸ばす...
02
2019
愛と欲望の果て ~能登でちゃぷん~ 第五話
珠洲岬に降り立てば「綺麗だね」「あぁ 綺麗だな」そんなありふれた言葉しか出なくなるほどに圧倒される。目の前に広がったのは、碧い碧いどこまでも碧い海だった。ビュービューと煩いほどに風が吹く。どちらからともなく、手を伸ばし繋いでいた。繋いだ手が凄く温かく感じた瞬間「幸せだなぁ」風の音に紛れてしまいそうな、つくしの小さな呟き。その小さな呟きに、この手の温もりの本当の正体を知る。喜びは二倍に、悲しいことは...