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2016
Swallowtail butterfly 〜ひと欠片の記憶〜 司ver
海の上を、ひらりひらひら、アゲハ蝶が飛んでいる。ボォッーーー汽笛を鳴らして、船が通り過ぎて行く。「つまらねぇ」男は、何かに苛ついている。幸せを知っていた筈なのに‥愛を知っていた筈なのに‥あの日、全てを失った。あの日から、幸せなど感じた事はない。ある日、偶然手にした一葉の写真が‥男の胸を掻きむしる。それは、幸せそうな自分。満面の笑みで、ファインダー越しの誰かに笑いかけている自分。たしかに自分なのに‥‥自...
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2016
〜アゲハ蝶〜 類ver
ラジオから曲が流れている。隣で微睡む女の髪を撫でながら‥ハハハッ と渇いた笑いが出る。あなたに逢えたそれだけでよかった愛されたいと願ってしまった。耳にした歌詞が、俺の気持ちを代弁しているようで‥涙がハラリと頬を伝わった。目の前の女を、強く、強く抱きしめる。「‥うんっ‥どうしたの?」半分寝惚けながら、愛する女が俺に聞く。「っん?どうもしないよ。俺の小鳥ちゃんが可愛いなぁと思ってね」耳まで真っ赤にしながら...
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2016