ずっとずっと 47
いつも微笑みを絶やさない、しぃちゃんが泣いている。
幼子のように泣きじゃくっている。
「司が司が‥…」
壊れた玩具のように、何度も何度もあいつの名前を繰り返す。
その姿があまりにも可哀想で切なくて、しぃちゃんを僕の胸に抱く。
「しぃちゃん。僕がついてるよ。大丈夫だよ」
しぃちゃんを強く抱きしめ、僕は言う。
涙はとどまる事をしらなく、後からあとから溢れ出している。
漸く落ち着いたのか、しぃちゃんは僕の胸の中で眠りにつく。
しぃちゃんの寝顔を眺めながら‥…
僕は許さない。彼女を苦しませるあの男を‥…
幸せの筈の20才の誕生日を涙で終わらせたあいつを僕は許さない。
そして僕は決心する。しぃちゃんをあいつには、あいつだけには渡さないと。
固く固く心に誓う。
***
つくしは時折起きては、薫を探す。生まれたばかりの雛鳥が親鳥を探すかの様に‥…
「薫 薫 薫 傍にいて‥」と。
錯乱するつくしに、安定剤を投与するために筒井お抱えの医師を呼ぶ為にお爺様と連絡をとる。
「お爺様、坂口医院長を呼んで頂きたいのですが‥…」
「あぁ 構わん。柏木に連絡をさせよう。他には必要なものはないか?」
「何もお聞きになられないけれど、お爺様は何か知っていらっしゃるのですか?」
「……夕方、一斉にニュースが流れると思うが‥…道明寺の坊が正式にのボズウェルの娘と婚約したらしい‥」
「‥そうだったのですか‥」
「あぁ‥…しぃちゃんは大丈夫か?しっかりついといてやりなさい。」
***
つくし‥… 俺がNYへ来て、もうすぐ3年。お前を抱きお前を感じる度にこの上ない幸せを感じて来た。どんな小せぇ事だってお前との事は忘れてねぇ。俺は、お前との未来のために、ただそれだけのために生きてきた。
小康状態を保っていた親父の調子が悪くなってきたのと同時に、道明寺の株価が大幅に下がってきた。どうにかしようと動く度に、深みにはまるように経営状態が悪くなる。気づいた時には二進も三進もいかねぇー状態になっていた。俺は焦った。焦って更に深みに嵌っていった。
「今回の縁談、あなたには受けて頂きます。」
何の説明も説得もなく、ババァが俺に告げる。ババァの姿にはいつもの権高さ微塵もない。
「司、ごめんなさい‥… 道明寺を救って頂戴」
いつものように偉そうにものを言って来てたら俺はすぐさまに断れただろう‥…
3年NYで仕事をしてきた。3年ババァの下で仕事をしてきた。
鉄の女が謝っている‥…
つくし‥… ゴメンな。許してくれ‥…いや、許さないでくれ
この時の俺は、断れなかったんだ。
***
各紙一斉に号外が舞う
道明寺財閥御曹司 道明寺司氏 ボズウェル財閥ご令嬢 グレンダ・ピアント・ボズウェル嬢 婚約 の号外が‥…
つくしの元に皆が心配して連絡を寄越していたのだが、投げ捨てられていたスマホは繋がらない‥…
安定剤を投与され、深い深い眠りにつくつくし。
新たな決意を胸に秘め、薫はつくしを抱きしめて一緒に眠る。
「しぃちゃん うぅん‥つくし僕はもう君を離さない‥…」
僕は、麝香の香りを秘めたフレグランスを耳たぶにつけた‥…
つくしアイシテル と、囁きながら
懐かしい香りがする‥…鼻腔をくすぐる匂い
どこか艶かしく、この香りは司のフレグランスにとてもよく似ている‥
あたしは、いま誰に抱かれているの?
司? 薫? それとも見知らぬ誰か?
「つくし‥…」 あたしを優しく呼ぶ声。
あたしを名前で呼呼んでいる‥…司なの? ううん声が違う‥…じゃぁ誰?
‥…やっぱり司? 司があたしを迎えにきたの?
あたしは、男にしがみつく。
男を離さないように、どこかに消えないようにしがみつく。
投与された安定剤によって、意識は夢と現の間を彷徨っている‥…
衣擦れの音がする。ボタンを外し、一枚また一枚と服を脱がされる音がする。
麝香の香りの中で‥…
あたしは、抗えない‥… いや抗わない‥…
あたしは、口づけをされる。深い深い口づけをされる。
微かに香る麝香の匂いが、あたしの奥深くに火をつける‥
男の手が指が舌があたしの身体を愛撫する。
優しく優しく愛撫する。
まるで壊れ物を扱うよう優しく優しく愛撫する。
男が囁く
「つくし‥…愛してる」
パチリッ
駒は進み、もう後には戻れない……
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幼子のように泣きじゃくっている。
「司が司が‥…」
壊れた玩具のように、何度も何度もあいつの名前を繰り返す。
その姿があまりにも可哀想で切なくて、しぃちゃんを僕の胸に抱く。
「しぃちゃん。僕がついてるよ。大丈夫だよ」
しぃちゃんを強く抱きしめ、僕は言う。
涙はとどまる事をしらなく、後からあとから溢れ出している。
漸く落ち着いたのか、しぃちゃんは僕の胸の中で眠りにつく。
しぃちゃんの寝顔を眺めながら‥…
僕は許さない。彼女を苦しませるあの男を‥…
幸せの筈の20才の誕生日を涙で終わらせたあいつを僕は許さない。
そして僕は決心する。しぃちゃんをあいつには、あいつだけには渡さないと。
固く固く心に誓う。
***
つくしは時折起きては、薫を探す。生まれたばかりの雛鳥が親鳥を探すかの様に‥…
「薫 薫 薫 傍にいて‥」と。
錯乱するつくしに、安定剤を投与するために筒井お抱えの医師を呼ぶ為にお爺様と連絡をとる。
「お爺様、坂口医院長を呼んで頂きたいのですが‥…」
「あぁ 構わん。柏木に連絡をさせよう。他には必要なものはないか?」
「何もお聞きになられないけれど、お爺様は何か知っていらっしゃるのですか?」
「……夕方、一斉にニュースが流れると思うが‥…道明寺の坊が正式にのボズウェルの娘と婚約したらしい‥」
「‥そうだったのですか‥」
「あぁ‥…しぃちゃんは大丈夫か?しっかりついといてやりなさい。」
***
つくし‥… 俺がNYへ来て、もうすぐ3年。お前を抱きお前を感じる度にこの上ない幸せを感じて来た。どんな小せぇ事だってお前との事は忘れてねぇ。俺は、お前との未来のために、ただそれだけのために生きてきた。
小康状態を保っていた親父の調子が悪くなってきたのと同時に、道明寺の株価が大幅に下がってきた。どうにかしようと動く度に、深みにはまるように経営状態が悪くなる。気づいた時には二進も三進もいかねぇー状態になっていた。俺は焦った。焦って更に深みに嵌っていった。
「今回の縁談、あなたには受けて頂きます。」
何の説明も説得もなく、ババァが俺に告げる。ババァの姿にはいつもの権高さ微塵もない。
「司、ごめんなさい‥… 道明寺を救って頂戴」
いつものように偉そうにものを言って来てたら俺はすぐさまに断れただろう‥…
3年NYで仕事をしてきた。3年ババァの下で仕事をしてきた。
鉄の女が謝っている‥…
つくし‥… ゴメンな。許してくれ‥…いや、許さないでくれ
この時の俺は、断れなかったんだ。
***
各紙一斉に号外が舞う
道明寺財閥御曹司 道明寺司氏 ボズウェル財閥ご令嬢 グレンダ・ピアント・ボズウェル嬢 婚約 の号外が‥…
つくしの元に皆が心配して連絡を寄越していたのだが、投げ捨てられていたスマホは繋がらない‥…
安定剤を投与され、深い深い眠りにつくつくし。
新たな決意を胸に秘め、薫はつくしを抱きしめて一緒に眠る。
「しぃちゃん うぅん‥つくし僕はもう君を離さない‥…」
僕は、麝香の香りを秘めたフレグランスを耳たぶにつけた‥…
つくしアイシテル と、囁きながら
懐かしい香りがする‥…鼻腔をくすぐる匂い
どこか艶かしく、この香りは司のフレグランスにとてもよく似ている‥
あたしは、いま誰に抱かれているの?
司? 薫? それとも見知らぬ誰か?
「つくし‥…」 あたしを優しく呼ぶ声。
あたしを名前で呼呼んでいる‥…司なの? ううん声が違う‥…じゃぁ誰?
‥…やっぱり司? 司があたしを迎えにきたの?
あたしは、男にしがみつく。
男を離さないように、どこかに消えないようにしがみつく。
投与された安定剤によって、意識は夢と現の間を彷徨っている‥…
衣擦れの音がする。ボタンを外し、一枚また一枚と服を脱がされる音がする。
麝香の香りの中で‥…
あたしは、抗えない‥… いや抗わない‥…
あたしは、口づけをされる。深い深い口づけをされる。
微かに香る麝香の匂いが、あたしの奥深くに火をつける‥
男の手が指が舌があたしの身体を愛撫する。
優しく優しく愛撫する。
まるで壊れ物を扱うよう優しく優しく愛撫する。
男が囁く
「つくし‥…愛してる」
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