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2017
無花果 ~過去05~ 類つく
「あらあら、千暁さんの独占欲ったら。あまり束縛が激しいようだと、つくしちゃんに愛想つかさられてよ。ねぇ、つくしちゃん」あたしが答える前に千暁さんは、大袈裟なほどにかぶりを振り「つくしが俺に愛想を尽かせる? ない。ない。そんなことないから、安心なさってください。なっ、つくし」千暁さんは、あたしの髪に絡めていた指を離して、あたしの右手にそっと手を置く。あたしは千暁さんの顔を見上げてから、おば様の目を見...
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2017
無花果 〜過去04〜 類つく
夢の中で目覚まし時計がしつこくなり続けるのが聞こえる。夢うつつの中でベッドサイドを探した。いくら手を伸ばしても、目覚まし時計を止められず、同じ動作を繰り返す。「うっう~んっ、あと5分」そう呟いて布団に包まったところで、はたと目を覚ました。目を開けて辺りを見回せば、部屋の中が夕闇に彩られていて、あたしは慌てて起き上がる。素肌の上に彼が脱ぎ捨てたであろうシャツを羽織り、自分の服を探す。ベッドの周りには...
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2017
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2017
紅蓮 101 つかつく
お帰りなさいませ沢山の使用人が一斉に頭を垂れる。宗谷に抱きかかえられながら「とぉしゃま、ココは?」 「うんっ?ここはね、父様の育った屋敷だよ」「そだぁった?」「あぁ、父様は、ここで生まれて、ここで大きくなったんだよ。そうそう父様と母様が出会ったのもここの屋敷だったんだよ」「であった?」「そうだよ。いまの永久くらいの時に、父様と母様は出会ったんだよ」「とぁしゃまとかぁしゃまが?」「あぁ、だからここに...