明日咲く花

花より男子の2次小説になります。

三角波 2 総つく

朝起きて、浜辺を散歩しながら朝陽を浴びる。沢山の沢山の朝陽を。
足を伸ばして即売所に寄り、馴染みになった農家の人達と話しながら、色とりどりの野菜を吟味する。

「つくしちゃん、今日は、水茄子、白ゴーヤ、赤オクラがお勧めよ」
言葉に釣られて、メニューを考える。頭の中に、色とりどりのメニューを浮かべながら
「じゃぁ、それと、バナナピーマンにしようかな」
「トマトはいいの?」
「あっ、トマトもお願いします」

鼻唄を歌い袋をぶら下げて道を歩く。今日のお供の鼻唄はドラえもん。あはっ、なんでも出て来るポッケ欲しいなぁーなんて考えてる三十路女は一体全体いかがなもんだろう?一人でツッコミを入れながら、道をテクテク道を歩く。

シャワーを浴びて、薄らと化粧を施して、ガーゼ素材のシャツを羽織り、朝ご飯を食べる。
ラジオからは、軽快な音楽が流れ出している。時計が9時半をさす頃
「さて、参りますか」
自分に一声かけて、朝買った野菜を携え部屋を出る。

ピュンピュンと風を切りながら、自転車を飛ばす。

流石、夏‥‥海にいく人で渋滞が続いている。横目で見ながら反対方向に進む。10分程走って店に着く。

お香の専門店 〝すゞやか〟ここがあたしの職場だ。

「おはようございます」
女将に挨拶を交わして、絽の着物に着替える。

すゞやかは、本通りから少し奥まった所にある。
たったそれだけで、五月蝿い喧噪から離れ、まるで異空間の中にある佇まいだ。


此処に勤め始め来月で一年が経つ。
と言う事は、西門さんと不適切な関係になって一年が経つ。あと一年の辛抱だと思いながら、水を打つ。

ピューヒョロヒョロと頭上に、鳶の鳴き声が響き渡る。


此処、すゞやかの女将は、美しく凛とした女性なのだけど、飄々としている。飄々という言葉がとても似合う女性だ。

西門さんから、どういう紹介があったか知らないけれど…あたしの心に、ズカズカと入り込んで来る事は、決してしない。なのに、自然と心に寄り添ってくれるのだ。

すゞやかの社員は、あたしの他にあと5人。
それにお店に立つパートさんが10人程いてローテンションを組んで働いている。

お店の営業時間は、10時半~6時まで。客商売なのに?そう思うけど‥‥
主たるお商売は、お得意様相手なので、それで構わないのだそうだ。
だって、観光地なのに‥まさかの日曜日お休みなのだから。
女将曰く、「日曜は茶会が多いからね」だそうだ。

お得意様は、奥の座敷に通される。奥の部屋には、五感をふるわす香が立ちこめている。
出しゃばらず、それでいて存在感を伝える香の薫りだ。

あたしの仕事は、女将についてお客様の対応をする事だ。
なので、日曜は女将に付き添い茶会に出る事も多い。
此処に来てから、中途になっていたお茶のお稽古も復活した。
復活したと言っても、女将が稽古をつけてくれるのだ。

「つくしちゃん、今日のお夕飯はなに?」
「お野菜の新鮮なのと、朝市で鯵を買って来たので、南蛮漬けにでもしよかなぁっと思ってます」
「あら、楽しみ」

会食が無い日は、あたしがお夕飯を作って、2人で他愛も無い話をしながら食事をとる。
時折、早くお帰りになるご主人も交えて3人で食事をとる。

淡々と時が過ぎていく。穏やかで規則的な生活が。

だけど‥
週に一度、西門さんがやって来る‥あたしを貪りに。




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♥ありがとうございます。とっても嬉しいです♥
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4 Comments

asuhana  

yukikoさま

おぉーーーー
あんね あんね といいそうになっちゃうけど 
お口にチャックしときます。

むふふっ♪

2016/08/17 (Wed) 01:18 | EDIT | REPLY |   

asuhana  

haruwoさま

あははっw 総ちゃんが週3回‥貪りに キャァーっ
た、た、体力もつかなぁー?ww


掌の上? ははっ ちゃちいオチで申し訳ないと先に謝っておきますぅ

2016/08/17 (Wed) 01:17 | EDIT | REPLY |   

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2016/08/16 (Tue) 14:35 | EDIT | REPLY |   

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2016/08/16 (Tue) 12:44 | EDIT | REPLY |   

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