18
2016
04
2016
まんまるお月さま 類つく
何気にとった雑誌に、気になる見出し発見!「なになに、ふむふむ。へぇーっ」「っん、牧野どうしたの?いつになく真剣じゃん?」いつの間にやって来ていた類に、声をかけられる。気になる記事をバタンッと閉じて後ろ手に隠す。「ううん、なんでもないよ」小首を傾げて覗こうとするビー玉色の瞳をもつ王子様。もとい類。あたしは、ニコッと笑いながら後ろ手で、雑誌を棚に置き、類を促して店を出る。「買わなくて良かったの?」ポワ...
04
2016
夜伽の国の白雪姫 後編 ~類つく~ byオダワラアキさま
つくしはポツポツと誕生日の今日起こった出来事を話していく。 類は時折相槌を打つ程度で、ベッドの横の椅子に腰掛け、安心させるようにつくしの手に自分の手を重ねた。 「そう…閉鎖的な街、ね。つくし…俺なら何とかしてあげられるよ?でも慈善事業は好きじゃないんだ…あんたは俺に何をしてくれる?」 「あたしがあげられるものなんて…この身一つしかありません…」 類の言葉につくしは顔を上げて、類を見つめた。 助けて欲しいと願...
04
2016
夜伽の国の白雪姫 中編 ~類つく~ byオダワラアキさま
類は車のキキーーッという急ブレーキ音と、ガリガリと車が木に擦り付けられる音にハッと目を覚ます。 ここのところの仕事で疲れていたからか、眠ってしまっていたようだった。 運転手に何かあったのだろうかと驚き、運転席と後部座席の間の仕切りを上げると、運転手は外に出て何かを確認しているようだった。 車に故障かーーー? 「何かあった…?」 類も外に出て蹲る運転手に話しかける。 心霊現象を信じているわけではないけれど...
03
2016
夜伽の国の白雪姫 前編 ~類つく~ byオダワラアキさま
つくしは走って逃げていた。 ここがどこなのかも分からずに、只ひたすらに走り、気が付けば太陽の光も届かない深い森の中へと足を踏み入れていた。 あたし、このまま死ぬのかな… 木々が揺れるカサカサという音にも、ビクリと肩を震わせて暗い暗い山道を登って行く。 どこか…どこか、公道に出られれば…っ 車がもしかしたら通るかもしれない、助かるかもしれないと、月の明かりだけを頼りにつくしはひたすらに走った。 20歳になっ...