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2016
曇天番外編 月夜 あきつく
「あきらのバカ」何の事か、わからないまま‥ ” バカ ” の2文字を残して、帰って行ったつくし。一人取り残される俺。俺の頭には ????? しか浮かばない。 何かやったけ?考えても考えても答えは見つからない。さっきまで楽しく、俺の誕生日祝っててくれたよな?壁にもたれ、空(くう)を見つめる‥ 愛する女を思って‥違う、そうじゃない。そうじゃない。俺が今しなきゃいけないのは、つくしを追いかける事だ。上着を手に...
28
2016
曇天 18 あきつく
雨は、まだ降り続けている。だけど、一条の光が差している。もう直き降り止むのだろう。恋を諦めた、あの日から、雨の日が嫌いだった。後悔という十字架を背負い生きてきた。10年分の後悔は、どんどんどんどん膨れ上がって、だけど行き場がなくて、辛くて辛くて仕様がなかった。雨が嫌いだった。心を冷たく打ち付ける雨が嫌いだった。だけど‥‥明けない夜がないように止まない雨はない10代の恋に、やっとやっとサヨナラが出来た。背...
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2016
曇天 17 あきつく
もう恐れない。何からも‥今日、あたしは 道明寺に会いに行く。ごめんね。と 誰よりも好きだった。その2つを伝えるために。曇天の空‥ はじめて曇天も悪くないと、あたしは思う。雨が降ったら、濡れてしまえばいいと思う。雨が降っても、もう怖くない。あたしは、空を見上げる。晴れも、曇りも、雨の日も あたしは笑って生きていく。**牧野が、俺に会いたいと連絡を寄越す。空を見上げる。今にも一雨来そうな雨空が広がってい...
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2016
曇天 16 あきつく
つくしの寝顔を眺めながら‥こんな時間が、ずっと続けば幸せだな。なんて思う。真っ白な肌が、暗闇で発光しているように、窓から入る月の光に照らし出される。つくしの心が何にも縛られずに、自由に空に飛び立てる様に、月に願う。おでこにキスを一つ落としつくしが笑っていられますように。つくしの毎日が穏やかで笑いの絶えない人生でありますように。そう願う。ベッドを抜け出し、カーテンを開ける。昏い空には、月が輝く‥俺って...
26
2016
曇天 15 あきつく
痩せ我慢? いいや俺の本音だ。10代のあの月の夜‥ 俺の恋心は閉じ込めた。再び出会って、江ノ島の太陽の下もう一度恋をした。五頭龍が、弁天様に恋をしたように。五頭龍が弁天様を永遠に見守るように、俺はつくしが幸せならそれで良い。つくしが、司を選ぶなら、心は痛むだろうけれど俺は見守ろう。痩せ我慢じゃなくて、そう思う。曇天の空にも、あいつが笑えればそれで構わないってな。そうこれが、俺の愛し方なんだ。俺はも...
25
2016
曇天 14 あきつく
数秒間の沈黙の後「なぁ、司‥」あきらが俺の名前を呼んで、話し始めた。「つくしはさぁ、ものじゃねぇんだ。貸して下さい。はいそうですかじゃねぇんだ。つくしにはつくしの意思がある。あいつがお前と話したいと思えば、話せばいい。それだけだ。」「はんっ、余裕だな。」ジロリとあきらを睨む。「余裕?そんなんじゃねぇよ。ただ、俺はつくしを縛りたくはないと思ってる。つくしが、司、お前の事を好きならそれはそれでいいんだ...
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2016
曇天 13 あきつく
道明寺の凍てついた眼差しが、あたしを突き刺す。怖い‥走ってこの場から立ち去りたくなる。でも‥この男(ひと)から逃げちゃいけない。あたしがあきらを愛し、安息の場を見つけたように、彼の心にも安息をあげたい。きっと‥ あたし以外には出来ない事。あの日、あの時の思い‥ ずっと蓋をしていた思い。あきらのお陰で、あたしの心は、やっとあの日から解き放たれようとしている。かつて愛した、愛おしい男にも‥ 解き放って欲し...
09
2016
曇天 12 あきつく
朝陽を浴びて、シャワーを浴びる。ヨシッ 気合いを入れる。明日なんかこなければいいのに、なんて事を思っても、誰の元にも公平に朝は来る。だから、明けない夜はない。昏い昏い闇夜を抜ければ、朝が待っている。ミルクたっぷりのカフェオレに、クロワッサン、サラダにオムレツなんていきたいところだけど、朝はコレだねで、二人揃って、焼き魚、香の物に、野菜たっぷりのお味噌汁。土鍋で炊いたご飯が光ってる。あきらと2人で食...
18
2016
曇天 11 あきつく
真っ青な空の朝に、ヨーイどんをした、あたし達の恋。あきらは、底抜けに優しくて、そしてどこに居ても違和感がなくて‥時折、あきらとあたしは、同じ世界に住む人間じゃないのかと、錯覚してしまいそうになる。あきらが好き。大好き。でもあたしの恋は、この恋は、愛にはしない。愛してしまったら離れられなくなるから。愛してしまったら、未来を望んでしまうから。沢山沢山、キスをして、沢山沢山、話しをして、どんどんどんどん...
04
2016
曇天 10 あきつく
口づけを交わしたものの、俺は思案にくれる。このまま進めてしまってよいものなのか? それとも立ち止まるべきなのか?ふっ、女には不自由はしていない筈だった。幾人もの女を抱いてきた筈だった。それなのに、牧野を前にすると俺は何も知らなかった日に、舞戻ってしまう。美作さんの熱く蕩けそうなキスを受け、あたしはこの男(ひと)が好き。そう強く強く思う。彼の戸惑いが伝わってくる。女性には慣れている筈の美作さんなの...
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2015
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