明日咲く花

花より男子の2次小説になります。

16

2018

無花果は香る

「ヴァムピール」形の良い彼の唇から微かに小さな声が漏れた。10年ぶりの言葉が吸血鬼だなんてと、一瞬、クラリと倒れそうになりながら「花沢専務、せめてヴァムピーラとお呼び頂けませんか?」平静を装い女性形容詞を返した。彼の唇が「失礼」と謝罪を述べている。あたしの中の凝り固まった緊張が一気に溶けていく。同時に溢れ出す彼への思い。あぁ、あたしは、やっぱり彼の全てを好き 好き 好き 好き 好き 好き 好き 好き ...

07

2018

無花果の花はうちに咲く ~交差~ 類つく

小さな頃から、感情を表に出すのが苦手だった。腹の底から笑ったことも、怒りを露にし泣き叫んだこともなかった。内にこめた感情は行き場を無くし、行き場を無くした感情は心を壊した。壊れた心は真っ暗な中を彷徨った。暗闇の中の俺に柔らかな光を与えてくれたのは静だった。静の側に居れば柔らかな光の中に居られた。それは、とても居心地の良いものだった。静さえ見ていれば、他の人間には心を閉ざしたままでいられたから。だか...

15

2017

無花果の花はうちに咲く ~過去05~ 類つく

最後の見開きの頁を飾っていたのは、二枚の写真だった。白イチジクを頬張る幼き彼女と、黒イチジクを頬張る現在の彼女。どちらの彼女も至極幸せそうでフ思わず笑みが漏れた。次の瞬間……御堂の言葉が脳裏に甦り、彼女と御堂の間に流れる時間ときの長さに思い至った。ビリッ……ビリビリビリッビリビリビリビリ……全ての写真が紙くずとなり散乱する部屋を飛び出し、彼女が住むマンションへと向かった。携帯のダイヤルを押そうとした瞬間...

08

2017

無花果の花はうちに咲く ~過去04~ 類つく

彼女の身体は、甘い蜜そのものだった。甘い蜜は俺の理性を奪い、欲を剥き出しにさせていった。全ての穴という穴を犯すように貪った。愚かなことに快楽を与えるという形で彼女を支配しようていたのだ。彼女の身体を貪れば貪るほど心は飢えて、堪らなく渇いていった。「いつも言ってるけどさ、そんなとこに突っ立ってると邪魔だから座んなよ」彼女は俯きながらソファーの端に座る。「そこだとテレビが見えない。こっち来て」俺の隣を...

06

2017

無花果の花はうちに咲く ~過去03~ 類つく

まさか、その時が彼女の初めてだなんて思いもしなかった。あまりの快楽に、彼女の出す破瓜の血にさえ気付かずに、淫乱だと罵り朝まで抱き潰した。消えた温もりを探すように目覚めれば、ベッドの中から彼女は消えていた。あれほど深い快楽を共にしたと言うのに、一人残されたと思うと良くわからない激しい感情が湧いてきた。数日経った昼下がり、車を走らせ彼女の通う高校に向かった。校門近くで車を止めさせ暫く待てば、運良く彼女...

04

2017

無花果の花はうちに咲く ~過去02~ 類つく

指に絡ませた黒髪をストンと落しては、絡ませる。何度も何度も繰り返される指の動きに、醜い思いが湧き上がる。御堂の目が細められ、指に絡めた髪に口付けを落とした瞬間……堪えられず席を立ち上がろうとすれば「お食事中ごめんなさい……電話が入ったみたいで」席を立ち上り外に出ていった。御堂は真っ赤なワインを傾けながら「あいつ、可愛いいでしょ」自慢するかのように口にした。「あいつの長い黒髪、白い肌、しなやかな肢体、全...

02

2017

無花果の花はうちに咲く ~過去01~ 類つく

真っ赤に熟れた無花果のように……花はなかに咲く。「牧野つくしと申します」これはデジャブ? 俺は目を擦った。「私の顔に何かついてますでしょうか?」「あっ、いや」同姓同名?いや、牧野だけならともかく、つくしなんて珍しい名前がそうそうあるわけもない。透き通るような白い肌にボルドー色の口紅が艶かしくて「ヴァムピール」小さく呟いていた。目の前の彼女は、眉根を寄せたあと「花沢専務、せめてヴァムピーラとお呼び頂け...

01

2017

無花果 ~過去07~ 類つく

「つくし、どうした?」過去へと想いを馳せていたあたしの顔を千暁さんが覗き込む。「あっ、うん……千暁さん、いつ迎えに来てくれる?」「夜には来れるようにする」「うん。じゃ、頑張る」「あぁ。いつも悪いな」だったら静さんと別れて……と、言いそうになって、慌てて首を振った。「じゃ、おやすみ」いつものように、おでこにお休みのキスをひとつ残して、千暁さんは部屋を出ていこうドアノブニ手をかけて、何かを思い出したように...

01

2017

無花果 ~過去06~ 類つく

無花果を頬張るあたしの写真と共に千暁さんが自宅に挨拶に来たのは、初めて会った2週間後だった。パパやママ、弟の進と瞬く間に仲良くなった。当時まだ学生だった千暁さんは、暇が出来るとあたし達家族に会いに来た。弟しかいなかったあたしは、兄が出来たようで嬉しくて堪らなかった。膨大の量の撮り貯めた写真で作ってくれた家族のアルバムには、あたしが、進が、パパやママが写した千暁さんの写真も沢山含まれている。無花果を...

29

2017

無花果 ~過去05~ 類つく

「あらあら、千暁さんの独占欲ったら。あまり束縛が激しいようだと、つくしちゃんに愛想つかさられてよ。ねぇ、つくしちゃん」あたしが答える前に千暁さんは、大袈裟なほどにかぶりを振り「つくしが俺に愛想を尽かせる? ない。ない。そんなことないから、安心なさってください。なっ、つくし」千暁さんは、あたしの髪に絡めていた指を離して、あたしの右手にそっと手を置く。あたしは千暁さんの顔を見上げてから、おば様の目を見...

26

2017

無花果 〜過去04〜 類つく

夢の中で目覚まし時計がしつこくなり続けるのが聞こえる。夢うつつの中でベッドサイドを探した。いくら手を伸ばしても、目覚まし時計を止められず、同じ動作を繰り返す。「うっう~んっ、あと5分」そう呟いて布団に包まったところで、はたと目を覚ました。目を開けて辺りを見回せば、部屋の中が夕闇に彩られていて、あたしは慌てて起き上がる。素肌の上に彼が脱ぎ捨てたであろうシャツを羽織り、自分の服を探す。ベッドの周りには...

23

2017

22

2017

20

2017

無花果 〜過去01〜 類つく

ありがとう企画第四弾...

03

2017

巡り合い 16

司は、軽やかな寝息を立てながら眠るつくしの顔を見る。起きている姿と違い、目を閉じて眠る姿は、どこか儚げで今にも消え入りそうにみえる。つくしの頬にかかる髪をそっとはらい、頬に触れる。まるで宝物に触れるかのように。もし、この場に普段の道明寺司を知る者が居たならば、何度も何度も目を擦り、夢でも見たのかと驚く事だろう。いや、目の前に鏡があれば、本人が一番驚いた事だろう。司は、慈愛に満ちた微笑みを浮かべなが...

16

2017

巡り逢い 15

「忙しいと思うけど、ぐっすりと休んでね」迎えの車に乗せられて、そう声をかけられた瞬間____司は、無意識につくしの腕を掴んで車の中に引き摺りこんでいた。つくしが抗う暇もなく、車は走り出した。つくしの匂いに安堵するかのように司は身体を預けた。心の安息からなのか、痛みから解放された司に、普段感じる事のない眠りが訪れる。「えっ? ちょっ、ちょっと」身体を揺すろうが、つねろうが司はよく眠っている。「ハァッ...

15

2017

巡り逢い 14

「何か付いているか?」司に耳元で囁かれ、つくしは慌てて「髪を、髪を下ろすと随分と印象が違うんだなって」アルコールの酔いもあったのだろう____言うつもりなどなかった言葉を口にしていた。「髪……?」予想だにしていなかったつくしの返答に、司は同じ言葉を繰り返したあと眉根を寄せた。我にかえったつくしは「あっ、馴れ馴れしく申し訳ありません。若々しく感じたので、あっ、でも昼間の姿が老けてみえたとかそう言うこと...

14

2017

巡り逢い 13

黒田と別れ、いくつかの事務処理をし終えたつくしがホッと一息ついた頃、ホテルの部屋にベルの音が鳴り響く。ディスプレイには黒田の名前が表示されている。タップして出てみれば「牧野さんごめんなさい」開口一番に黒田に謝られる。「うんっ?、どうされました?」「あっ、いえ。実は……彼がこっちに来てるって連絡がありまして」「なんだ、深刻な声してるから何事かと思っちゃいました。来てるんだったら良かった。あっ、じゃぁ、...

26

2017

巡り逢い 12

上ずった声がなおる頃、つくしの胸に 会いたくなかった。 でも、会えてよかった。 そんな思いが広がっていた。 司と再び出会ってしまう事が怖かった。 心が、身体が17歳のあの時に戻ってしまいそうで____ でも、司と再び出会う事によって激しく悲しかった恋が、綺麗な思いに昇華されていくのをつくしは感じた。 17歳の自分は、嘘偽りなく目の前の男を愛していたと。その思いは、キラキラと光り輝いて心を飾る...

04

2017

巡り逢い 11 類つく

エフィテヒアに着き新しい営業の人間と挨拶を交わせば、開口一番に「牧野さん、本当にすみません」慌てながら頭を下げて来る。あまりの慌てぶりに思わず疑問系になりながら「あっ、はい?どうしましたか?」そう聞けば「あっ、実は___軽井沢の方に行って頂きたくて」「か、か、軽井沢ですか?」「はいっ。先程電話がありまして__新しい社長がどうしても話しを聞きたいと。ただ新しい社長がとても忙しい方でして___本当に本...

28

2017

巡り逢い 10 類つく

乱暴に黒髪を掴みあげ怒張したぺニスを華奢な体つきの女に荒々しく挿入する。優しさも愛もなにも存在しないただただ欲望の捌け口としての荒々しい行為。欲望を吐き出せば吐き出すほどに男の心は渇き、渇きを癒やすために人を操りマネーゲームに興じる。束の間の高揚感と引き換えに虚しさが心を蝕んでいく。渇いて 渇いて堪らないほどに渇いていく。渇けば渇くほどに欲望は肥大し残虐性が増していくだけなのに。欲望を吐き出した瞬...

21

2017

巡り逢い 09 類つく

「ジョワ、お留守番頼むね」 ジョワに声をかければ、キャットウォークからちょこんと顔を覗かせてニャー と一声鳴く。 「もぉぅ、仕事に出掛ける時はツレナイんだから」 ゲンキンなジョワに苦笑して 「行って来まーす」 もう一声かけてから 〝パタンッ〟ドアを閉める。 エレベーターに乗った瞬間、スマホの音がなる。 「おはようございます。牧野です」 スマホの向こうからは、法務課の直属の上司である鴇...

05

2017

巡り逢い 08 類つく

「さてとっ」 かけ声を一つかけテーブルに残った皿をトレイに載せていく。お揃いのカップを手に取れば、クスリとつくしの顔から笑みが溢れる。 類の両親にプレゼントして貰った物だ。 「うふふっ、これ2セットもあるのよね」 類がジョワを連れ帰った3ヶ月後、花沢の邸をつくしは出た。 「類も、お義父様も大反対だったわよね」 つくしは、その当時の事を思い出しながらジョワに話しかける。ジョワは...

01

2017

巡り会い 07 類つく

つくしを見かけたあの日から全細胞が叫びを上げる。 〝牧野つくしを手に入れろ〟と…… かつて心から愛した女だと自覚のない司は、自分の心の叫びに人を操るゲームのスタートだとばかりに一計を案じる。 司が先ずしたことは、つくしが法務を受け持つ花沢物産系列の系列会社に己の所有する会社から共同事業を持ち掛けさせることだった。 少しずつ黒い罠を張り巡らせていく。 「ここだ___」 司はカレンダーの日付を爪弾き...

21

2017

巡り逢い 06 類つく

男があんなにも避けていた東京の筈なのに___ぽっかりと空に浮かぶ青白い月を見た瞬間、まるで導かれる様に普段なら決してしないようなことを口にする。「少し遠回りしてくれ」馴染みの運転手に声をかければ、隣りに座る秘書の若槻が珍しい事があるものだというように目を丸くしながら男を盗み見る。若槻の見せる驚きの表情に気付きもせず、男は車窓から青白く輝く月を見る。刹那男の目の端に黒髪の女が飛び込んで来る。モノクロ...

20

2017

春風 後編 類つく

ビクンッ 指先から伝わる熱で、あの日のことを思い出し、つくしの心が愛で震えた。類がフランスに発つ前の日、いつものように類に髪の毛を切ってもらい___そして、つくしは類に抱かれた。類は、つくしの髪に触れながら「俺さ、一年経ったら帰って来るって言ったよね? 一生一緒にいる。もう離さないって言ったよね?それなのに、なんでいなくなったの?」つくしは、ギュッと両手を握り締めながら、擦れた声で「それが、その思...

20

2017

春風 前編 類つく

風が吹く。まっさらな風が吹く。「うーーーーん」背伸びを一つして立ち上がった。パンッパンッ両手でお尻についた草を払ったあと、後方確認、左右確認をした後___息を目一杯吸い込んで「_______」大声で叫んだあと、パシンッと頬を一つ叩いてから、乙女椿の木の横に止めた自転車に跨がった。香らない筈の乙女椿の香りがふわりと立ち上り鼻腔を刺激した気がした。いつもの様に、風が、音が、景色が、つくしの横を通り過ぎ...

11

2017

巡り逢い 05 類つく

「…る…い…」 眠りながら俺の名を呼ぶ彼女の鼻先をチョコンと突つく。 小腹が空いたのか? つくしの隣りで寝ていたジョワがニャーと鳴きながら、ベッドから飛び出て俺の足下にすり寄ってくる。 ジョワを抱き上げながら___ジョワが家にやってきた日の事を思い出す。 大雨の降る中、ミャーミャー鳴きながら子猫が彷徨っていた。放っておけなくてずぶ濡れの子猫を抱いて家に帰った。つくしが大...

13

2017

巡り逢い 04 類つく

仲間と別れつくしと二人店を出る。「少し歩きたいな」つくしの言葉に頷いて、夜中の街を二人で歩く。二人で歩けば、幸せはいたるところに転がっている。同じものを見る喜びに、ふわりといい匂いのする首筋に、ふと触れた指先に。全てのモノがキラキラと光っている。これ以上愛せないほどに愛しているのに__驚くほどに日々愛がつもっていくのを実感する。愛してる___そんな言葉では表せないほどに愛してる。つくしの好奇心おう...

03

2017

巡り逢い 03 類つく

『__うん。うん。良かった。上手く行ったんだね……….えっ、ネクタイのお陰? うふふっ、じゃぁご褒美に今度のお休み、久しぶりに花沢の邸に連れてってもらおうかな』 『それじゃ、つくしのご褒美にならないよ』 『そんな事ないよ。お義母様達とも久しぶりにお会いしたいし』 『そんな事言ったら、母さん泣いて喜んじゃうよ』 『だったら、やっぱりご褒美だ。うふっ、あっ、優紀達にち...