明日咲く花

花より男子の2次小説になります。

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2016

月夜の人魚姫 01 総つく

すったもんだありました。唐突に、昔流行ったCMを思い出す。うん。あったあった‥まぁなんだ俺の人生‥擦った揉んだ‥だらけ?って奴か。渇いた笑いを浮かべながら、重鎮共に差し出された女性週刊誌とやらを眺めている。「若宗匠‥毎回、毎回‥おわかりでいらっしゃいますか?」わかっちゃいるけどヤメれないって、な。なーんて事を思いながらも俯き加減に「皆さん‥いつもいつも本当に有り難う‥皆さんあっての俺だ‥なのに、俺がしっかり...

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2016

月夜の人魚姫 02 総つく  

プシュゥ~ッ プルトップを開けるいい音が響き渡る。「クゥッ~美味い」至福の時間が訪れる。パチンッ缶ビール片手にテレビのスイッチを入れ、床にペタンと座り込む。近くにあった女性誌を何となく覗けば‥〝平成のドンファンまたまた熱愛発覚〟〝華麗なる女性遍歴〟懐かしい男性の顔を発見して、唐突に昔の事を思い出す。「っふぅ~」カキコキと音を立てながら、首を回しては、ビールをぐびぐびと呷るクゥッ~ クゥ~ 缶ビール...

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2016

月夜の人魚姫 03 総つく

「一ノ瀬様、お待ち申し上げておりました」マネージャーに出迎えられて、個室に案内される。「ミュウ、ちょっと待って」髪についた花びらを遊が取ってくれる。「ありがとう」刹那‥ふわりと嗅覚を刺激する匂いが薫り立つ。官能を刺激するように、仄かに漂うお香の薫り。顔を上げた瞬間、女を侍らした男が、射る様な眼差しであたしを見ていた。素知らぬ振りをして、ゆっくりと目線をずらす。慌てないように、可笑しな所がないように...

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2016

月夜の人魚姫 04 総つく

目の前の焼き肉が、ジュージューと美味しそうな音を立てて、焼けている。あたしのお皿に、お肉がどんどん盛られていく。どんどん‥どんどん「に、に、西門さん、ストップ!ストップ!」「ストップじゃねぇよ。どんどん食え食え! ホラッもっと食え」「沢山頂いてるよ。 もっともっとって‥流石に頼み過ぎだよ」「牧野なら、食えんだろうよ?」「もぉう‥人をなんだと思ってるのよ」刹那‥西門さんの指が伸びて、あたしの口許をなぞる...

02

2016

月夜の人魚姫 05 総つく

あの日から、倉科未悠の事が‥頭を離れない。秘書に頼んで、倉科未悠、一ノ瀬遊この2人にの事を調べてもらった。一ノ瀬遊‥‥一ノ瀬新造の孫にして、シレーヌのオーナー社長。一ノ瀬財財閥の次期後継者だと噂されている人物だ。倉科未悠とは、公私と共にパートナーだと噂されている。シレーヌは、本拠地を金沢に置いている。事業拡大と一ノ瀬を本格的に後継する為に、東京に戻って来たようだ。倉科未悠‥‥洋画家 倉科豪、雪夫妻の一...

03

2016

月夜の人魚姫 06 総つく

懐かしい面々を前にしてあたしは、倉科未悠として優雅にお辞儀を交わす。牧野つくしは、ここに居るワケのない人間なのだから。一瞬、そう一瞬‥家元夫人と側近の境さんが怪訝な顔をした。あたしは、小首を傾げながら、遊の顔を見る。阿吽の呼吸で「本日はお招き頂き大変有り難うございます。シレーヌの一ノ瀬遊と申します」あたしに向かって「倉科君、ご挨拶して」「一ノ瀬の秘書をしております倉科未悠と申します。金沢では、母共...

05

2016

月夜の人魚姫 07 総つく

「若宗匠、本日はお招き頂きまして誠に有り難うございます」そう話しながら遊が、スルリと会話に入って来る。「いえ‥こちらこそお忙しい中お越し頂き大変ありがとうございます」「いえいえ、若宗匠の大変美しいお手前を拝見させて頂いて、倉科共々喜んでおります。ところで倉科は、どなたに似ているんですか?」遊の美しい瞳が微笑する。遊はいま‥このシチュエーションを絶対に楽しんでる顔だ。時折、遊がわからない‥ あっ、時折...

07

2016

月夜の人魚姫 08 総つく

遊の良い事思いついたは、大概良い事じゃない。いや、あたしにとってはと付け加えた方が良いのだろうか?「遊、下手の考え休むに如しかずだからね」「っん?大丈夫。俺、上手だから。それに、休むなんて性にあわないから」指を口に含め、妖しく微笑する。「ちょっ、ちょっと、もうお終いだって」「お終いじゃないって‥今日、絶対ミュウ燃えるって」含み笑いを浮かべ、耳元に囁き、吐息を吹きかける。ビックン‥あたしの身体の力が抜...

09

2016

月夜の人魚姫 09 総つく

どこからか音がする。RRRR着信の音が鳴り響き、現実に引き戻される。「あっ、蒼からだ。出るね」慌てて、スマホをタップする。「いまどこ?」蒼の甘い声がする。「うんと、遊とお肉食べるとこ」「‥いいな‥オレも食べたい」「じゃぁ、来週食べに行こう」「っん。約束だよ!絶対だからね。遊にも伝えといてね」「はいはい。絶対の約束ね」他愛も無い事を少し話した後に、電話を切る。小首を傾げながら遊が「蒼、なんだって?」「お肉...

10

2016

月夜の人魚姫 10 総つく

トントンッ 書類を整理する。「ふぅっーー うん。あたし頑張ったぁ~ うーん頑張った」「はい、はい。ミュウは頑張った。はい。頑張りました」「だよね?じゃぁ、今日はもう上がるね」「俺も、上がりたいなぁー」「あははっ、遊は頑張って働いてよ」じゃっと、右手を上げて部屋を出る。「未悠さん、お帰りですか?」「うん。今日は先帰らせてもらうね」「もしかしてデートですか?」「うんっ 飛っきりのハンサムボーイとね」「...

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2016

月夜の人魚姫 11 総つく

蒼を寝かせた後‥お母さんと2人でお茶をする。「そう言えば、西門のお師匠さんから未悠ちゃんの事を色々聞かれたのだけどなにかあった?」「先日、西門の若宗匠にお会いしたんです。それで‥かな‥」「そう‥‥つくしちゃんの事で?」「‥‥はい。実は先週お茶会にもお招きされて‥」「そう‥‥随分と変わっている筈なのに‥よく気が付かれたものね。西門の他の方達はどうだったの?」「家元夫人と、側近の方が怪訝な顔をされていたんですが...

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2016

月夜の人魚姫 12 総つく

いやいや、敵はそろそろなんてもんじゃなく‥やってきた。ガンガンと、ドアが叩く音がして‥って、セキュリュティー満載のこのマンションにどうやって入ったんだ?なんて思う暇もなく、チャイムが鳴らされて出てみれば、案の定というか‥なんのその‥「ヨッ!ミュウ」満面の笑顔の男が一人。はぁっーーーー と思う間もなく、あたしに抱きついて来る。遊と雪さんを見ても、見事な程に2人とも知らん顔だ。「暖、どうやってここまで来た...

23

2016

月夜の人魚姫 13 総つく

「シレーヌに、でっかい仕事くれてやる」そう言った後に「だから、ミュウに夏休み1週間やってくれ」暖が言い放ち。勿論勿論と遊が頷いて‥蒼と2人で夏休みを満喫中だ。「ママ、オレ、お茶のおけいこ始めたんだよ」「えっ?そうなの?」「オレね、スジがいいんだって。お茶って面白いよね」得意気な顔で、蒼が話す。「蒼は、お茶が好きなんだ」「うんっ なんかね、せなか?せすじ?」「背筋かなっ」「せすじがピーンとするの」「...

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2016

月夜の人魚姫 14 総つく

するりと入ってきた西門さんがあたしにとってかけがえの無い人に変わったのは、何時だったんだろう?気が付いた時には、溺れてた‥‥軽口を叩きながら、西門さんの一挙手一投足に、胸がドキドキとときめいていたんだ。一緒に居たいから‥自分の気持ちに気が付かないふりをした。悲恋で終わった恋があたしの気持ちを支えてた。恋をしてはイケナイと支えてた。それなのに、人は繰り返す。傷つくとわかっている恋を。違う‥‥繰り返したん...

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2016

月夜の人魚姫 15 総つく

青い人魚だけが知っている。この部屋に居る時は、全てのものを脱ぎ去って、ただのオトコとオンナになって抱き合う。これは、ただの情事。これは、恋じゃない。あたしは、あたしに言い聞かせ伽羅の香り立立ち込めてるこの部屋で、西門さんに抱かれ続けている。指先が触れただけで、あたしの身体は、跳ね上がり狂おしい程に西門さんを求め疼き始める。男は嬉しそうに、あたしの反応を楽しみながら、わざと焦らし続ける。男の手で、口...

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2016

月夜の人魚姫 16 総つく

俺の俺だけの隠れ家‥‥時折、無性にこの部屋に来たくなる。茶人、西門総二郎女たらしの、西門総二郎他人がイメージする 西門総二郎を捨て、ただの男になりにこの部屋に来る。伽羅を焚き、愛しい女を感じて青い人魚を眺める。牧野が去って八年も経つと言うのに‥俺の心には今も鮮明にアイツが、アイツだけが居座り続けている。何故、あの時もっと早く牧野に思いをぶつけなかったのだろう?落ち着いてから話せばわかってくれる‥浅はか...

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2016

月夜の人魚姫 17 総つく

俺の声に、ゆっくりとゆっくりと女の顔が上がる。洗練され格段に美しくなっているが‥やはり牧野に似ている。いや、牧野だ。「先日は、大変お世話になりました」丁寧なお辞儀が返ってくる。声と口許の黒子が違う。やはり‥牧野じゃないのか?他人の空似なのか? 隣に座っていた男が、俺の顔をマジマジと眺めながら‥何やら考え込んだ顔をしてから、ポンッと一つ手を叩き「もしや、西門流の若宗匠ですか?」「あっ、はい。ご挨拶もせ...

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2016

月夜の人魚姫 18 総つく 

コホンッと一つ咳払いしたあとに‥「倉科さん‥いいや未悠さん‥失礼な事をすみません‥あなたは、私の友人に本当に良く似ていて‥‥」西門さんが、あたしを射抜くように見つめながら、口にする。「先日お話して居た女性ですか?」「えぇ。彼女も此処のゴボウ天が大好きで、今みたいに2人で分けたんですよ」忘れてなかったんだ。そんな何でもない事が嬉しい。「尤も‥いつも大口開けて笑ってるような奴だったんで、未悠さんのような艶や...

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2016

月夜の人魚姫 19 総つく

恋に手慣れた男は、スマートにあたしを助手席に乗せた。密閉された空間は、二人の濃度を増す。西門さんの匂いと、あたしの匂いが入れ混じり‥淫美な想いに囚われる。信号待ちで車が止まった瞬間に「海行きませんか?」返事の前に車がUターンする。「あっ、あの‥私‥了承してませんけど‥?」「もう高速乗ったので引き返せません」美しい牡が、意地悪く笑う。着いたのは、大桟橋で、二人並んで仲良く〝くじらのせなか〟を歩いてる。「...

02

2016

月夜の人魚姫 20 総つく

ドンファンが聞いて呆れるほどに、濃厚なキスに蕩けさせられて、あっけなくあしらわれた。俺、まさしく形無し状態だ。この女一体何ものだ?まるで俺のそんな思いを読み取るように「女版ドンファンとでも思って頂ければ嬉しいですわ」クスリとわらう。妖艶に笑った後、思い出した様に‥「私に似ていらっしゃるお嬢さんも、性には奔放でいらっしゃったの?」女の問いに、牧野を思い出す。キス一つするのさえ受け身の女だった。なのに...

03

2016

月夜の人魚姫 21 総つく

指定されたホテルの部屋のベルを鳴らす。「ったく‥」舌打ちしながら、遊があたしを招き入れる。「遊、頬が赤いよ」「赤いよじゃないよ。ミュウのせいだろ」「‥‥ごめん‥」グイッと腰を抱かれ「ドアに手つけろよ」遊がわざと乱暴な言葉を使ってあたしを誘いざなう。スカートを捲り上げ、前戯も何もなしに、指を挿れてくる。一気に挿れられた2本の指が肉襞に絡まって、ヌチャヌチャと音を鳴らしている。「ミュウ‥すごいな。なんかあ...

06

2016

月夜の人魚姫 22 総つく

タクシーに揺られながら、窓の外のネオンを見つめる。「あたし‥なにやってるんだろう‥‥」身体の餓えは、渇いても‥‥心の餓えは、渇きなどしないのに。一時の安堵を求めて遊を求めてしまう‥‥慌てて首を振る。考えちゃいけないと。西門さんと再び会ったあの日から‥‥あたしの中には、葛藤が生まれている。今まで、押し殺していた感情が溢れ出す。西門さんが‥西門さんが‥‥‥欲しい。欲しくて、欲しくてたまらない。だから‥‥会いたくなか...

07

2016

月夜の人魚姫 23 総つく

涙を拭い化粧を直す。泣くのは上手くなった。目をこすらずに、涙をただただ流れさせるのが、コツだ。「ハァッー、こんな事上手くなってもね」でも、働く母には、こんな事が重要なんだ。沢山泣いても翌日には残さない。タクシーがマンションの前に着く。車の中に、牧野つくしと涙を置いていく。ガチャリッドアを開ければ、暖の靴が見えて、子供のように、言い訳を考えている。暖がソファーに腰かけながら、ウィスキーを煽っている。...

09

2016

月夜の人魚姫 24 総つく

黙り込むあたしに、暖は言葉を続ける。「そいつの事が忘れられないんだろ?」「‥‥‥」「答えられないのが答えだろうよ?」答えの代わりに涙が零れる。「その男がどこのどいつで、何があったかは知らねぇけど、もしそいつが生きてるんだったら、ミュウお前そいつときちんと向き合えよ」俯くあたしに「きちんと向き合って先に進めよ。じゃないと俺、諦めきれねぇや」「暖‥」「なぁ、ミュウ‥俺の事好きだって言ったよな?」「‥うん」「...

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2016

月夜の人魚姫 25 総つく

都心から2時間足らずで着くのに関わらず、そこの場所はどこか現実離れした異空間のようだった。あの日からあたしは、絵のモデルとして豪さんの前に立っている。「疲れたろ、そろそろ休憩にしようか?」「あっ、はい」後ろに控えていた雪さんが、あたしの身体にマスキングテープを貼る。休憩後、位置がずれないようにする為だ。お茶を飲みながら色々な話をする。豪さんと雪さんの二人は、世界各国色々な国を転々としていて、印象的...

11

2016

月夜の人魚姫 26 総つく

「はぁっーーー」何回目の溜め息だろうか?出るのは、溜め息ばかりなりだ。閉じ込めた思いを‥‥暖は、溢れさせろと言う。「西門さんが普通の人だったらなぁー」そんな事が心を過る。「はぁっーーー」トントントントンッ顔を上げれば、遊が立っている。「盛大な溜め息ありがとう」「あっ、お帰り」「お帰りじゃないよ。暖にバレたろ?」「あっ、ゴメン‥‥」「あいつの情報網ってスゲェのな。朝一でホテルにやって来て叩き起こされて、...

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2016

月夜の人魚姫 27 総つく

瀬戸さんが、悪戯坊主を見る目つきで遊を見る。愛おし気に。遊もまた少年の顔に戻っている。「さて、そろそろ私は、お休みさせて頂きましょうかね‥」そういいながら、勝手したたるなんとやらで、東の和室に向かう。暖の居住区には、一緒に住もうが住むまいが必ず瀬戸さんの部屋が設えられられているのだ。暖特有の瀬戸さんへの感謝と愛の気持ちなのだろう。瀬戸さんのいる暮らしは、蒼が産まれたばかりの頃を思い出す。産後の肥立...

14

2016

月夜の人魚姫 28 総つく

お茶会当日‥‥蒼の手前なんでもない風を装いながらも、あたしの心臓は、口から出そうな程にバクバクと音を立てている。小さなお茶会とは言えない程の設えの数々。流石、家元夫人の選択だと感心しきりだ。家元夫人‥‥京子さんの事が好きだった。雪さんに最初から親近感を持ったのも‥‥凛としているのに可愛らしい心根が、京子さんとどことなく似ていからだと今更ながら気が付いた。〜〜〜〜〜「つくしちゃん、つくしちゃん、見て見て、...

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2016

月夜の人魚姫 29 総つく

刹那‥‥西門さんと目が合う。妖艶な微笑みで薄らと微笑んでいる。「京子おばちゃま、あの方が京子おばちゃまの息子さんなの?」蒼が小さな声で、家元夫人に問うている。「えぇ、そうよ」「京子おばちゃまと同じお目目だね」「そう?」「うん。とっても綺麗なお目目」蒼達の会話を耳にしながらも、あたしの意識は西門さんに囚われたままだ。蒼が綺麗だと言ったあの瞳にあたしは、過去も現在も囚われたままだ。〜〜〜〜〜いつものよう...

17

2016

月夜の人魚姫 30 総つく

「総二郎さん、来週の日曜日ちょっとお時間いいかしら?」家元夫人が珍しく俺に電話をかけてきた、何事かと思えば、母が内々で開く茶会の亭主をして欲しいと言うのだ。「私にですか?」「えぇ、総二郎さんにです」「‥‥どうしてもでしょうか?」「お嫌なら構いませんけど‥‥大切な方をお呼びしておりますので、是非総二郎さんにと思いまして」「いえ、嫌と言う事はありませんが‥‥」突然決まった事に面倒な気持ちが先に立ち声が尖るが...