明日咲く花

花より男子の2次小説になります。

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2016

月夜の人魚姫 50 総つく 完 

つくしの気が変わらねぇ内に西門の邸に連れて行き、用意してあった婚姻届にサインさせた。蒼が起きて来るのを待って、3人で役所に提出した。で、もって……3ヶ月後に目出たく婚姻の儀が執り行われた。放浪の旅から__いや、仕事から帰ってきた暖さんも一ノ瀬家族と共に参加してくれた。つくしは、幾つもの後ろ盾を背負って嫁いだ。それだけでも凄いのに__蒼もつくしも完璧だった。口々に皆が、つくしを、蒼を褒め讃えた。「若宗...

13

2016

月夜の人魚姫 49 総つく

飢えて渇いた身体が、一生懸命に水を吸い込むかのように総を激しく求め、激しく抱かれる。幾度も、幾度も……まるで今までの分を取り戻すかのように。なのに…..あたしの心は、穏やかな海に漂っているかのように、フワリフワリと軽くなっていく。だから……総に貫かれる度に〝欲〟が溢れ出る。蒼をこの世に産んだ時に諦めた欲が出る。もう恋愛は、はじめない。そう決めた筈なのに欲が出る。この人と二人で一緒に恋をしたいと欲が出る。...

12

2016

月夜の人魚姫 48 総つく

愛おしい女が何度も何度も俺を誘いざなう。連続して4度目に果てた後……「つくし、本当にちょっと待て」ぷぅっーーと口を尖らせて「淫乱女好きって言ったじゃん」「あぁ,言った。でもな、今日は話が先決だ」「えぇー先に手を出したの総だよ」なんて言い合いになって__それがあんまりにも可愛くて「お前、今日の事忘れんなよ」そう言いながら、もう1Rトライして5度果てた。小悪魔?いいや悪魔は、ニッコリと笑って「精根尽き果て...

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2016

月夜の人魚姫 47R 総つく

西門さんが蠱惑的な微笑みを浮かべながら__ショーツに手を這わせる。触れるか触れない程の感触が伝わってくる。焦らされて 焦らされて、身体の芯がジワジワと燃え上がっていく。蜜が溢れ出て、ショーツを濡らしただけでは飽き足らずに太腿まで濡らし始める。西門さんの指がショーツの脇からズブリと音を立て、蜜を垂らし続けるあそこに侵入する。独立した生き物のように、指があたしの中で縦横無尽に暴れている。指が動く度に声...

09

2016

月夜の人魚姫 46R 総つく

あたしの周りで急激に色々な事が動き出している。「うーーーーん」思わず声が出た。「つくし様」後ろを振り向けば、買い物袋を携えた瀬戸さんだった。「あっ、お帰りなさい」「遊様から先程連絡がありました。なんでも沖縄にお好きな方を迎えに行かれたとか」コクンとあたしは頷く。「ようございました。と言う事なので私は、竜崎の邸に戻らせて頂きますね」そう言いながら来た時と同じように、荷物を抱えながら、迎えの車に乗って...

08

2016

月夜の人魚姫 45 総つく

綺麗な涙にあたしは見惚れてから「遊、ううん、一ノ瀬社長。あなたに一週間休暇を与えます」そして、もう一通の手紙を遊に手渡す。中には、莢先生の生まれたてのお子さんの写真と沖縄の住所が書かれている。「今もココにいるのかどうかはわからないけどね」「沖縄?」「うん。海外に行く筈だったんだけどね。幾ら安定期とは言え海外はちょっととなって、沖縄にしたみたい」「そっか‥‥‥じゃぁ、取りあえず行ってくる」「うん。頑張...

07

2016

月夜の人魚姫 44 総つく

「ねぇ遊、莢先生がなんで姿を消したか知ってる?」遊が黙って首を横に振ったあと「__いや……結婚したからだと思ってたから」「そっかぁ……遊は、追い掛けなかったんだよね。莢先生が結婚するって聞いても」「そ、そ、それは違う。莢が莢が突然俺の前から消えたんだ」「ふぅーーん。でも、一度も会いに行ってないんだよね?莢先生の所に」「そ、そ、それは……住んでる所も何も知らないのに会いに行けないだろうよ」「ふぅーーん。一...

05

2016

月夜の人魚姫 43 総つく

遊が大事そうに大きな額を二つ抱えてやってくる。なんで、二つ? あたしの頭の中を?が過る。 「ホラッ」渡された〝 月夜の人魚姫 〟 の一枚は、あたしと西門さんを見下ろしていた青い青い海のように青い人魚姫のリトグラフもう一枚は、光を纏った……「空気の精だよ」遊が大事そうに絵を撫でながら__教えてくれた。「これは?」「莢が描いた原画だよ」「莢先生が?」「あぁ__哀しみを纏った人魚だけじゃ寂しいって、莢に言...

04

2016

月夜の人魚姫 42 総つく

チュンチュンチュンチュンチュン「うーーーーん、雀五月蝿—い」と叫んだら「ママ、おはよう」「未悠さん、おはよう」蒼と西門さん2人並んで雀の物真似しながら、仲良くあたしの顔を覗いてた。「な、な、なに?」「蒼君に、未悠さんとお付き合いする事を話したんだ」「__だ。でね、でね 総ちゃんと一緒にお風呂に入ったの。裸の付き合いなんだって」だ。って、だ。って 何?「未悠さんと付き合うのに、先ずは蒼君の許しを得る...

02

2016

月夜の人魚姫 41 総つく

西門さんが遊に、そっとケットをかけてから「お茶淹れてもらってもいいですか?」そう聞いてくる。「あぁ、はい」2人でソファーに座ってお茶を飲み、一口啜って優しく笑う。「未悠さん、未悠さんは本気の恋ってしたことあります?」深く黒い瞳があたしを見つめる。この瞳には、嘘がつけなくて‥あたしはコクンと一つ頷く「__ちょっと長いけど俺の話に付き合って貰ってもいいですか?」もう一つコクンと頷けば「俺__すげぇー惚...

01

2016

月夜の人魚姫 40 総つく

「___生きてるのに何故伝えようとしないか‥ですか?」「えぇ、そうよ。生きてるのに何故伝えないの?」「伝えたら、何かが変わるのですか?」西門さんの言葉を受け止めて、雪さんがゆっくりと首を振る。「そうねー、変わらないかもしれないわね。__でも,変わるかもしれない。伝えずに変わらぬ事を待つよりも、変わると思って伝える事も必要なんじゃないのかしら?‥‥だって伝えない限り変わりようがないのよ?」伝えない限り...

30

2016

月夜の人魚姫 39 総つく

「__未悠ちゃん、大丈夫?」「あっ、はい」慌てて、布巾でラグを拭く。遊と西門さんの2人で手伝ってくれる。一通り吹き終えた後‥‥「西門さん、騙されたんですか?」聞いてみたい。でも、聞きにくい事を遊が遠慮なく聞く。「っん?」「青い目のお子さんですよ」「あぁ、一度も手を出してなくて、若宗匠のお子さんを妊娠してるとなって、結婚でしたから、騙されてるになるんでしょうかね?」鼻の脇をこすりながら、そんな事を話し...

28

2016

月夜の人魚姫 38 総つく

雪さんの柔らかな手があたしの背をさする。「未悠ちゃん、もう無理しなくてもいいんじゃないの?」あたしは、首を振る。愛しているのに、彼しか愛せないのに首を振る。「あぁあ、私の娘は、本当に意地っ張りね。嫌になっちゃうわ」そう言いながら、呟くようにフッと笑う。意地っ張り。そうなのかもしれない。でも‥‥あたしは、西門さんへの思いを必死に封じてきた。それを今更‥‥はいそうですか。とは戻れない。それに‥‥あたしの身体...

27

2016

月夜の人魚姫 37 総つく

蒼を安心して出産するために、『牧野つくし』をあたしは、葬り去った。倉科の両親は、養女としてではなく、ありとあらゆるものを使って『倉科未悠』を仕立て上げた。未悠ちゃんが亡くなった事は全て伏せ海外生活を続けていた倉科の両親は、敢えて金沢の街で暮らす事を選んでくれた。未悠ちゃんが4つまで生活していた街だから。それと共に豪さんは、暖に頼まれたあたしの絵を、暖には渡さず「芽生え」と名をつけて、未悠コレクショ...

25

2016

月夜の人魚姫 36 総つく

呆然とするあたしに、いの一番に「おめでとう」そう声をかけてくれたのは、雪さんだった。その瞬間‥‥あたしは、お腹の子が愛おしくて愛おしくてたまらなくなった。「雪さん‥‥」別荘に戻ったあたしと雪さんに、豪さんが温かいカモミールティーを入れてくれた。「未悠ちゃん、お腹の子のお父さんは、遊君?」あたしは、首を振る。時期からも状況からも‥お腹の子の父親は、西門さんだったから。「お腹の子のお父さんとは、話し合える...

24

2016

月夜の人魚姫 35 総つく

ガッチャーン持っていた器を落として盛大に割れた。「未悠さん、大丈夫ですか?」「‥えぇ、すみません‥‥」しゃがみ込んで、破片を拾う。「危ないから俺がしますよ」「ダメ、西門さんの手は宝物だから‥‥」慌てて制すれば‥‥薄く笑って「西門さんか‥ふっ‥‥未悠さん‥‥未悠さんと蒼君とのコッツンは、どんな意味があるんですか?」そう来たか‥そう来るよね‥そう来ないわけないよね。何て答えようと思いあぐねれば‥「俺は、大切だの意味...

23

2016

月夜の人魚姫 34 総つく

「どうせなら、一杯飲みませんか?」遊のそんな一言を皮切りに宴会が始まろうとしている。「若宗匠、お車じゃ?」一縷の望みをかけて、そう問えば‥‥そんな事は、心配するなと言わんばかりにニッコリと微笑みながら「車は取りに来させますので」「ハァッー」小さく溜め息を吐いた瞬間、遊と目が合う。何食わぬ顔で「ミュウ、つまみ作ってよー」「はーい」「未悠ちゃん、クレイマークレイマーサラダが食べたい」「はぁーい、はい」「...

21

2016

月夜の人魚姫 33 総つく

真っ赤な夕陽が海に消え、変わりに暗闇が訪れる。高速道路のネオンが時折、車中で眠る蒼を照らし出す。どこか懐かしく、温かな空気が流れている。西門さんがバックミラーを覗きながら話しかけてくる。「蒼君、良く寝てますね」「えぇ‥‥散々はしゃいで疲れたんでしょうね」バリトンの柔らかい声が好きだった。漆黒の瞳が、髪が好きだった。全てを愛していた。いいえ、今でも愛している。「‥‥さん、未悠さん?」「あっ、はい」「どう...

20

2016

月夜の人魚姫 32 総つく

「ご迷惑は、お掛けしませんから」それが既に迷惑なんですが‥‥とも言えず、蒼のキラキラと輝く瞳と、西門さんの押し売りのような誘い‥‥追い討ちをかけるように、雪さんの一言「未悠ちゃん、若宗匠もそうおしゃって下さってるのだし」「ママ、お願い」「未悠さん、是非」周りに懇願されて「ご迷惑おかけ致しますがどうぞ宜しくお願い致します」そう頭をさげていた。頭を下げた瞬間、一様に皆の顔が綻ぶ。西門さんが蒼に微笑みながら...

18

2016

月夜の人魚姫 31 総つく

「‥‥さん‥‥総二郎さん、どうかしまして?」「あっ、いや‥すみません」お袋に名を呼ばれ我に帰る。未悠‥‥牧野に良く似たあの女を見てから、とうに諦めた筈の恋心を思い出す。8年も経つのに、まだまだ色濃く残るあいつの残影。「そうそう、今日の正客をお伝えしてなかったわね」「あぁ、そうでしたね」「金沢の倉科様がいらっしゃるのよ。未悠さんでしたっけ?一ノ瀬さんの所の秘書さんの。そちらのお母様と未悠さんと蒼君をねお招...

17

2016

月夜の人魚姫 30 総つく

「総二郎さん、来週の日曜日ちょっとお時間いいかしら?」家元夫人が珍しく俺に電話をかけてきた、何事かと思えば、母が内々で開く茶会の亭主をして欲しいと言うのだ。「私にですか?」「えぇ、総二郎さんにです」「‥‥どうしてもでしょうか?」「お嫌なら構いませんけど‥‥大切な方をお呼びしておりますので、是非総二郎さんにと思いまして」「いえ、嫌と言う事はありませんが‥‥」突然決まった事に面倒な気持ちが先に立ち声が尖るが...

16

2016

月夜の人魚姫 29 総つく

刹那‥‥西門さんと目が合う。妖艶な微笑みで薄らと微笑んでいる。「京子おばちゃま、あの方が京子おばちゃまの息子さんなの?」蒼が小さな声で、家元夫人に問うている。「えぇ、そうよ」「京子おばちゃまと同じお目目だね」「そう?」「うん。とっても綺麗なお目目」蒼達の会話を耳にしながらも、あたしの意識は西門さんに囚われたままだ。蒼が綺麗だと言ったあの瞳にあたしは、過去も現在も囚われたままだ。〜〜〜〜〜いつものよう...

14

2016

月夜の人魚姫 28 総つく

お茶会当日‥‥蒼の手前なんでもない風を装いながらも、あたしの心臓は、口から出そうな程にバクバクと音を立てている。小さなお茶会とは言えない程の設えの数々。流石、家元夫人の選択だと感心しきりだ。家元夫人‥‥京子さんの事が好きだった。雪さんに最初から親近感を持ったのも‥‥凛としているのに可愛らしい心根が、京子さんとどことなく似ていからだと今更ながら気が付いた。〜〜〜〜〜「つくしちゃん、つくしちゃん、見て見て、...

13

2016

月夜の人魚姫 27 総つく

瀬戸さんが、悪戯坊主を見る目つきで遊を見る。愛おし気に。遊もまた少年の顔に戻っている。「さて、そろそろ私は、お休みさせて頂きましょうかね‥」そういいながら、勝手したたるなんとやらで、東の和室に向かう。暖の居住区には、一緒に住もうが住むまいが必ず瀬戸さんの部屋が設えられられているのだ。暖特有の瀬戸さんへの感謝と愛の気持ちなのだろう。瀬戸さんのいる暮らしは、蒼が産まれたばかりの頃を思い出す。産後の肥立...

11

2016

月夜の人魚姫 26 総つく

「はぁっーーー」何回目の溜め息だろうか?出るのは、溜め息ばかりなりだ。閉じ込めた思いを‥‥暖は、溢れさせろと言う。「西門さんが普通の人だったらなぁー」そんな事が心を過る。「はぁっーーー」トントントントンッ顔を上げれば、遊が立っている。「盛大な溜め息ありがとう」「あっ、お帰り」「お帰りじゃないよ。暖にバレたろ?」「あっ、ゴメン‥‥」「あいつの情報網ってスゲェのな。朝一でホテルにやって来て叩き起こされて、...

10

2016

月夜の人魚姫 25 総つく

都心から2時間足らずで着くのに関わらず、そこの場所はどこか現実離れした異空間のようだった。あの日からあたしは、絵のモデルとして豪さんの前に立っている。「疲れたろ、そろそろ休憩にしようか?」「あっ、はい」後ろに控えていた雪さんが、あたしの身体にマスキングテープを貼る。休憩後、位置がずれないようにする為だ。お茶を飲みながら色々な話をする。豪さんと雪さんの二人は、世界各国色々な国を転々としていて、印象的...

09

2016

月夜の人魚姫 24 総つく

黙り込むあたしに、暖は言葉を続ける。「そいつの事が忘れられないんだろ?」「‥‥‥」「答えられないのが答えだろうよ?」答えの代わりに涙が零れる。「その男がどこのどいつで、何があったかは知らねぇけど、もしそいつが生きてるんだったら、ミュウお前そいつときちんと向き合えよ」俯くあたしに「きちんと向き合って先に進めよ。じゃないと俺、諦めきれねぇや」「暖‥」「なぁ、ミュウ‥俺の事好きだって言ったよな?」「‥うん」「...

07

2016

月夜の人魚姫 23 総つく

涙を拭い化粧を直す。泣くのは上手くなった。目をこすらずに、涙をただただ流れさせるのが、コツだ。「ハァッー、こんな事上手くなってもね」でも、働く母には、こんな事が重要なんだ。沢山泣いても翌日には残さない。タクシーがマンションの前に着く。車の中に、牧野つくしと涙を置いていく。ガチャリッドアを開ければ、暖の靴が見えて、子供のように、言い訳を考えている。暖がソファーに腰かけながら、ウィスキーを煽っている。...

06

2016

月夜の人魚姫 22 総つく

タクシーに揺られながら、窓の外のネオンを見つめる。「あたし‥なにやってるんだろう‥‥」身体の餓えは、渇いても‥‥心の餓えは、渇きなどしないのに。一時の安堵を求めて遊を求めてしまう‥‥慌てて首を振る。考えちゃいけないと。西門さんと再び会ったあの日から‥‥あたしの中には、葛藤が生まれている。今まで、押し殺していた感情が溢れ出す。西門さんが‥西門さんが‥‥‥欲しい。欲しくて、欲しくてたまらない。だから‥‥会いたくなか...

03

2016

月夜の人魚姫 21 総つく

指定されたホテルの部屋のベルを鳴らす。「ったく‥」舌打ちしながら、遊があたしを招き入れる。「遊、頬が赤いよ」「赤いよじゃないよ。ミュウのせいだろ」「‥‥ごめん‥」グイッと腰を抱かれ「ドアに手つけろよ」遊がわざと乱暴な言葉を使ってあたしを誘いざなう。スカートを捲り上げ、前戯も何もなしに、指を挿れてくる。一気に挿れられた2本の指が肉襞に絡まって、ヌチャヌチャと音を鳴らしている。「ミュウ‥すごいな。なんかあ...