明日咲く花

花より男子の2次小説になります。

28

2018

無花果の花は蜜を滴らす 09

バタンッと扉が閉まれば、この部屋特有の甘い香りがあたしを包む。「つくし、とってもいい子だったね」万里くんはそう言うと満足そうな微笑みを一つ浮かべた。「学校もそろそろ行かなきゃね」「行ってもいいの?」「もちろんさ。いい子にするって約束守れてるしね」繋がれていた指先が解けて、テーブルに置かれた錠剤と水の入ったグラスをいつもの様に手渡された。万里くんは、あたしが嚥下するのを確かめたあと、あたしの髪を撫で...

22

2018

紅蓮 104 つかつく

「かぁしゃま、ねんね?」宗谷は首を傾げそう聞く永久の頭をひと撫でしてから眠り続けるつくしを見下ろした。永久が宗谷を見上げ「とぉしゃまナイナイよ」紅葉のような小さな手で宗谷の頬を持ち上げて「ニッコリよぉ」そう口にした。「永久……」「かぁしゃま ニッコリすきよぉ」「……こうか?」宗谷が微笑めば、小さな手の平を合わせてパチパチと手を叩く。 「そう……だな。母様はニッコリが好きだな」永久の温かい手がもう一度頬に触...

12

2018

紅蓮 103 つかつく

「とぉしゃま、いってらぁしゃい」「あぁ、母様と二人良い子で待っているんだよ 」「あぁーい」宗谷は娘の永久を抱き上げ頬にキスを一つ落としてから、佐久間に引き渡した。佐久間は手を振る永久と共に奥の部屋に下がっていった。回り廊下を歩きながら「つくし、永久のこと、くれぐれも頼むよ。それと……「外に出るなですよ……ね」「まだこの前のこと怒っているのか?仕事が一段落したら三人で旅行にでも行こう永久が見たがっていた...

08

2018

無花果の花は蜜を滴らす 08

千暁さんは、あたしの手を取り「つくし行くぞ」そう言ってくれたのに……あたしの身体は動かない。まるで全てがわかっているかの様に瞳子おば様は、優雅な仕草でベルを鳴らし執事を部屋に呼んだ。「鴇田、千暁さんにお帰り頂いて」執事が三回手を叩くと黒服の屈強な男達が現れて、「つくし、一緒に来るんだ」と叫ぶ千暁さんを引きずっていった。いつのまにか隣に来ていたおば様が、あたしの髪をゆっくりと撫ぜている。そして連れて行...

05

2018

baroque 85

「ふぅっーー」浴びるほどに酒を飲みグデングデンに酔っ払った薫を部屋まで担ぐ様に連れて来た。ベッドに寝かせて靴を脱がせたあと、悠斗は薫の眠るベッドの脇に腰を掛けた。「ハァッー 」ため息を吐き、眠る薫の顔をジッと見つめた。長い付き合いの中、どれだけ飲んでも酔うことなどなかった。いや、馬鹿みたいに酒を飲むなどなかった。薫がこんなにも酔うなど、目の当たりにしている今でさえ信じられぬ思いでいっぱいだ。「コイ...

03

2018

無花果の花は蜜を滴らす 07

あの後、帰国した千暁さんがどんなに抗議しようともあたしの前の学校への復学は認められず、中学の時に通っていた付属の高校に転入が決まっていた。特権階級の人間達の巣窟のような場所だ。あたしがあたしでいるために、呼吸いきを自由にするために飛び出したのに……再びその場所に引きずり戻された。しかも……幾つかのオマケ付きで。「進君、大学はハーバードに行きたいんですってね。将来優秀よね。ねぇ、つくしちゃん、それなら、...

02

2018

baroque 84

甘い匂いを感じて視線を這わせば、切り花にしては珍しいほどに月下香が見事に花開いている。清らかな花姿なのにも関わらず、甘く人を惑わす香りをもつ月下香。鼻を蠢かし愛する女を思った。「ふっ……大概だよな」五感で感じる全てのものを、つくしに関連付けてしまう己に思わず総二郎は苦笑いを零した。会えない時間さえもが恋心を募らせるのだと初めて知った。つくしを思えば、激しい昂りと共に優しく清らかな思いが心を占める。つ...