明日咲く花

花より男子の2次小説になります。

un secret ~秘密~ 第4話 written by miumiu

そのまま西門さんに肩を抱かれたまま、西門さんが定宿にしてるホテルへ連れてこられた。
エレベーターに乗るときも西門さんは私の肩を抱き寄せ、密着したままだった。

「・・・あ・・・あのさ。その・・・」
クリーニングのためだけに、ホテルに寄るなんてことがないあたしは
戸惑って、何を言いたいのかわからなくなっていた。

あたしの頭上からそんな様子を見ていた西門さんは
ニヤっとあたしに笑顔を見せる。

いつものスイートの部屋に入ってすぐに、西門さんはどこかへ電話していた。

電話が終わるとあたしの方を向いて、
「クリーニングには来るように頼んだから、とりあえずはお前シャワー浴びて来いよ」
そう声をかけてくる。
「・・・あっ、あたしは大丈夫だよ。
どうせ服乾いたら直ぐ帰るし、アパートに帰ってからシャワー使えばいいからさ・・・」
そういっても西門さんは
「クリーニングすんのに10分や20分じゃねーんだぜ。その間、お前下着で待ってるつもりかよ 。
いくらお前の体に欲情しねー俺だって、そんなかっこされてたらどうなるかねぇ・・・。
シャワーには着替えが用意してあるから、乾くまでにシャワー浴びて着替えて待ってればいいんじゃねーのって言ってんだよ。」

そこまで言ってくれたので、あたしはシャワーを使わせてもらうことにした。

シャワールームに入って泥だらけの服を脱衣室に置く。

西門さんの上等な服が私の泥だらけのところを隠してくれたせいで汚してしまったよね
湯船にお湯を張っている間にシャワーを浴びながら、そんなことを考えていた。

腰から下が泥だらけになっただけでなく、体のその部分が冷えてしまっていたので、
湯船にしっかり浸かり体を温める。

体がポカポカと温かくなると、あたしは西門さんに告白されたことを思い出してしまっていた。


『オレはオマエのことが好きだ。けどそれが愛なのかって言えばオレには良くわからねぇ。
ただ、司にこうしてほったらかしにされて沈んでるお前を見ると胸が苦しくなるし、
その気持ちから解放してやりてぇとは、思う』


そんな風に言ってくれた西門さんの事は嫌いではない。

むしろ、連絡すればすぐに会うことができて、気分が沈んでると言えば食事によく連れだしてくれたり、
色々な話を聞いてくれる。まぁからかってきたりもするんだけどね。
今一番近い距離にいるのは、西門さんかもしれない。

いつも西門さんなりのやさしさで私をいつも元気づけてくれる・・・。

傷ついてる私を慰めるために付き合うなんて、道明寺とうまくいかないからって西門さんとなんて・・・

そんなの・・・。

しかも道明寺を忘れなくていいなんて・・・そんなこと言われたら、あたしそこに縋っちゃうよ。
西門さんが大変な時にも西門さんのやさしさに縋っちゃう。

そんなの・・・・ 。


湯船に浸かりながら考えないようにしてきたことを考えていたからだろう。
そのままウトウトとしてしまったようだ。

あたしの意識がしっかりともどったのは、ベッドルームで目が覚めた時だった。


***


「・・・んん?」
目が覚めた時には、私はベッドに寝かされていた。

「・・・えっ??」
驚いて起き上がると、私はガウンを着て、このベッドに眠っていたのだとわかる。


えっと・・・さっきまでお風呂に入ってたんだよね・・・
などと思い出していると、

部屋のドアが開いて西門さんが入って来た。

「おっ、起きたか。」
そう言って手にしている水を私に渡してくれる


「お前。風呂行っていつまでも戻って来ねーし、なんかあったんかと思って様子見に行ったら
お前が、風呂場でのぼせてて驚いたよ」
そう言ってニヤッと笑う 。

のぼせた私を運んでくれたのだと知りホッとするが・・・ 。

もしかしてあたしのハダカ・・・西門さんに見られちゃった?
いつもきれいなスタイルのいいお姉さんのばかり見てるのだろうから、
あたしのなんて、貧相なのはわかってるけど、西門さんがガウンを着せてくれるときに見られてしまったのかもしれないと思うと、恥ずかしくて赤くなって俯いていた。



*****
おっせーな。アイツ。


牧野が風呂に行って1時間近く出てこない。
さすがに遅すぎて心配になった俺は

・・・まさか風呂場で寝ちまってんじゃねーだろうな。


アイツが風呂から出て来たら、あったかいものでも飲ませてやろうと思って、
お湯を沸かしていた。

がいつまでたっても風呂からでてこない事に、まさか何かあったんじゃと心配になった 。
シャワーの音がするのを聞き、声をかけるが返事がない。心配になった総二郎は、
風呂場をあけると湯気でよく見えないが、湯船でぐったりとしていたのを見て、
そのままツカツカと入っていき、ガバッとそのまま湯船から抱き上げる。
脱衣所にあったバスタオルで牧野をくるむとそのままベッドルームへと連れて行った。

さっと体をふき取ってやり、ガウンを着せてやるときに、風呂で顔がほてっているため頬がピンクに染まっているのが目にはいる。

穏やかな表情で眠る顔を見てホッとする。
風呂に使っていた時の熱気で頬が薄く染まるのを総二郎は見つめながら

お前の沈んだ顔なんて見たくねーんだよ。
お前には笑顔が似合うだろ?俺も、類も、あきらも、桜子だって
みんなお前に笑っていてほしいから、司が全く連絡をよこさなくてもさみしくないように
色々なところへ連れ出すんだ。



マジで俺も最初は牧野になんて、欲情しないと思っていた。
でも今ここで眠る牧野の薄く染まっている頬を見て
このまま、抱きしめちまおうかという思いに駆られる。

司。お前なんで全く連絡よこさねーんだよ。
好きな女にあんな顔させんなよ。

それで付きあってるなんて言えんのかよ。


牧野、お前は俺達に心配かけたくないと『大丈夫』しか言わねぇから、
ホントに辛い時でも、決して辛いなんて言わねーから、少しでもお前を辛いことからすくってやりてーんだよ。

総二郎は、眠りこけるつくしを見つめて
「オマエの事が好きだよ」
とだけつぶやくと、薄くピンクに染まった頬にキスを落としたのだった。


本来ならば2時間も待っていれば、クリーニングが届く予定だったのだが
予定外の事が起こったために、俺達はその部屋に一泊することになってしまった。



朝、クリーニングを頼んでいた服が戻ってきて、
牧野が着替えを済ませている間に、ルームサービスを取る。

牧野は着替えが終わると、少し顔を赤くしてやって来た。
「・・・なんだよ。つくしちゃん。赤くなって
俺に惚れちまったとか言うのか?」

そんな風に牧野をからかうと、牧野が
「ちがっ・・・。えっと・・・その
昨日は、ありがとね。」
それだけ言うと、少し頬を染めて俺の横を通り過ぎ、食事を運び始めている席に座る

おれに裸を見られたのが恥ずかしいのか?
あんな真っ赤な顔をしてお礼を言ってくるとは・・・

俺は自然に笑顔になっていた。
そんな時に電話が鳴る。


電話の相手は家元夫人だった。

「はい。総二郎です」
「総二郎さん。今日は大事なお客様が来ると言っていたでしょう。
また女性とどこかでお過ごしなのかしら?」
怒りを抑えたような声音で俺にそんなことを聞いてくる。

なんだってこの人は俺が夜な夜ないろんな女と出歩いていることを知ってるんだよ。
それを良くは思っていないのも事実だった

そんな電話を家元夫人としているときに、牧野が俺に声をかけてきた。
「西門さ~ん。早く来ないと冷めちゃうよ~」
そういって俺のいるところに顔を出す。

俺が誰かと電話をしているのが分かると
手だけで『ゴメンね』言ってくる。

俺が電話口の電話に戻ると、家元夫人には
牧野が俺に声をかけてきたのがしっかりと聞こえていたようだった。
「今の・・・もしかしてつくしちゃんよね?」
そう聞いてきたのだった。

家元夫人が牧野に会いたいというので、食事を終えて邸に戻るときに牧野を一緒に邸に連れていくことになった。

俺は車を呼ぶようにフロントにたのんだ。

車が来た連絡を受けた俺は、このホテルに来た時と同じように、
牧野の肩を抱きよせて、体を密着させて迎えの車に乗り込むのだった。



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