天使ちゃん 哀しき恋イチゴ 類つく
そんな事を思いながら、ベッドの中で惰眠を貪る。
そんな俺の脳みそを、一気に目覚めさせたのは、俺の可愛い天使ちゃんの一言だった。
いや、最初のうちは夢心地のまま、あーちゃんの声を聞いていた。
「ッパ‥あたち、こいをちまちた」
「こい? こいなんてお菓子あったけ?」
「ちがいましゅ こいでしゅ こい」
「こいデニッシュ?あぁ恋イチゴのデニッシュかぁ?」
「ちがいましゅ、 こいイチゴしゃんはしゅきですが‥そうじゃありましぇん」
「っん?メロンズが可愛いの?」
「ふぅっーーー こいでしゅ ッパとマモンのこいでしゅ」
「えっ?恋って恋?」
一気に覚醒する。俺は飛び起きた。
天使ちゃんが、ニッコリ笑って
「ッパ、おはよう」
か、か、可愛い‥メロメロ笑顔で言って来る。
ややっ、や‥そうじゃない。そうじゃない。
「うん。おはよう」
小首を傾げながら‥
「あんね、あんね‥ッパにも フレーフレーしてほちいの」
な、な、何を応援?
「えっ?」
「あたちの こいでしゅ」
ドーーーンと何かで殴られた気分だ。
天使ちゃんは、お尻ふりふりご機嫌に前を歩く。
メロンズが、俺の悲哀と同じく泣いているのが聞こえる。
ふぎゃっ ふぎゃっとメロンズが泣いている。
つくしも、母さんも忙しそうで、あーちゃんの恋話を聞く雰囲気ではなかった。
悶々悶々‥
「類、どうした?」
「類様、どうされましたか?」
父さんも田代も‥五月蝿いったらありゃしない。
ジロッと睨めば‥
「つくしちゃんと喧嘩でもしたのかい?」
「つくし様と、どうかされましたか?」
2人揃って、バカじゃない?って感じで同じ台詞を口にする。
既存のイメージに囚われ過ぎじゃ花沢の将来はないね。と吐き捨てれば
「いやっ、類がいるから」
「類様がおられれば」
2人声を揃える。
「父さん、田代、あんた達って二人羽織り?」
「‥‥‥」
「2人とも、給料泥棒じゃないんだから、しっかり仕事してよ」
悶々悶々‥
娘親っていう生き物は‥こんなに孤独なもんなんだろうか?
悶々悶々
いや‥あーちゃんは、まだ3つだ。恋なんて恋なんて早過ぎる。
それにだ、初恋は実らないものと相場が決まってる。うん。そうだ。そうだ。
いや?それじゃぁ、つくしの初恋も実らないってことで‥
それは困る。非常に困る。紆余曲折あっても、初恋は実るじゃないとだしな‥そうだ。コレばっかりは譲れない。
だけど、だけど‥悶々悶々
あーちゃんの寝顔を見つめながら
「ねぇ、つくし‥あーちゃんが恋ってどういう事?」
「あぁ‥あははっ‥」
「笑ってないで‥ちゃんと教えて」
「ははっ、うーーん。初恋ってやつ?なのかな?ホラッ淡い初恋ってあるじゃない、3つくらいってそんなもんなのよねぇー まぁ、実らないって相場が決まってるしね」
えっ“‥
「実る初恋もあるんじゃないの?」
「いやー 実らないでしょぉ。3つのときの恋なんて、不確かなもんだしさぁ」
「3つの時の恋‥‥それってなんだか経験者みたいな台詞だね」
「あはっ、あたしの小さな初恋も3つの時だもん」
ガーーーーーン
本日2度目の大打撃‥メガトン級の大打撃
そんな俺の心になんて、頓着しない‥本家本元天使ちゃんは‥シレェーッと止めを刺して来る。
「そうそう、あーちゃんの小さな恋は、目下の所順調で、明日は恋イチゴを使って、コゴ君と2人でイチゴパフェを作るんですって♪」
暑い暑い夏の夜なのに‥俺の心には、木枯らしが吹いている。
次の日‥コゴとやらを見るために、具合がわるくなったふりをして早退けしたのは‥内緒だ。
コゴ‥‥まだ4つなのに‥
俺と同じ策士の匂いがプンプンだった。
ははっ‥は
男親とは、哀しい生き物だ。


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