バカ言ってるんじゃない 15 司つく
クイッと服の襟を摘まれて
「車乗ってけ」
「えっ“‥で、で、でも‥凄く目立っちゃうから」
「あっ、痛っ痛たたた あぁー痛い」〝嘘だけどな〟
「だ、だ、大丈夫?」
「あぁ、痛いけどな。それより一緒に付き添え」
「‥あっ、うん」
行き帰りと黒塗りの大きな車に揺られて、まるで役員出勤。
くぅっーー 肩身が狭い。
こんな大きな車に、平然と乗り込む道明寺。
やっぱりお坊ちゃまなんだなと改めて感じる。
道明寺司‥DMJの跡取り息子。
そんな事くらい、とっくに知っている。
だってココ 『経営企画本部』 は、目の前の男の将来のために作られた部署だもん。
この部署の人間は、道明寺司の将来の参謀になるべくして集められているのだから。
いつから知ってるかって?
あははっ‥それはあの日から
〜〜ポワワーン〜〜
「あぁー良く寝た〜 うーーん って、喉が痛い」
延々と大声で、あの大男怒ちゃったもんね。
ガラガラッ うがいをしてから
「あぁーーあぁー」
ヨシッ あとは、のど飴のど飴 確かバッグの中に入ってたよね。
RRRRR
うんっ?誰から電話?
「はい」
受話器の向こうから聞こえてきたのは、DMJホールディング社長秘書だと名乗る男の声。
なんで?社長秘書が?なんで? あたしの頭の中は、なんでなんででいっぱいだ。
努めて冷静に振る舞って、相手の話を聞けば
日本に帰宅する前に、一度会いたい言うのだ。
「おはようございます。牧野さんDMJ社長秘書の西田と申します」
DMJ会長秘書だと名乗る男性が、物腰柔らかく挨拶をした後に‥
「昨晩のメープルでの、大立ち回り拝聴させて頂きました」
ひゃっ、も、も、もしや 退職推奨? 南、南無三ー
いやNYだから、アーメン? いやいや今はそんな事に拘らずに
「す、す、すみません。天下のメープルであんな恥ずかしい真似をしまして」
慌てて謝るあたしの言葉を制するように、右手を出して
「いえいえ、大変感動させて頂きまして、失礼ですがあなたの事を調べさせて頂きました」
ニッコリと微笑む。
「実に興味深い方ですね。DMJへの入社成績も群を抜いている。それに大河原滋さんを始め、花沢類氏、西門総二郎氏、美作あきら氏とも交友があるそうで。いやいやそれだけじゃないですね、カーター卿とも仲が宜しいとか?」
コネ入社が嫌で‥選んだのがDMJだった。
喉の奥がざらつく。必死で声を振り絞る。
「はい。そうですが‥あくまでも良い友人としてお付き合いさせて頂いているだけですので‥」
「勿論それも調べさせて頂いております」
そんな言葉の後に、『経営企画本部』立ち上げと『道明寺司』の事を 話されたのだ。
その名も『プロジェクトX』
まぁ、このXはどこからきたのか、さて置いて‥
あたしにとって、この話はある意味とても魅力的な話だった。
〜〜ポワワーン〜〜
「牧野、着いたぞ」
そう声をかけられ、現実世界に立ち戻る。
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