明日咲く花

花より男子の2次小説になります。

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シーソーゲーム 1 類つく

「お嬢様ー お嬢様ー」あたしを呼ぶ婆やの声がする。「ふわぁ~」五月蠅くってかなわないなぁーと思いながら、屋根裏部屋で昼寝する。今日はあたしの16歳の誕生日。なんでもお爺様からあたしに、話があるらしく...朝から邸の中が忙しい...あぁ~面倒だったらありゃしない。トントントントン 階段を登る音がする。「あっ、やっぱりこんな所にいらしゃったんですね」女中頭の千恵子がやってくる。「えへっ、バレちゃった?」...

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2016

シーソーゲーム 2

「千恵子〜千恵子〜」「つくしお嬢様、千恵子ではありません。ママとお呼び下さいませ。」「そっ、そうだよね。あっ、千恵子もお嬢様なんて呼んじゃいけないんじゃないの?」「ですから‥…ママですってば、お嬢様」ぷっ、あははっ、釣られて皆が笑う。千恵子夫婦もとい、ママとパパ、進、あたしの4人での生活が始まった。「ねぇ、ママ〜 ここはどこで寝るの?」「ここですよ。ココ。」「ひょほっ」「うへっ」進と2人死ぬ程驚いて...

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2016

シーソーゲーム 3

キンコンカンコーンキンコンカンコーンお昼休みが終わるベルが鳴る……むにゃむにゃあっ、次の授業だ!あたしの癒しの非常口に別れを告げてあたしは、走る。走る。全速力で。階段を降りようとした瞬間、前方にクルクル頭の大きな男が現れて、あたしの行く手の邪魔をした。なにこの男?そう思った次の瞬間、階段を転げ落……ちる前に、誰かの腕が、あたしの腕を掴み助けてくれた。ゆるふわロン毛の薔薇でも背負いそうな男。「大丈夫?」...

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2016

シーソーゲーム 4

何故?なぜ?WHY?この人は,こんなに笑っているの???あたしの人生で、こんなに笑われることなんて、ない‥‥いやいや、ありました。ありました。えぇ、えぇ、沢山沢山ありました。如月の本当にお嬢様?なんて失礼な事言われた事も‥あははっはっ‥ はぁっーーありましたとも。いやいや、今はそんな事じゃなくって。そうよそうよ。肩をトントンと叩く人‥うん??切れ長な瞳の殿様?うーん殿様じゃなくて〜そうそう若君が「司からな...

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シーソーゲーム 5

物陰に潜む‥ よし! 行けぇー き、き、決まった!! ヨシヨシ これで奴は、あたしの下僕♪‥の、筈だった‥ よね????ひゃぁーーーー なに、なに、青筋立てて追いかけて来るよぉ きゃっ な、な、南無三‥首根っこを掴まえられる‥「オメェ、何しやがる」怒髪天を衝く‥「あははっ、後ろ回し蹴り‥かなっ?」「はぁっー テメェ自分の言ってること解ってんのか?」「あははっ、た、た、多分‥」嘘つきー と思った瞬間。大笑い...

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シーソーゲーム 6

「ヨッ」片手をあげて、ニコッと笑う、ビー玉んひょっ ひゃーん マイッタ‥絶対、叫んでるの聞かれてたよね?あちゃぁー って、思った3秒後、あたしは気を取り直した。だって、だって、あたしは ”牧野” つくし でしょ?叫んだところで、婆やに怒られる事もないって事でしょ?そうよ、そう。如月つくし は、お嬢様だからダメだけど、今、あたしは ”牧野” つくし ですもんねぇ〜♪ククッ 庶民サイコー 「ククッ あんたの...

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シーソーゲーム 7

案外いい奴の枕詞に昇格した道明寺‥あたしに何くれとはなく、世話をやいてくれる。薔薇男も、若も、元気のないあたしを気遣ってくれる。ビー玉んは、静ちゃんのワンコに成り下がってる。横目で静ちゃんを観察する。静ちゃんは、確かに綺麗だ。頭もいいし、スタイルもいい。あたしに対するしつこさ以外は、性格だって良い。あたしだって、静ちゃんのしつこさに困る事はあっても、静ちゃんが大好きだ。だけど、なんか‥嫌だ。静ちゃん...

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シーソーゲーム 8

「さぁさぁ、ここじゃ何ですから‥上がって下さい」あたしには見せないような、とびきり愛想のよい笑顔を若に向けている。千恵子‥あんた、分かり過ぎだよ‥若こと、西門さんが部屋に入ってくる。流石、若宗匠だけあって‥流れる様な所作が美しい。で、肝心のあたしは何をしてたかって?コロッケにするか、メンチにするかを真剣に真剣に悩んでいた。どっちも甲乙つけ難くて‥悩みに悩んでいたら若がクスリと笑って「半々にしたらいいん...

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シーソーゲーム 9

ポペを思って、寝床についた。狭いお家は、一人で泣けないけれど‥寂しい時に、人の温もりを感じられる。小ちゃな頃、ずっとずっと憧れていた温もりを。「お嬢様、坊ちゃま、もとい、つくし、 進、朝ですよぉー朝、ホラホラ起きる起きる」千恵子‥ううん、ママの声に促されて目を覚ます。「「おひゃよぉ」」「うぷぷっ、おはようですよ」パパが笑ってる。笑いで始まる、牧野家の一日が、今日も始まる。ヨシッ! 打倒ビー玉んあたし...

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シーソーゲーム 10

ここドコと思ったのも束の間の事‥磯の匂いがする。鞄の中には、えへへっお弁当も入ってる。じゃぁさぁ、じゃあさぁ〜 行っちゃう?うん。行っちゃおう!あっ、先ずは‥あぁっーー ほっほぉーー  うーんヨシッ と。RRRRR‥「いつも大変お世話になっております。2年B組、牧野つくしの母ですが‥‥」うふっ、成り済ましOK♪さてっ 後は‥ 学生鞄と制服の上着をコインロッカーに入れて‥お弁当の入った袋と、お財布、スマホを持ったら...

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シーソーゲーム 11

「ただいまーーー」元気いっぱい帰ったあたしを待ち受けていたのは‥角の生えた千恵子と‥「お前大丈夫か?」心配顔のクルクル道明寺‥はぁっーーーーあんたの顔見るまでは‥超元気でした。えぇ元気でした。はぁっーーーーなんで、来るかなぁーあんた‥まさしく、間が悪い男だね‥千恵子の目があたしを責めている‥「ご、ご、ご、ごめんなさい‥」根掘り葉掘り聞かれて‥飛び乗った電車で、ついついうたた寝して‥ついたのが海でお弁当もある...

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シーソーゲーム 12

ピロリーン♪ 静ちゃんからLINEが入る‥「ゲッ‥」思わず‥声を上げてしまった。目の前で、勉強していた進がビックリした顔をして「姉ちゃん、どうしたの?」「あっ、うん‥‥柊兄ぃが‥しばらく日本に帰って来るんだって」「ホント?嬉しいなぁー」柊兄ぃ贔屓の進は、嬉しそうに、ニコニコしている‥ハァッー なんだか、余計にややこしくなりそうで、気が重い。って、柊兄ぃと、F4で知り合いだよね? 静ちゃんとF4が知り合いって事は...

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2016

シーソーゲーム 13

「「柊さん」」クルクルと若が、やってきて柊兄ぃに嬉しそうに声をかけている。F3と柊兄ぃの4人で、仲良さげに話し始めると、遠巻きに人々が集まり出してくる。この隙に、逃げよう‥あたしは、後退りする‥ 張り付いた笑顔を向けたまま‥あと、80センチで、群衆と紛れ込める。いやっほーラッキー♪ と思った瞬間「さっきの女の子は、知り合い?俺にも紹介してよ」柊兄ぃが‥F3に向かって話すのが聞こえる。ヒャッ か、か、勘弁‥踵...

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シーソーゲーム 14

なんなんだ、この茶番‥‥柊兄ぃは、あたしの横にどーんと陣取って「俺、一之宮柊。宜しくね」誰もが見惚れる美しい笑顔で、あたしの目を見つめなが自己紹介してる。「ホラ、見惚れてないで、お前も名前言えよ」クルクルが、あたしを小突いくる。はっ?誰が見惚れるか!この顔、この表情、どんだけ見てきたか。婆やと千恵子、進の次に見慣れた顔だっつぅーの。ホント、クルクルばかりは空気が読めないっていうか‥まぁ、悪い奴じゃな...

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シーソーゲーム 15

なんだか、散々は一日だった‥身体が重い、心が重い「お昼寝出来なかったからかな?」そう‥柊兄ぃに、お昼時間も呼び出されて、ラウンジでお弁当を食べたんだ。帰り際、皆がいないところで「自宅に戻ったら、迎えの車を出すから、一之宮の邸に来い」「今日は、ちょっと‥お茶のお稽古が」「つくしが?西門でか?」「‥うん」「ふぅーん、じゃぁそれが終わったらでいいや。静もくるから、絶対に来いな」絶対に来いと念を押されれば、頷...

03

2016

シーソーゲーム 16

「つくし様」そう声をかけられ、目を覚ます。40分程、車を走らせてくれたのだろう、頭がスッキリしている。今なら、柊兄ぃと戦える気がする。って、戦う? 戦う理由ないよね?うーーん「百面相になってるぞ」いつの間にやら、出迎えにきたのだろうか柊兄ぃがクスリと笑って立っている。静ちゃんが後ろからやってきて「つくしちゃーーん」嬉しそうに、抱きついてくる。ふわりっと、フローラルのいい香りがする。「いい香り‥」「...

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シーソーゲーム 17

「し、し、静ちゃん、誰と婚約するの?」「誰って、佐助さんよ。兵藤佐助。つくしちゃんにも前に紹介したでわよね?」「佐助さん?」「そう佐助さん」「あっ、おめでとうごございます」「うふっありがとう  ‥‥でね、佐助さんたらね‥」静ちゃんが、一人色ボケ状態で、蕩けそうに幸な顔をして嬉しそうに話してる。静ちゃんの相手を聞いて、心の底から、安堵するあたしが居た。次の瞬間‥ あたしは狼狽える。ビー玉んの顔が浮かんだ...

05

2016

シーソーゲーム 18

「‥‥の‥きの‥‥牧野?」「あっ‥はい‥‥」「どうした?心ここにあらずだな?ちょっと休憩にするか?」薔薇の香りを漂わせながら、美作さんがお茶を淹れてくれる。コトンッ目の前に置かれた紅茶は、美作さんのように優しい香りに包まれている。「美作さん」「っん?」「‥‥いままで、キザ男とか、薔薇男とか思っててゴメン」「えっ‥‥?えっ?えっ?それマジ?」「あっ!‥ごめんなさい」穴があったら入りたい‥と思った瞬間。クククッ ア...

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2016

シーソーゲーム 19

来月、嫁ぐあたしは、アルバムを眺める。思いを‥あの時代に馳せる。色々な事に子供だったあの時代。あたしは、知らなかった‥色々な思惑を。あたしは、気づいていなかった‥柊兄ぃの思いを。あたしは、気がつかないふりをした‥自分の思いを。如月の人間としての自覚が足りなかったのかもしれない。お稽古事一つとて、16のあの日迄、武道以外、何一つ身につけていたものなど、なかったのだから。お茶に、お花に、書道に、舞踊、お琴...

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2016

シーソーゲーム 20

花沢類に会えなくなって、四ヶ月が経とうとしていた。季節はすっかり移り変わっている。花沢邸の楡の木の、緑が隆盛だ。楡の木を見る度に、この下でお昼寝したら気持ちいいんだろうなぁーと考える。いつの日か、花沢類が、意地悪ビー玉んに戻ったら、楡の木の下でお昼寝させてって頼んでみよう。「早く、ビー玉んになれ!」あたしは、願う。「つくし様」声がして振り向くと‥花沢類と佳代さんの2人がが立っていた「‥‥どうしたの?...

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2016

シーソーゲーム 21

翌日から、花沢類は学校に来るようになった。時折、非常階段で一緒になって、トトやポペの話をする。毎週水曜日のバイト帰りには、和菓子をもって、花沢邸にお邪魔する。トトと佳代さんが出迎えてくれる。主の花沢類は、寝てたり起きてたり様々だ。楡の木が、葉を落とし始めている。「ポペはどんなコだったの?」「花沢類みたいに、いっぱい寝るコ」「ぷっ、俺って言うよりも、牧野のことじゃん」「うふふっ、そうかも。ポペとはね...

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2016

シーソーゲーム 22

ふぅっーーーーー 大きく一つ、深呼吸をする。ヨシッ 布団を蹴飛ばして、あたしは飛び起きる。「ギャップン つくしぃーー痛いよぉー」牧野のパパが言って、千恵子が笑って「姉ちゃん、元気よ過ぎ」進が、お手上げ状態だとばかりに、手を挙げるジェスチャーをする。4人で笑顔になる。牧野家の朝は、こんな風に始まるんだ。幸せだった。楽しかった。あたしの疑似家族。幸せな時を過ごしながら、ひと月前の会話を思い出す。「ねぇ...

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2016

シーソーゲーム 23

シャボンの香りがする。優しい優しい香りに包まれる。優しい優しい思いに包まれる。幸せな気持ちで、俺は微睡む‥‥パチリッ、目を覚ました俺の横には、写真が一枚置かれてる。写真を見て‥「えっ?この子‥」思わず、クスリと笑みが溢れる。そうだったんだ。ポペ‥君だったんだ。くくっ、牧野‥あんただったんだ。優しい気持ちが溢れて行く。* **如月の車に乗り込み、空港に向かう。柊兄ぃを出迎えるために。出迎えに来たあたしを見...

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2016

シーソーゲーム 24

「つくしちゃーん、柊—、久しぶり~」静ちゃんが、あたしと柊兄ぃを見てニッコリと微笑む。静ちゃん、ちょっと会わない内に、ますます綺麗になった。百人いたら百人がそう言うような、笑顔で手を振っている。隣の男性が、艶やに微笑み、あたし達を出迎える。「柊、元気? と、つくしちゃんだよね?」「今日は、態々お時間を作って頂いて有り難うございます。如月つくしです」「婚約する前に静と柊の2人が、ご執心のお嬢ちゃんに...

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2016

シーソーゲーム 25

写真を見ながら、笑いが溢れだす。ポペと、クゥちゃん‥‥「牧野、あんただったとはね‥」夏みかんの花の匂いが辺り一面に、薫る季節だった。花沢の一人息子としての重圧に耐えきれなくなった小さな俺は、誰とも喋れなくなった。そんな俺を心配した両親は、俺を母さんの実家に預けた。目の前に、海が広がり裏山には、夏みかん畑が広がる祖父母の家に。そこで出会った小さいクゥちゃんと、大きな大きな従者のポペ。「ククック‥変わんな...

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2016

シーソーゲーム 26

次の日は、朝から学校に行った。クゥちゃんに、ううん、牧野に会う為に‥‥‥牧野は、来なかった   次の日も来なかった。司に聞いたら‥「一昨日、迎えに行ったら‥爺さんの家に用事があって1週間程行くって言われたぞ」「ふーーん」「お前から聞いてきて、ふーんはないだろうよ。ったく、どうした?」「いや‥どうもしない‥」そっかぁ‥その時は、そう思った。トトの散歩で、牧野の家の前を通った。灯りが点いてなかった。次の日も次...

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2016

シーソーゲーム 27

年度変わりの休みに突入した。柊兄ぃの同行で、千恵子と共に、久方ぶりに日本に戻った。連日、如月の一之宮の用事でかり出されている。あたしだって、お昼寝ばかりしてる子供じゃないんだ。合間を見つけ、優紀や、桜子と食事をしたり、ショッピングをしたりと過ごした。同じように留学中の滋が、一時帰国すると言うので、4人で、パジャマパーティを過ごそうと約束した日だった。一足先に待ち合わせ場所に着いたあたしは、懐かしい...

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2016

シーソーゲーム 28

真っ白な花が咲き誇り、黄色い夏みかんが熟している。初夏の日差しに、白い花と黄色い夏みかんが、芳香を放ち輝いている。軽トラを降りた瞬間、夏みかんの香りが鼻孔を刺激する。「うーーん 良い匂い」徳ちゃんが、夏みかんをその場でもぎって、手渡してくれる。黄色くて、丸い夏みかん。爽やかな香りが、身体中に充満していく。頬に一筋ツゥッーーと涙が流れてくる。迎えに出て来た秀美さんが温か包み込むように抱きしめてくれる...

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2016

シーソーゲーム 29 

落雷の音が響き渡り、ボツボツと降ってきた大きな水滴が、地面に大きなシミを作って行く。地面の色が見る見る間に変わり、雨脚が強まっていく。ザァッーーー ザァッーーー  バケツを引っくり返したような雨が降ってきた。あたしは、慌てて、窓を閉めていく。全て閉め終えて、ホッと一息ついた時‥玄関の方から何やら、ガサコソ大きな音がする。徳ちゃんと秀美さん? その割には2人の声がしない‥《 誰?木内さん?いやいや木内...

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2016

シーソーゲーム 30 

雨が、風が、窓ガラスをガタガタと揺らしている。RRR沢の近くに、雷が落ちたらしく木が倒れてしまって今日は帰れなくなったと、徳ちゃんと秀美さんから連絡が入る。この屋敷の中に、2人きり‥そう考えると居心地はわるいのだけど‥そんな思いも一瞬で過ぎて行く。花沢類が、お茶を啜りながら「牧野が、クゥちゃんだったんだね」「花沢類が、お兄ちゃんだったんだね」目を見合わせクスクスと2人で笑う。「あれ、冒険じゃなくて迷子...