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2017
No.082 幸せ 司つく
恋の色は何色だろう?引き出しからベビーピンクのグロスを取り出して唇に塗る。幼かった自分を思い出して笑いが零れる。デートの時、あたしの唇にはこの色のグロスをよく付けていた筈だ。少しでも可愛く、綺麗に見られたくって。うふふっ 可愛かったなぁー あたし。アレッ?それなのに……なんで付けなくなったんだっけ? あっ!! そうだ___「なぁ、前から一度言おうと思ったんだけど、お前天麩羅食ったあとはちゃんと口拭い...
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2017
イノセント 50 司つく
太陽がギラギラと照りつけている。「ふぅっーーーー」大きな溜め息を吐いてプールから上がったのと、部屋のドアが開いたのは丁度同時だった。つくしは自分が全裸なのを思い出し、投げ捨てたバスローブを慌てて羽織った。「お前、なんで返事をしない」「あんた、なんでいるの?」司とつくしの言葉が重なり合う。司の顔とつくしの顔が怪訝に歪みあう。「なんでいるの?仕事は?それになんで鍵かけたの?」「…………」「ねぇ、なんで?」...
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2017
No.081 駆け引き by miumiuさま
Special Thanks おとなのおとぎばなし miumiuさまあなたを手に入れるそう決めた だから罠をしかける にっこりと笑顔をまとって...
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2017
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2017
No.080 鯛焼き あきつく
傘をクルクルと回しながら小雨の降る中を楽しそうに歩いている女の子が一人。あまりもその様が幸せそうで、タバコ屋の源さんが、角の肉屋のモーリーさんが、お茶屋の米さんが、そして男の子が女の子を見る。「おっ、つくしちゃん! 随分とご機嫌さんだな」そう声をかけたのは、青年団の団長で鯛焼き屋の店主政まささん。「こんにちはっ。あっ、あのね、あのね、見て見て ジャーーーン。なんと、なんと野鳥の会の長靴なんだよ」「...
29
2017
イノセント 49 司つく
長い長い時間つくしは、床に座り込んでいた。のそのそと起き上がり、クローゼットの扉を開ければ__「あいつ__やっぱり、狂ってる」思わず声が吐いてでた。クローゼットの中のスーツやワンピースなどのものは、全てハサミを入れられているのだ。残るのは誰の為に用意されたのかと思わせるようなナイティや華美な下着……到底外には出て行けないようなものばかりが残っているのだ。鍵がかかっていた時点で、クローゼットの中身がな...
28
2017
No.079 居候 総つく
ツゥゥッーーーーと秘色色*ひそくいろの着物から出る白い手首に指を這わせる。「ウグッ、ウグッ、ダ、ダ、ダメ、__こ、こ、降参」そう叫んだあとゲラゲラ笑ってる女__俺の許嫁の牧野つくし17才。はっきり言おう。目の前の女は品も美貌もない。ついでに言うとお茶のおの字も良くわかってないような奴だ。俺のうちは所謂由緒正しい家柄って奴だ。まぁなんだ家柄が服着て歩いてるみたいなもんだ。加えて俺は、次期家元で自分で言...
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2017
27
2017
No.078 クワズイモ 類つく
クワズイモがユラユラと陽の光を浴びて揺らめいている。あまりにもお陽様がポカポカと暖かくて「ふわぁっ~」大きな欠伸を一つした。プルプルッンと子犬のように首を振り眠気を飛ばす努力をした。いつもなら忙しい時間帯なのに、つくしのボスの桜木会長は、何やらお昼過ぎから〝野暮用〟とやらで忙しいようで…...ポッカリと穴が開いた様に暇を持て余しているのだ。夕方には打ち合わせの会食も控えているので帰宅するわけにも行かず...
27
2017
イノセント 48 司つく
疲れ果て意識をなくすように眠りこけるつくしに深い口づけを落す。閉じられた双眸そうぼうの端に残る涙の跡をそっと指で拭う。ただ二人で水の中で戯れたかっただけなのに___気が付けば嫉妬に駆られ傷つけていた。笑う顔がみたい。そう思うのに気づけばつくしを傷つけている。つくしの時間も身体も__そして心も自分だけで埋め尽くしたいと渇望しているのだ。つくしの心の全てを自分に向けさせれるのなら、憎まれても恨まれても...
26
2017
No.077 50/50 司つく
朝が始まる。「髪型 ヨシッ!」「服装 ヨシッ!」「顔 う〜ん 今日も可愛い ヨシッ!」ニッコリ姿見の前で笑って「行ってきまーす」大きな声で叫んで家を出た。オンボロ自転車に跨がって「いざ行かん!」何をそんなに気合い入れてるかって? 戦いよ戦い。うんっ?何との戦いかって___それ聞く? 聞いちゃうんだーー?「牧野————」コレコレ、あたしの名前を偉そうに呼ぶこの男との戦い。毎朝、毎朝、よーくこんなに色々見...
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2017
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2017
No.076 何度でも・・・恋をする。 by Happyending さま
Special Thanks With a Happy Ending Happyendingさま恋を愛を奏でた分だけ 俺はお前に惹かれ続ける...
25
2017
イノセント 47 司つく
つくしの指先が司の頬に触れる。頬に触れられているのにも関わらず、司がつくしの指先から感じたのは、どこか遠い所への思い。ただそれだけ。ぐっとつくしを抱き寄せて「そんなに俺に欲情してんのかよ?」耳元で囁く。つくしの心は一気に現実に舞い戻ってくる。一瞬、そう一瞬……つくしの心は17のあの日に舞い戻っていたのだ。「だ、だ、誰が___」司の腕を必死に解こうとすれば、その行為が司の劣情を煽動する。抱き締められた...
24
2017
No.075 再び あきつく
鉛色の空からぽつぽつと雨が降り出している。店の中には、一昨年流行ったラブソングがBGMで流れている。つくしは、読み止しの本を閉じ、何かを思い出す様に頬杖をつきながら「ふふっ」楽しくて堪らないと言った顔をして小さく笑った。カランコローン カラン昔懐かしいカウベルの音と共にドアが開いて、男が一人店の中に入って来る。ゆっくりと辺りを見回してからつくしを見つける。彼女の姿を見つけた彼の瞳は幸せ色に満ちていく...
24
2017
こたつdeみかん ~レンチン効果効能編~
なぜお風呂?気になる人は↓ 空色の時間 空色さまのお部屋にレッツゴーこたつdeみかん~レンジでチン編~deシリーズは、~空色の時間~ 空色さまとの共同作品♪になります。...
23
2017
No.074 幸せ 総つく
「ゲホッ ゲホッ……」ゾクゾクとした寒さが突如背中を襲う。「大丈夫?」俺の顔を覗き込む様につくしの瞳が俺を見る。〝大丈夫だ〟そう答える前にガタガタと寒気が襲って来る。「——っずぅぅーー かなり寒い」「これから熱が出て来るのかしら?あとの準備はやっておくから__」「あぁ、悪いが宜しく頼む」日の高いうちからベッドに潜り込み目を瞑る。熱が上がる前なのだろう。身体の芯が寒くて寒くてたまらない。身体中が燃えるよ...
23
2017
イノセント 46 司つく
振り向いた瞬間__司の嬉しそうな顔を見つけてつくしの心が高鳴った。 ドクンッドクンッ ドクンッ気付かれる前に慌てて目を逸らした。「服は?」「そこに入ってる」「着替えるから出ていって」司の背中を押して部屋から押し出した。クローゼットを開ければ__夥しい数の服が入っている。その中で一番地味目な部屋着と下着を取り出してシャワーを浴びに行く。バスルームに写った自分の裸につくしは一瞬息をのんだ。夥しい数のキ...
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2017
No.073 暗闇と薄明と 類つく
少年は、全て呑み込まされてしまいそうな暗闇が嫌いだった。夜が来る度、膝を抱えながら暗闇に怯えた。淋しく淋しくて震える自分を抱き締めた。真っ暗闇が怖くて、怖くて部屋中の灯りを点けながら眠った。いつからだろう? 暗闇が怖くなくなったのはいつからだろう? 幸せな気持ちさえ抱く様になったのは___夜中に目が覚めて__暗がりの中類の手はつくしを捜す。いつもと変わらぬ温もりに安堵して起き上がり、ほんの少しだけ...
22
2017
21
2017
No.072 ダイタンのたがも 司つく
「おーたん、ちってましゅか?」小っこいのが小鼻をひくつかせ顎先をクイッとしゃくりあげながら言ってくる。「っん?なにがだ?」「ダイたんたがも でしゅ」ダイたん? ダイたんとは? しかも たがも……ココは下手に返事をしてはイケナイ。小っこいのと付き合う鉄則だ。うーーん、新しい年になって、俺もまた一つ賢くなったな。シミジミとシミジミと頷く。「おーたん ちらないんでしゅか?」横目で俺をみながら含み笑いを浮か...
21
2017
イノセント 45 司つく
全身の気怠さでつくしは眼を覚ます。いつも通り、ベッドから這い出て服を着替えようと辺りを見渡せば、頭の先からつま先まで完璧な装いに整えた男が自分を見下ろしていた。シーツを身体に巻き付けて「あたしの服はどこですか?」「処分した」「どう言う事ですか?」「お前の身体は俺のもんって言ったろ?だから処分した」「だからの意味がわからないんですけど」つくしの瞳がキッと司を睨む。「くくっ、この状況でお前、よくそんな...
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2017
20
2017
19
2017
No.070 雪花弁
「おぉっ~寒い」はぁぁっーー合わせた両手に息を吹きかけながら小さく呟いた。牧野つくし27才。大手出版社に勤めて5年になる。日々働く女で頑張っている。そんなつくし__なんでこんな辺鄙な片田舎に居るかと言うと……新しい原稿を書いて欲しいとこの5年筆を断っている作家に会いに来た帰りなのだ。彼の作り出す世界が言葉が好きだった。この世界に入る切っ掛けは作家の書いた本だった。同じ世界にいればいつか会えるかもしれ...
19
2017
イノセント 44 司つく
ギリギリと痛む心が司の身体に火をつける。激しい嫉妬が司の心を黒く染め上げる。司は、つくし押し倒し脚を大きく広げさせ、怒張した熱い塊をつくしの中に一気に挿れた。「イヤッ、ヤメテ……」つくしの両手が司を突き飛ばす。黒い感情が司の身体にとぐろを巻いて渦巻く。非力な女の力は屈強な力で直ぐさまにねじ伏せられる。それでもなんとか司の身体から少しでも離れようとつくしはもがく。もがけばもがくほど、司の心に火がついて...
18
2017
No.069 いいよね 総つく
「なっ、なっ」あたしは、さっきからずっと口説かれている。目の前の黒髪サラサラ軽妙洒脱男に。っん?軽妙洒脱じゃないか__充分に俗っぽいもんなぁー。いやいや、俗っぽいのに俗っぽくみえないあたり軽妙洒脱?「なぁ、さっきからすげぇ、ブツブツ言ってるけどお前ちゃんと聞いてるか?」サラリと前髪なんて掻き上げながら流し目をしてくる。何故にあたしに流し目なんて思ったら、その流し目の先はお婆さんと小ちゃな女の子。あ...
18
2017
17
2017
No.068 初恋 類つく
緑の木々に囲まれたとあるカフェ。柔らかな光が差す中庭の椅子にその人は腰掛ける。ドックン 心が高鳴る。お陽様と一緒に微睡む姿がまるで天使みたいな彼に恋をした。一目見た瞬間から、つくしの瞳には彼しか映らなくなった。柔らかな色合いの髪が好き。ビー玉みたいな瞳が好き。本を読む真面目な顔が好き。遠くを見つめて物思いに更けてる顔が好き。お陽様と戯れながらうたた寝をする顔が好き。「類!」フワフワと綺麗な茶色の長...
17
2017
イノセント 43 司つく
RRRRRR普段、滅多になる事がないつくしのスマホが鳴り響く。司は眉間に皺を寄せ「出ろ」命を出す。つくしは、慌てて首を振る。司の指が花芯を弄りながら「いいから出ろ」「この状態じゃ......無..理….あっ…」「疾しい電話かよ?」つくしは首を振る。「じゃぁ、出ろ」意地悪くそう言ってつくしの鞄からスマホを取り出し通話をスライドさせてつくしに手渡す。『……もしもし…牧野?』『あっ、花沢…類?』類の名前を聞いた途端、司の指...