明日咲く花

花より男子の2次小説になります。

27

2018

無花果の花は蜜を滴らす 01

「へぇ、案外、さっぱりしてて美味しいんだね」形のよい唇が鯖サンドを咀嚼する。美しい男は何をもってしても美しいのだと感心しながら、怪しまれない程度に盗み見をした。「ヨーグルト漬けにした鯖を焼いて、レモンたっぷり絞ってあるんでさっぱりなんですよ」「この魚がサバだっけ?」「えぇ、……って、専務、鯖もしや初めてですか?」「うーん、どうなんだろう?会議の時に、弁当とかに入ってる?」疑問系で問われて会議用のお弁...

24

2018

baroque 79

廊下に出たつくしは、慌ててスマホをタップした。スマホの向こうからは、不機嫌さを隠さない総二郎の声がする。『なぁ、今どこにいんの?』「どこって、インディゴちゃんの所だよ。…………なんでって、総、今日は遅いって言ってたでしょ…………だから」『はんっ、鬼の居ぬ間のなんとやらか……』「鬼の居ぬ間なんて……」つくしの呟きに言葉をかぶせるように『俺さ、コレダメあれだめ極力言わないようにしてるよな?』「……うん」「だったらさ...

18

2018

おめでとうございます(*^^*)

こんにちは気が付けば、いつの間にか年も開け……2月も真ん中を過ぎ……2月18日で、なんの日かって?gypsophila roomの三周年記念。めでたい‼めでたい‼おめでたいを、お祝いして、全20名のメッセージとお話しがプレゼントされてます!その名も~colorfulbox~ Gipさまに捧げる短編集お話しは全部で25話!総つくサイトは勿論のこと、色々なサイトの作家様がなを連ねてます。もうね圧巻です(*^^*)asuもこっそりひっそり、贈らせて頂...

16

2018

無花果は香る

「ヴァムピール」形の良い彼の唇から微かに小さな声が漏れた。10年ぶりの言葉が吸血鬼だなんてと、一瞬、クラリと倒れそうになりながら「花沢専務、せめてヴァムピーラとお呼び頂けませんか?」平静を装い女性形容詞を返した。彼の唇が「失礼」と謝罪を述べている。あたしの中の凝り固まった緊張が一気に溶けていく。同時に溢れ出す彼への思い。あぁ、あたしは、やっぱり彼の全てを好き 好き 好き 好き 好き 好き 好き 好き ...

12

2018

紅蓮 102 つかつく

「永久をかい?」剣のこもった宗谷の声に抗うように、つくしはギュッと手を握りしめながら「ダメ……かしら? 永久にもそろそろ同世代の子達と触れ合うことが必要かと思うんですが。それに、日本なら治安も良いし」つくしの言葉が全て終わらぬ内に宗谷は言葉を覆い被せる「永久はまだ小さい。そんなに急ぐ事はないよ。それに日本での滞在は、一時的なものだ」言い切る宗谷に、つくしは負けじと言葉を返す「でも、同年代の子と触れ合...

07

2018

無花果の花はうちに咲く ~交差~ 類つく

小さな頃から、感情を表に出すのが苦手だった。腹の底から笑ったことも、怒りを露にし泣き叫んだこともなかった。内にこめた感情は行き場を無くし、行き場を無くした感情は心を壊した。壊れた心は真っ暗な中を彷徨った。暗闇の中の俺に柔らかな光を与えてくれたのは静だった。静の側に居れば柔らかな光の中に居られた。それは、とても居心地の良いものだった。静さえ見ていれば、他の人間には心を閉ざしたままでいられたから。だか...