明日咲く花

花より男子の2次小説になります。

月夜の人魚姫 13 総つく

「シレーヌに、でっかい仕事くれてやる」
そう言った後に
「だから、ミュウに夏休み1週間やってくれ」
暖が言い放ち。勿論勿論と遊が頷いて‥

蒼と2人で夏休みを満喫中だ。

「ママ、オレ、お茶のおけいこ始めたんだよ」
「えっ?そうなの?」
「オレね、スジがいいんだって。お茶って面白いよね」
得意気な顔で、蒼が話す。
「蒼は、お茶が好きなんだ」
「うんっ なんかね、せなか?せすじ?」
「背筋かなっ」
「せすじがピーンとするの」
「そう‥背筋がピーンとなるんだ」
「うん。オレお茶の人になるんだ」
ニッコリ笑った顔が、愛おしい人と重なる。

一陣の風が吹き、蒼の黒髪がサラサラと風に靡く。
大きな黒い瞳‥目を瞑ると切れ長になる大きな瞳。
「蒼‥」
あたしは、宝物を抱きしめる。

次の日、蒼にお茶を点ててあげれば、
「ママのお茶はまん丸さんで、優しいお味だね」
ニッコリと微笑む。

刹那‥

『牧野の茶は、上手とか下手じゃなく、いつ飲んでも優しい味がすんな』
そう言った、あの人の声を思い出す。




蒼としばしのお別れの時‥蒼が真剣な顔をして
「ママ、オレと会えなくて、さびしいか?」

「うんっ 寂しい」
と答えれば、蒼は、ニッコリと微笑みながら

「遊も暖もいるから、がんばれ。オレも、バァバとジィジとがんばるから」

この子は、いつの間に、こんな事が言えるお兄ちゃんになったんだろう?

「遊も、暖も蒼の代わりには、なんないよ」
涙が出そうになるのを堪えて、ギュッと蒼を抱きしめる。

「うん。じゃぁ、さびしくなったら会いにきて」
蒼の両の目に涙が光る。

「うん。次は2週間後だね」
「うん。ママ、泣くなよ」

おでこを合わせて コッツンコする。

「じゃぁ、ママ行くね」

蒼とお母さんに手を振り、新幹線に乗り込もうとした瞬間、声が掛かる

「倉科様、倉科様じゃございませんか?」

振り返る‥‥

家元夫人がお伴を引き連れ、こちらにやってきて、挨拶をしてくる

「倉科様のお孫さんでいらっしゃいますの?」
母に家元夫人が聞いている。

「えぇ‥」

母が返事をした次の瞬間、待ち構えていた様に、蒼が優美に微笑みながら、挨拶をする。

「はじめまして。倉科蒼です」

「こんにちは。可愛い紳士くんね」
家元夫人が目を細めて、蒼を見る。

「おばちゃまは、お茶の人ですよね?」

「あらっ、ご存知なの?」

家本夫人の問いに、ニコッと微笑みながら
「バァバの持っているご本に載ってました」

「あら、そう。蒼君は、お茶が好きなの?」

「はい。オレ、お茶の人になるんです」

「まぁ~ じゃぁ、暫くこちらに居ますから、ぜひ支部に遊びにいらっしゃいな。お稽古つけて差し上げるわよ」

「えっ?いいの?」
目をキラキラさせながら蒼が聞き返している。

「蒼、家本夫人はお忙しいのだからご迷惑よ」
慌てて制すれば

「あらっ、倉科様‥どうぞ遠慮なさらないで下さいませ。逆に楽しみですわ。それでは改めてご連絡入れさせて頂きますね」
そう言い残し、立ち去って行く。

「ママ、すごいね」
蒼が、ワクワクした顔をあたしに向けている。

「うん‥凄いね」
答えながら、大丈夫この子を産んだのは、倉科未悠だ。
牧野つくしじゃない。そう自分に言い聞かせる。

蒼が、ウキウキしながら前を歩いていく。
後ろ姿を見つめながら、倉科の母が

「未悠ちゃん‥蒼君ってお婆ちゃま似なのね‥」
小さな声で寂し気に、ポッツリと呟いた。

「うん。蒼の優しい所、頑張りやさんの所、可愛らしい笑顔 全部お母さん似だもんね。あっ、あたしもお母さん似だよね?」
「未悠ちゃん‥」
「じゃぁ、お母さん蒼を宜しくね」
「えぇ、気をつけてね」

じゅあねと2人に手を振りながら

あの時と同じ、一度動き出した流れは、止まらないのかもしれない‥


~~~~~

「ワリィ、牧野‥」
「っん また?」

他の子に頼めばいいよと断っていたパーティーのパートナー役‥西門さんの胸を借りて泣いたあの日から、借りをつくってしまった気がして断れなくなってしまった。

「でもさ、そろそろ辞めにしとかないと‥勘違いする人も出て来るよ」
「バァカ、それが狙いだろうよ」
「うーん。西門さんの女関係ならいいけど、お邸の方に勘違いされたらそれはそれで面倒じゃない?」
「変な見合い持って来られなくていいだろうよ。それに、他の女に頼むのも色々支障があんだよ。バイト代はずむからよ。なっ」

そう言われれば、ついつい頷いしまう。
週に1度、下手すると週に2度。お茶の稽古が週2だから週3か4で一緒にいたりしている。
いや、その他にもだからもっとか‥


一人が寂しいと感じる暇もなく‥一緒にいる。
するりと、あたしの時間に、心に、入って来る。





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8 Comments

asuhana  

ぐみありさま

ひょんなところで、ひょんな人と。
ご縁はふしぎなもんですよね

真っ黒くろすけ♪ 素敵♪♪
子供はね、真っ黒くろすけですよね。
はっ、母もか(笑)

あーちゃん、やるなぁー



2016/08/23 (Tue) 13:41 | EDIT | REPLY |   

asuhana  

たろささま

総ちゃん‥いい男なんですよねー 
人一番、自分の気持ちに不器用と言うか‥なんと言うか。

ご主人、それだけたろささんを見てるって事ですね〜♩
むふっ

2016/08/23 (Tue) 13:38 | EDIT | REPLY |   

asuhana  

yukikoさま

ご心配ありがとうございます。
一転して、晴れ間が広がってます。

血は争えないと共に、つくしもバァバも習ってますからねー
案外と身近なんですよね。むふっ


家元夫人はまだ気づいてない。何れ?うふふっ

2016/08/23 (Tue) 13:26 | EDIT | REPLY |   

asuhana  

haruwoさま

おっ、haruwoさーーん
待ってた待ってた。 
聞いた聞いたよぉーーー 楽しみにしてるぅ

くぅ 待ってるww

あっ、総ちゃん‥うーんどうなる?

2016/08/23 (Tue) 11:21 | EDIT | REPLY |   

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2016/08/23 (Tue) 10:29 | EDIT | REPLY |   

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2016/08/23 (Tue) 08:15 | EDIT | REPLY |   

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2016/08/23 (Tue) 01:41 | EDIT | REPLY |   

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2016/08/23 (Tue) 00:32 | EDIT | REPLY |   

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