明日咲く花

花より男子の2次小説になります。

05

2017

紅蓮 101 つかつく

お帰りなさいませ沢山の使用人が一斉に頭を垂れる。宗谷に抱きかかえられながら「とぉしゃま、ココは?」 「うんっ?ここはね、父様の育った屋敷だよ」「そだぁった?」「あぁ、父様は、ここで生まれて、ここで大きくなったんだよ。そうそう父様と母様が出会ったのもここの屋敷だったんだよ」「であった?」「そうだよ。いまの永久くらいの時に、父様と母様は出会ったんだよ」「とぁしゃまとかぁしゃまが?」「あぁ、だからここに...

18

2017

紅蓮 100 つかつく

「ちょ__う、き…れ…ぇ」 美繭の口から久しぶりに出た言葉に、後ろに居た男が嬉しそうに答える。 「あぁ、綺麗だね。美繭は小さな時から蝶が好きだったもんな」 男は青いアゲハを見つめる。アゲハは、美繭の周りをヒラヒラと美しく舞う様に飛んでいる。 精神が壊れた美繭の顔は、闇の世界の美容整形医の手によって、眼球に施された人工虹彩は抜き取られ、玲久と似せるために施されていた鼻と顎の人工プロテーゼが取...

17

2017

紅蓮 99 つかつく

動きを止めていた歯車が一斉に動き出す。 車椅子に座った女の周りをヒラヒラと青いアゲハが舞っている。 女は、青いアゲハに指を伸ばしニッコリと微笑む。 その顔には、苦悩も悲しみも___なにもない。 そこに居るのは美しく綺麗な人形…… 辛い事も 苦しい事も全て忘れ、 ただ微笑んでいる人形だ。 __玲を出産した美繭は、出産の影響からなのか? 作り上げ植え付けられた玲久の人生全てを忘...

16

2017

紅蓮 98 つかつく

「パパ〜」美しい髪をサラサラと靡かせながら、玲が近づいて来る。満面の笑みで両手を広げて「玲」愛しい息子の名を呼び抱き上げる。「パパ、おひげがくしゅぐったいよ」クスクス笑う玲の頬に顎を態と擦り付ければ、「もう、おかえし」そう言いながら小さな手で首もとをくすぐろうとする。誰が教えた訳じゃないのに___玲久が俺にした事と同じ事をする。恨んだ神に感謝をしたのは、玲が産まれた瞬間だった。玲は不思議な事に生物...

16

2017

紅蓮 97 つかつく

クルクルな髪? 遺伝子? 何を言っているのかが理解出来ずに、スマホを持ったまま阿呆のように類を見つめれば 「……司、俺、そっちの趣味はないからあんまり見つめないでよ」 類が大袈裟に眉を顰めながら口にする。 「あっ、ワリィ」 冷静に考えれば俺全くもって悪くなんてないのに、そう口に出して謝っていた。 「司が素直に謝るなんて___虹色の太陽が出ちゃうかもね。クククッ」 何が可笑しいの...

11

2017

紅蓮 96 つかつく

「……つくしが……娘を…連れて……帰って…くる……」 類の言葉を反芻するように繰り返えせば 「牧野の産んだ子、娘らしいんだけど。牧野以上に外に出さない。もうじき3つになるらしいんだけど……一度も正式にお披露目は無し。お披露目が無しどころか、写真一枚出回らないし、娘の世話をするのも限られた者のみらしいよ。宗谷家の極秘事項って...

08

2017

紅蓮 95 つかつく

「奥様はお幸せでございますね」 この言葉を言われる度にあたしは、どこか宙ぶらりんな気持ちになりながら俯き微笑む。 言葉を放ったものは、それを恥じらいとでもとるのだろうか?至極満足げに微笑みながら頷くのだ。 そう、あたしは〝幸せ〟なのだ。 夢物語のように小ちゃな頃の初恋が実った。若くして莫大な富と名声を持つ夫がこよなく愛する妻という立場。美しく利発に育っている娘。 誰もが羨む 〝幸せ〟 ...

02

2017

紅蓮 94 つかつく

八の字を書きながら真っ青な空にツバメが飛んでいる。 後ろから付いて歩く母親に見守られながら、幼子がおぼつかない足取りで一歩一歩足を前に進めている。 「永久(とわ)」 幼子を呼ぶ優しい声がする。 永久と呼ばれた幼子は目をキラキラと輝かせながら上を見上げ、満面の笑みを浮かべながら手を伸ばし抱っこをせがむ 「とぉしゃま」 とぉしゃまと呼ばれた男は、手を伸ばし永久の身体を宝物を抱くように抱...

15

2017

紅蓮 93 つかつく

頷かなければ良かった。 でも、黒真珠のような大きな瞳で真っ直ぐに見つめられれば、頷くしかなかった。 玲久の瞳が好きだった。真っ直ぐに俺を見る瞳。 違う。玲久の全てが好きだった。髪の毛一本だって玲久のものなら愛おしかった。 玲久、玲久、玲久___会いたい 会って抱き締めたい。 玲久、玲久、玲久  *-*-*-*-*-* 美繭が己の命を断とうと手首を切ったあの日あの時、設楽夫妻は宗谷の...

14

2017

紅蓮 92 つかつく

美繭の腹に手を当てながら__♪おろろん おろろん おろろんおろろん おろろんよおろろん おろろん おろろんおろろん おろろん おろろんよ♪玲久がよく口ずさんでいた子守唄を歌う。これから生まれる玲久の血をひく子供に思いを馳せながら。玲久と最も近い遺伝子をもつ宗谷の精子がどうしても欲しかった。生まれなかった我が子の代わりに?  玲久の代わりに?自分でも解らない。解っているのは、死を許されないのならば、こ...

15

2017

紅蓮 91 つかつく

「玲久__」 何万回、君の名を呼んだだろう。 何万回、アイシテルと伝えただろう。 それでも足りずに何度も、何度も名を呼び、何度も、何度もアイシテルと伝えた。 会いたい 会いたい____ もう一度、玲久、君にアイタイ そして、君の名を呼び、もう一度アイシテルと伝えたい。 君を失ったあの日 ___俺は君だけでなくもう一つの大事なものを失った。 生きていけないと思った俺をこの世の中に引き止めた...

12

2017

紅蓮 90 つかつく

夢の中で、誰かがあたしに手を差し伸べている。この手を掴めたら、あたしは幸せになれる。そう解っているのに夢の中のあたしは、その人の手を取らない。その手を取りたいと願うのに、掴めない。夢の中のあたしは、この手の持ち主を心の底から愛してる筈なのに「あぁっーーー」「つくし、つくし、どうした?」優しく身体を揺さぶられ、あたしは目を覚ます。「凌さん__あたし、あたし、手を掴めなかったの」「何を言ってるんだい?...

10

2017

紅蓮 89 つかつく

日々大きくなるお腹を摩りながら幸せに酔い痴れる。不確かな自分の中に芽生えた確かなものの存在。それだけでなんて幸せなのだろう。このお腹の中の子は、何も考えなくてもいいと私を楽にしてくれるのだ。日本に来て体外授精を設楽から持ち掛けられた時___記憶の失った私が親になるなんて出来ないと断った。「だからこそ、確かなものを二人で築き上げていこう」そう言われて、どうせ籠の鳥ならばでも__決めて良かった。今なら...

09

2017

紅蓮 88 つかつく

宗谷が呼称を〝私〟から〝俺〟に変えたのは、何を思ってだったのだろうか?結婚してからずっと住んでいた本邸を出て、宗谷家にとっては小さな洋館に住まいを変えた。とは言え、広大な敷地の中に立てられた洋館は、一見、自由そのものに見えるのだが中から外に出る事も、外から中に入る事も宗谷の赦しを得なくては、難しい作りになっている。いつから計画されていたのか? 母屋から渡り廊下で繋がった建物の中には、最新機器の揃っ...

01

2017

紅蓮 87 つかつく

つくしが記憶を失い一月以上が経つ。 虚ろなつくしの心に、毎日のように嘘の記憶を植え付けていく。 「ご両親の都合で俺とつくしとは、一時期離れ離れになったんだよ」 「そうなの?」 キョトンとしながらつくしが聞き返せば 「あぁそれまでは、ずっと一緒だったんだよ__ ただ、そのあと直ぐに、俺も祖父母と共に居を移したから、大人になるまで再会できなかったんだよ」 「なんで__あたし覚えてないのかな__...

28

2017

紅蓮 86 つかつく

人は、愛する者を失った時、どこかに憎しみの対象をおかなければ心が壊れてしまう。宗谷にとって、己の心を守る為に憎む対象が、つくしと司の二人の愛だったのだ。切っ掛けは、美繭が羨ましそうに洩らした言葉「あんなキレイな恋……私もしてみたかったなぁ」耳について離れなかった言葉。 美繭を失った後、その言葉が何度も蘇った。その言葉を思い出す度に、自分の恋心がどれほどに邪で狂っていたかを、己の思いを遂げる事がどれだ...

25

2017

紅蓮 85 つかつく

二卵性双生児で産まれた二人の容姿は、ウエヌスのえくぼを除いて似ていなかった。性別も容姿も違う二人が双子だと知るものは、極々限られた人物だけだった。影は、玲久と名付けられ、双子を取り上げた医師と双子の母と乳兄弟であった絢子の実子として渡米した。宗谷家を継ぐものは、一人で構わないのだから。いざと言う時のスペアは、普段は必要のない影なのだ。宗谷凌は、宗谷家の跡取りとして育てられた。親の愛を殆ど知らずに成...

23

2017

紅蓮 84R つかつく

目の前で美しく笑う妻を愛していた。妻に良く似た娘が誕生し幸せの絶頂に居た。男の幸せに影が差したのは愛する娘の身体ウェヌスのえくぼを見つけた時だった__妻にも、男にもない腰に並んだえくぼ。親友だった男の腰に2つくっきりと並んでいたえくぼ。膨れ上がる疑心暗鬼の心を晴らすために、秘密裏にDNA鑑定を行った。結果は___100パーセントの親子関係の否定。愛する妻が、時折見せていた淋しそうな瞳の理由全て理解した。...

23

2016

紅蓮 83 つかつく

狂ったように泣き叫び絶頂を迎える女を眼下にした時___やっとこの女を掌中に収められたと笑いが広がった。全て筋書き通りだと。司君、君ではつくしにこんな美しい花を咲かせられなかったろ?蓮は泥の中にあってこそ初めて美しい花を咲かせる。泥がなければ美しい蓮花を咲かせられない。蓮は、泥の中で根を伸ばし蓮花を咲かせる__美しい美しい蓮花を。アメリカの友人から設楽を紹介されたのは、もう彼此れ2年程前のことだ。優...

22

2016

紅蓮 82R つかつく

がっつりRです。自己責任のもとお読み下さい。******************...

21

2016

紅蓮 81R つかつく

がっつりRです。自己責任のもとお読み下さい。******************...

20

2016

紅蓮 80 つかつく

司があたしに手を差し伸べてくる。この手を掴みたい。なのに……あたしは、この手を掴まない事を知っている。そう、全てが過去の事なのだから。なのに、幾度も幾度も夢を見る。幾度も幾度も後悔に動かされた夢を見る。あたしは、あの日あの時、愛する男が差し伸べてくれた手を取らなかったから。何故? わからない。ただ、差し伸べてくれた手を取れなかった。それだけだ。あの朝____朝もやと共に「つくし、手筈は整ってる。俺と...

19

2016

紅蓮 79 つかつく

「つくし……」狂おしい程に愛している女の名を呼ぶ。刹那脳裏を過ったのは、蝶の舞うあの温室で後ろ手を縛られながら美しく淫らに男を誘っていた女のことだった。慌てて首を振り邪な考えを押し出した。これ以上つくしを傷つけてはいけないと。いや違う。俺は蓋をしたのだ。淫らに男を誘ったニンフなど居なかったと。つくしを再び抱いた事で所有欲が沸いてしまったのだ。だから、宗谷のことは忌まわしい過去として葬ろうと蓋をしたの...

18

2016

紅蓮 78 つかつく

桜子の指があたしの瞼を優しく撫でた。「先輩、如何なさいますか?」如何なさいますか?そう聞かれ……あたしの心は千々に乱れる。司の元に帰りたい。でも……色々な事がグルグルとあたしの中を掻き乱す。呼吸が荒くなり、発作の恐怖が襲って来る。死んでしまうのではないかと思う程に息が苦しくなる……目の前が真っ白になりそうになった時、ガラッと戸が開く音がして__誰かがあたしの手を掴んだ。大きな大きな手に掴まれてあたしの心...

17

2016

紅蓮 77 つかつく

目を白黒させ驚くあたしに向かって「もう、本当に先輩は、純情でいらっしゃるんだから。床上手は、卑下することではありませんことよ」美しく澄ました顔でクスリと笑う。「道明寺さんで物足りないようでしたら、お上手な方をいつでも紹介致しましてよ」真顔であたしに向き直り、冗談とも本気とも掴めない事をサラリと言いのける。桜子の優しい言葉に__鏡を見る度に憂鬱だったあたしの心が晴れていく。二人で部屋に戻れば、テーブ...

16

2016

紅蓮 76 つかつく

前を向いた瞬間__ニッコリと桜子が微笑む。「滋さんがこちらにお戻りになられますわ」「滋さんが?」「えぇ先輩、受け入れるのならチャンスを受け入れて下さい」あたしの手から封書を掴んでバッグに仕舞う。「__つくし奥様」永瀬から声が掛かり辺りを見回す「宗谷は?」あたしの問いに「凌様は、急用が出来たとの事で先にお帰りになられました。三日ほど、西門様のお邸で過ごされるようにとのことでしたが_いかがなさいますで...

15

2016

紅蓮 75 つかつく

無事に最後のお客様のお見送りを終え、襲名披露の祝賀会が終わりを告げる。「__これ」桜子があたしの前に封書を差し出してくる。中を開けた途端__微かに薫る香りに胸がいっぱいになる。封書の中には、真っ白なカードとeternalエタナールの香りが閉じ込められいた。まだ持っていてくれたんだ___司があたしの為に選んでくれた香り。あたしの心は、一気にあの日に旅立っていく。*****久しぶりに繋がった電話に嬉しくて嬉...

13

2016

紅蓮 74 つかつく

「司__大丈夫か?」あきらが俺の顔を覗く。「あぁ……ありがとう。類、嫌な役引き受けさせちまって悪かったな」あきらと類が顔を見合わせながら「司がありがとう?」「司が謝ってる?」同じ様な言葉を発した後に二人揃って笑い出す。一頻り笑ったあとに「じゃぁさ、牧野が司と一緒になったら俺に一日牧野貸してよ」「なっんっ!」「クククッ、仮定の話でも怒るんだ」「フンッ」「まぁさぁ、俺、アイツなんか気に食わないし、司のが...

12

2016

紅蓮 73 つかつく

つくしの言葉を聞き、どこか満足げに宗谷の薄い唇が上がった瞬間……俺は、つくしを取り戻す為の小石を投げる。「宗谷さんは、何でも良くご存知でいらっしゃる__ならば、設楽先生の奥様が、美繭さんがお亡くなりになられた時に近くに居た事ご存知ですよね」美繭……その名を耳にした瞬間、宗谷の顔が醜く歪み俺の目を射るように見た……俺は神に感謝する。信じてなどいなかった、いいや憎んでさえいた神に感謝する。俺のたった一縷の希...

10

2016

紅蓮 72 つかつく

「自由を願う?ははっ、花沢さんは面白い事をおっしゃる。自由とはいったい何ですか」宗谷の薄い唇が意地悪く上がりながら類の瞳を見つめている。類は、柔らかく笑って「__愛する人がありのままで居られることでしょうかね?失礼ですが……今の牧野は、牧野らしさが感じられないかと」類の言葉を受けた宗谷がさも楽しそうに「花沢さんは、つくしの何を見て、何を感じて、ありのままだとおっしゃるのですか?人は変わるものでは無い...