明日咲く花

花より男子の2次小説になります。

23

2016

三角波 総二郎 side

つくしにあったのは、たまたまだった。 本当にたまたまだった。だけど、それは運命だった。いつからだったろうか? つくしが欲しくて欲しくて堪らなくなったのは。最初は、ただ単に懐かしいだけだった。京都に行く度に呼び出していた。たまに会ってバカ話しをするそんな間柄だった。俺等の関係が変わったのは、あの一件だった__男に刺されそうなってブルブルと震えるつくしが儚気でどこかに消えちまわない様に抱きしめていた。...

19

2016

三角波 8 総つく 完 

西門さんが部屋から出て行った後‥ダラダラダラダラと夜通し泣いた。身体の水分が無くなってしまうくらいに泣いた。人間ひとって、こんなに泣けるんだっていうくらいに泣いた。午前中に、引っ越しを済ませた。引っ越しと言っても‥自分の身体と段ボール7つの引っ越しだ。レンタカーを借りて、新しい部屋に全てを詰め込んだ。この部屋からは、海が見えない。波の音が聞こえない。荷物を移動する間にも、涙は流れる。ダラダラダラダラ...

19

2016

三角波 7 総つく

梅雨が明け一気に夏がやってくる。もうじき、この街に来て二年の月日が経とうとしている。「つくし‥こっち来いよ」西門さんが、あたしの名を呼ぶ。慣れ親しんだ手順で、お互いの身体を貪りあう。慣れ親しんだ筈なのに、抱き合う度に、新鮮な驚きと絶頂が訪れる。セックスの後、あたしの胸の頂をもう一度弄びながら「お前の身体‥俺のために作られてるんじゃねぇの?」西門さんがそんな事を口にする。刺激に?言葉に? 身体が跳ねる...

18

2016

三角波 6 総つく

無理だ。無理じゃないの押し問答が続いたあとに「そう言えば、偶然撮れてたんだよね」あたしの目の前に差し出されたのは、ビチャビチャと音を立て、男を貪る淫らな肢体。慌てて手を伸ばす。「おっと‥コレが色んな所に流れたら、お前困んだろ?」「卑怯だよ。そんなの消して」〝やだね〟の言葉のあとに、〝この先二年間、俺の女になれよ。そうしたら返してやるから〟そう言われ‥返事をする暇もなく‥色々な事が決まっていた。何も知...

18

2016

三角波 5 総つく

「牧野さん、お久しぶりです。憶えてますか?」美しい悪魔がそう言いながら、妖艶に微笑む。北村社長が「つくしちゃん‥若宗匠とお知り合いなんだってね?」ワクワク顔で聞いて来る。専務が尻馬に乗って「牧野、やるよなぁー、今度OB会行ったら自慢しなきゃな」なんて言って来る。あははっ‥あたしは、笑いを浮かべるが、絶対に顔が引き攣っている。「彼女、昔から奥ゆかしい所がありましたから‥北村社長からお話を伺った時に、もし...

17

2016

三角波 4 総つく

何故あんなにも‥劣情が襲ってきたのだろう。襲われそうになった恐怖で、あたしの意識は、昂揚していたのだろうか?何故かは、わからないけれど‥美しい男に、堪らなく疼いてしまったのだ。あの日、西門さんに抱かれたのは‥ある意味間違いで、ある意味正しかった。世の中に、これ程までに丁度具合のいい男の躯があるなんて‥と知れたから。今までに味わった事のない快楽が何度も何度も躯の中を貫いた。そして迎える絶頂。だけど‥朝起...

17

2016

三角波 3 総つく

経済情勢の変化‥家柄の違い‥数々の妨害‥それに耐えきれなくなった。自分で別れを選んだ。嫌だと何度も何度も縋られた、それを振り切り、道明寺を捨てたのは、あたしだった。 それなのに‥取り残されたあたしの心は、幾年経っても、癒される事など無かった。二人の恋を知っている人を見るのがつらくて、関西の大学へ3年時編入をして就職をした。道明寺の婚約を知った日、ずっと言い寄ってきた男に抱かれた。肌の温もりは、冷たくな...

16

2016

三角波 2 総つく

朝起きて、浜辺を散歩しながら朝陽を浴びる。沢山の沢山の朝陽を。足を伸ばして即売所に寄り、馴染みになった農家の人達と話しながら、色とりどりの野菜を吟味する。「つくしちゃん、今日は、水茄子、白ゴーヤ、赤オクラがお勧めよ」言葉に釣られて、メニューを考える。頭の中に、色とりどりのメニューを浮かべながら「じゃぁ、それと、バナナピーマンにしようかな」「トマトはいいの?」「あっ、トマトもお願いします」鼻唄を歌い...

16

2016

三角波 1 総つく

明け放れた窓からは、海が見えている。方向の違う波が重なり合って、三角波になる。大きな大きな波になる。ザブゥーン、ザブゥーン 波の音が聞こえてる。男の腕の中で、波の音を聞きながらあたしは漂っている。躯中に、男の口づけが降って来る。「つくし‥口開けろよ」薄く唇を開ければ、男の唾液があたしの口のなかに入って来る。半開きの口の端から、唾液が漏れる。「タマンネェナ‥お前のその顔」薄く嘲れば‥「銜えろよ」「いや...