生々世々 類つく

夏祭りをお題に♪
上を向いて歩こう 青空心愛さま と 夏祭り2人コラボ♪
ほのぼのハピエンを♪♪目指してー♪
ピーヒャラ、ヒャラリ、ヒャラリコ、ヒャラリ
お囃子の笛が鳴っている。
愛しい人の手を握り、幸せを噛み締めながら雑踏を歩く。
なのに‥隣を見れば
「ねぇねぇ、類は、リンゴ飴とイチゴ飴どっちがいい?お好み焼きと焼きそばは?あぁもうワクワクしちゃうね」
ドキドキと幸せを噛み締めるのは、俺だけ?
ククッ、あんたらしいって言ったら、あんたらしいんだけどね。
笙の音色が聞こえた途端、柔らかく微笑んで
「類、神様‥見に行こうか?」
「あの日のように?」
「うん。あの日のように」
つくしの黒髪、がサラサラと揺れている。
手を握り直し、神社の本殿に向かう。
丁度、御神輿への遷霊が行われている所だ。
ご神体が、絹垣に囲まれて御神輿に御動座している。
心が凛となるような厳かな雰囲気に包まれる。
つくしの手にキュッと力が入る。
横顔を見れば、大きな瞳で瞬きもせずに真っ直ぐに、見つめている。
「いつみても‥凛とするね。類、来年もまた見に来ようね」
「うん。来年も再来年もそのまた未来もだろう?」
「うん」
コクンッとつくしが頷く。
あの日‥忘れた筈の思いが開け放たれ、来年だけじゃなくて、そのまた未来も一緒にいたいと願っていたんだ‥
遠いあの日に、想いを馳せる。
〜〜〜〜〜〜
「類、凄いね。あんな風に分霊するんだね。厳かで、凛としてて‥あたしドキドキしちゃった」
「あぁ、俺もドキドキしたよ」
俺がドキドキしたのは、牧野のあまりにも真剣な表情だけどね。
「うんうん。ドキドキだよね。来年も見たいな」
「来年?」
「うん。来年も、一緒にみよう」
「あぁ、来年も一緒に見に来よう」
牧野の口から、未来への言葉を聞いた俺の心は、ドックンドックンと鳴りだした。
「ねぇ、牧野」
「うんっ?類も食べたい?」
綿飴を食べながら、牧野が振り向く。
「あはっ 綿飴じゃなくって‥さっき言ってた来年も一緒に‥」
「あぁ、そっか‥類は忙しいから来年の事なんて、わかんないか」
「いやっ‥そうじゃなくって」
「うんっ?」
「‥嫌‥来年も必ず一緒に来よう」
「そんなに気に入ったの?えへへっ、いいよ」
ニッコリと微笑む笑顔と、お囃子の音が重なる。
離したくない。
離れたくない。
忘れた筈の恋心が、溢れ出して来る。
「あっ、見て見て金魚すくい」
「やる?」
「でもー夏のバイトで地方だから、飼えないしなぁ」
「とっても居ないうちから、そんな心配?」
「必ず取れるよ。だってあたし上手いんだから」
腕まくりをしながら、不敵に笑う。
「じゃぁ、競争しようっか?」
結果は、俺の圧勝で真面目に悔しがる牧野が可笑しくって可愛っくてたまらない。
「沢山取ったのに、貰えるのは2匹なんだね」
「うんっ、沢山貰っても困っちゃうけどね」
「たしかにね」
色々なものを、次から次へと嬉しそうに買って行く。
「ねっ、そんなに買って誰が食べるの?」
「勿論、類とあたし」
無邪気に笑う牧野に驚く俺。不思議な味がいっぱいだけど、わりかしまずくない。
屋台の食べ物を、歩きながら食べるなんて初めてだ。そう言えば、
「ひょぇー 流石類だね」
なんて、変な所で感心された後、
「ねぇねぇ、次は射的勝負にしない?」
キラキラっと瞳が輝いて‥
次は負けないよと鼻息荒く戦いを挑んで来る。
「俺も負けないよ」
「えぇーじゃぁさぁ、なんか賭ける?」
「あぁ いいよー」
「むふふっ、あたし凄い上手いんだよ」
得意気にいいながら、何にしようかな?なんて悩んみながら
「類も、しっかり望みのものを考えてね」
「俺は、もう決めてるよ」
「おっ、本気モードですなぁ」
なんて戯けながら。
はい。とメモ帳とペンを渡されて、望みのものを書いておけと言って来る。
30分後‥悔しそうに
「うーーん。類って、なにやらせても凄いんだよね」
良くわからない木彫りのクマを抱きしめながら、眉間に皺寄せている。
「っと、類の欲しいものって何?」
ガサコソと、メモを引っ張り出して‥中を見て
「へっ?えっ?えっ?ちょっ‥これは」
「ダメダメ、約束だからねっ。それに来年も見に来るのに、丁度いいしさ」
花沢にへの入社 と書いたメモをヒラヒラさせながら
「約束は絶対って、さっき言ってたでしょ?」
〜〜〜〜〜
夏のバイトは取り止めて、翌週からインターンで働きはじめたつくし
やっと2人、手を繋いで夏祭りに来れる様になったのが、翌々年で‥
花沢の姓になってくれたのが、5回目の夏祭り。
あの日から、いったい何回一緒に来たんだろうね?
小さかった子供等もすっかり手を離れ、
「お祭りは、友達と行くから、2人で行って来てね」
だってさ。
それなのに、何年経っても‥
いまでもあんたは、俺の心をドキドキさせる存在だ。
解き放した恋は、いまでも続いてる。
より深く続いてる。
来世でも幾度となく、あんたを愛するだろう。
生々世々‥俺はあんたをあんただけを愛し続ける。
ピーヒャラ、ヒャラリ、ヒャラリコ、ヒャラリ
祭り囃子の笛が聞こえてる。
*生々世々=現世も来世も永遠に


♥ありがとうございます。とっても嬉しいです♥
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