明日咲く花

花より男子の2次小説になります。

15

2017

無花果の花はうちに咲く ~過去05~ 類つく

最後の見開きの頁を飾っていたのは、二枚の写真だった。白イチジクを頬張る幼き彼女と、黒イチジクを頬張る現在の彼女。どちらの彼女も至極幸せそうでフ思わず笑みが漏れた。次の瞬間……御堂の言葉が脳裏に甦り、彼女と御堂の間に流れる時間ときの長さに思い至った。ビリッ……ビリビリビリッビリビリビリビリ……全ての写真が紙くずとなり散乱する部屋を飛び出し、彼女が住むマンションへと向かった。携帯のダイヤルを押そうとした瞬間...

08

2017

無花果の花はうちに咲く ~過去04~ 類つく

彼女の身体は、甘い蜜そのものだった。甘い蜜は俺の理性を奪い、欲を剥き出しにさせていった。全ての穴という穴を犯すように貪った。愚かなことに快楽を与えるという形で彼女を支配しようていたのだ。彼女の身体を貪れば貪るほど心は飢えて、堪らなく渇いていった。「いつも言ってるけどさ、そんなとこに突っ立ってると邪魔だから座んなよ」彼女は俯きながらソファーの端に座る。「そこだとテレビが見えない。こっち来て」俺の隣を...

06

2017

無花果の花はうちに咲く ~過去03~ 類つく

まさか、その時が彼女の初めてだなんて思いもしなかった。あまりの快楽に、彼女の出す破瓜の血にさえ気付かずに、淫乱だと罵り朝まで抱き潰した。消えた温もりを探すように目覚めれば、ベッドの中から彼女は消えていた。あれほど深い快楽を共にしたと言うのに、一人残されたと思うと良くわからない激しい感情が湧いてきた。数日経った昼下がり、車を走らせ彼女の通う高校に向かった。校門近くで車を止めさせ暫く待てば、運良く彼女...

04

2017

無花果の花はうちに咲く ~過去02~ 類つく

指に絡ませた黒髪をストンと落しては、絡ませる。何度も何度も繰り返される指の動きに、醜い思いが湧き上がる。御堂の目が細められ、指に絡めた髪に口付けを落とした瞬間……堪えられず席を立ち上がろうとすれば「お食事中ごめんなさい……電話が入ったみたいで」席を立ち上り外に出ていった。御堂は真っ赤なワインを傾けながら「あいつ、可愛いいでしょ」自慢するかのように口にした。「あいつの長い黒髪、白い肌、しなやかな肢体、全...

03

2017

02

2017

無花果の花はうちに咲く ~過去01~ 類つく

真っ赤に熟れた無花果のように……花はなかに咲く。「牧野つくしと申します」これはデジャブ? 俺は目を擦った。「私の顔に何かついてますでしょうか?」「あっ、いや」同姓同名?いや、牧野だけならともかく、つくしなんて珍しい名前がそうそうあるわけもない。透き通るような白い肌にボルドー色の口紅が艶かしくて「ヴァムピール」小さく呟いていた。目の前の彼女は、眉根を寄せたあと「花沢専務、せめてヴァムピーラとお呼び頂け...

01

2017

無花果 ~過去07~ 類つく

「つくし、どうした?」過去へと想いを馳せていたあたしの顔を千暁さんが覗き込む。「あっ、うん……千暁さん、いつ迎えに来てくれる?」「夜には来れるようにする」「うん。じゃ、頑張る」「あぁ。いつも悪いな」だったら静さんと別れて……と、言いそうになって、慌てて首を振った。「じゃ、おやすみ」いつものように、おでこにお休みのキスをひとつ残して、千暁さんは部屋を出ていこうドアノブニ手をかけて、何かを思い出したように...

01

2017

無花果 ~過去06~ 類つく

無花果を頬張るあたしの写真と共に千暁さんが自宅に挨拶に来たのは、初めて会った2週間後だった。パパやママ、弟の進と瞬く間に仲良くなった。当時まだ学生だった千暁さんは、暇が出来るとあたし達家族に会いに来た。弟しかいなかったあたしは、兄が出来たようで嬉しくて堪らなかった。膨大の量の撮り貯めた写真で作ってくれた家族のアルバムには、あたしが、進が、パパやママが写した千暁さんの写真も沢山含まれている。無花果を...