明日咲く花

花より男子の2次小説になります。

un secret ~秘密~ 最終話 りおりおver.  前編

美作さんが作ってくれたXYZのカクテル

その白い色が、今の私を現している

まだ、、誰の色にも染まっていない色だから
そして、道明寺には赤のキールロワイヤル、類には青のブルーラグーン、西門さんには緑のグラスホッパー、美作さん自身は黄のマタドールを作り配った
皆に、カクテルが行き渡った所で宣言する

つ 「とにかく、皆の気持ちはよく分かったから。 

   そして、、、

   自分が今までその気持ちに、 真剣に向き合わなかった事にも気が付いた。 

   だから、真剣に考えてみる

   だから、もう少し待ってて」
類 「ん、、分かった」

総 「まっ、今すぐ結論出せ、、って言っても無理だしな」

あ 「しっかり考えろよ」

司 「ふっ、、ほんと今更だよな、、、」

と、自嘲気味に笑みを漏らし、、、
司 「なぁ、、牧野?」

つ 「ん?」

つくしは、手元のカクテルに口を付けながら、返事をすると、、
司 「愛してる、、、」

何の前触れもなく、しっかりと私を見つめ、突然の告白、、

それは、あの頃と変わらず、熱い瞳で、、
それに続く様に、、

総 「牧野、、愛してるぜ」

それは、見入ってしまう程の色艶ある瞳で
あ 「牧野、、、愛してる」

それは、穏やかで包み込むような瞳で
類 「牧野、、、愛してる」

それは、安心できる優しい瞳で
F4からの宣戦布告を、直接受け取るこの瞬間、、、私の胸に熱い物が込み上げてくる

それは、これが最初で最後の告白だと分かるから

そしてこれから先は、私が選んだ人のみが、ずっと囁いてくれる言葉になるのだから
つ 「ありがとう。 

   こんな贅沢なひととき、、もう、いつ死んでも良いかも!」

その言葉に、皆の笑いを誘い、残りのカクテルを飲み終えた
あ 「あっ、、牧野、、これストラップ。 

妹達とお揃いなんだが、何処かに付けとけよ」

それは、四葉のクローバーのストラップだ
つ 「わっ、、可愛い。 ありがとう、 じゃ早速、財布に付けとくね」

つくしは、鞄から財布を取り出し、チャックの部分に取り付ける

そして、道明寺家の車で、アパートまで送って貰った


***
つくしが居なくなった部屋では、、

総 「あきら、、あのストラップって、、、例の?」

あ 「ああ、、高性能盗聴器付きGPS、、俺等の合同開発商品だよ。

   あいつ、一人で真剣に考えるっつって、煮詰まった挙句、姿を消す事も

   考えられるだろ?」
総 「だな、、」

類 「先手必勝だね」
司 「まあ、、あいつ、時々突拍子もねぇ事するし。

   それより、、悪りぃ、、ちょっと医師を呼んでくれねぇか? 

   ちょっと傷口が開いちまって」

そう言いながら、司の身体がソファーに沈んでいく
類 「はぁ?」

総 「おい、、、司」

あ 「お前、、かなりひどい怪我か?」

三人が、急いで司の傍に近づくと、シャツの上からでも分かるほど、血がにじんでいる
司 「いや、かすり傷程度だよ。 

   まあ15針程縫ったけどよ、、でも命に別状無ぇし、

   くっそ、、痛てぇ、、」

だんだんと青白くなっていく司に、、
類 「アルコールなんて飲むからだよ、、」

とあきれた口調で呟く
すると、、

司 「うっせ~、、好きな女に、心配かけたくねぇんだよ!」

と、強がって見せた


***
翌日、、
つくしが会社へ行くと、女性社員が色めき立っていた

社 「牧野さん、、この雑誌見た? 

   この女性って、誰だと思う? 凄く羨ましくない?」

つ 「さっ、、さぁ?」

まさか、自分ですとは言えない
つ 「それより、、仕事始めよ?」

これ以上、突っ込まれたくないつくしは、早めに仕事に取り掛かった
そして昼休憩になった

この会社は、社食と言う物が無い為、何時もなら弁当を持参している

だが、昨夜はよく眠れず、作る気にもなれなかった

何処かコンビニにでも行って、何か買ってこよう、、と、財布を手に取った時、内線が鳴った
つ 「はい、、牧野です」

受 「牧野さんに、お客様です」

つ 「私にですか?」
つくしは一般事務員だ

つくし宛てに、客が来る事はまず無い

一瞬、F4の姿が頭を過ぎる、、、が、、、
受 「お知り合いの女性の方だそうです」

その言葉にホッとする

丁度昼休憩だし、桜子が様子を聞きに来たのだろう、、、と思い至った
つ 「直ぐに行きます」

つくしは、財布を片手に、一階へ向かい、そのまま真っ直ぐ受付へ行った
つ 「牧野ですけど、、」

受 「あっ、、あちらにお待ちです」

と、受付前のソファーを指差す
そこには、大きなツバの帽子を被り、黒い服を着た女性が座っている

それは桜子では無いことは確かだ

体型がまるで違うし、何処か品が無い服装だ
つくしは、その女性に近づく

つ 「あの~? 牧野ですが?」
つくしの言葉に、女性はゆっくり顔を上げた

その女性の顔を見て、つくしは固まった

それは、忘れもしない、、あの地下牢で見た北川原だったのだから

しかも、あの時より目が血走り、何処か様子がおかしく見える
北 「あなたのせいよ、、あなたさえ居なければ、、あなたさえ、、」

女は、そう呟くと、ゆら~っと立ち上がる

そして、手にしていた大きな袋からナイフを取り出すと、つくしの腕に向かって切り付けた
つ「えっ?」

余りにも突然の事で、つくしは逃げる事も、避ける事も出来ない
「「「「 きゃ~~ 」」」」

それを見ていた受付嬢やその場にいた社員は、突然の事に大声で叫び、その場から逃げ出す
つくしは、痛みが走った左手を押さえる物の、血が手を伝い、ポタポタと流れ落ちている

そのつくしの顔を見て、女は、ニヤリと不気味な笑みを見せた

途端に、つくしの背筋にゾクリとした物が駆け上がり、恐怖に顔が凍りつく
北 「クックックッ、、そう、、その顔が見たかったのよ」

女は、ナイフをつくしに突きつけたまま、、

北 「ここ、、人が多いのね。 邪魔で仕方ないわ」

そう言いながら、袋からボトルを取り出し、中身を入り口付近にぶちまけた

そして、マッチを擦り、その液体に投げ入れた
ボッ

瞬く間に入り口は火の海となるが、女は、その火を見て、再びニヤリとする
北 「さっ、、上へ行きましょ? ここは少し熱いわ」

相変わらずつくしにナイフを突きつけたまま、不気味な微笑みでつくしを見る

つくしは、ゆっくり後退りながらエレベーターに近づくが、その間も女は、液体を放り投げては、火を点けている
エレベーターに乗り込んだ二人は、、、

つ 「何階へ行くんですか?」

北 「そうねぇ、、会議室がある場所って、5階だったかしら?」

それを聞き、つくしの会社内部の構造まで把握している事を知る
静かにエレベーターが上昇し始めると、、思い切って、つくしが問う
つ 「どうして、、こんな事、、そんなに私が憎いんですか?」

北 「えぇ、、殺したいくらい、、憎いわ」
エレベーターが5階に到着すると、女は、つくしの喉元にナイフを突きつけたまま、会議室へ向かった

そして入るとすぐに、つくしを押し倒し、ドアに鍵をかけた
この会議室、、

廊下側に窓が一つ、そして出入口はこのドアのみだ

反対側に窓はあるものの、5階と言う高さで、飛び降りる事も出来ない
女は、倒れ込んでいるつくしの髪を引っ張り、中央へズルズルと引きずる
つ 「痛っ、、」

北 「皆、、初めはそう言うの。 

   でもそのうち、、その痛みが快感に変わってくるのよ」
つ 「痛みが、、快感?」

北 「そう、、そしてその表情を見るのが好きなの。 

   ふふっ、だからもっと怯えてくれる?」
恐怖で口が上手く回らない

それでも、ここで怯えては、女の思う壺だ

つくしは、崩れ落ちそうな気持ちを奮い立たせ、気丈に振る舞う
つ 「ここに閉じ込めてどうするつもり? 警察だって、直ぐに来るはずよ?」

北 「あなた、、どうして類様に纏わり付くのかしら?

   同じように、ジュニアと呼ばれる方達が、あなたの周りに居るでしょう?

   どうしてその人達を、選ばないのかしら?」
つ 「纏わり付いてなんか、、ただの友達で、、」

その言葉に、女の形相が鬼の様に変わり、つくしの頬を叩く
バシッ
北 「友達? そんな曖昧な言葉で、類様を縛り付けないでよ!

   あなたがそんな態度だから、類様が私を見て下さらなかったのよ

   あなたさえいなければ、、私が類様と、、、」
つくしは、痛みが走った頬に、自然に手を添えながらも、女の言葉が胸に突き刺さる

『曖昧な言葉』

確かに、、そうだった

友達と言う言葉で、皆と仲良くずっと一緒に居たい、、と、思っていた

誰かと愛を囁いて、結果放ったらかしにされる寂しさを、二度と味わいたくなかった

恋に対して、すっかり臆病になっていた自分が居た

それにやっと気付き、これから真剣に考えようと思った矢先だった
北 「そんなあなたに、、、プレゼントよ」

女は、袋から箱を取り出し、そこについている手錠を、つくしの手首に掛ける
北 「私、、もう何も無くなってしまったわ。 

   家も、会社も、守ってくれる家族も、、

   しかも、私が指名手配だなんて、おかしいと思わない?

   何で私一人が悪者なの? あなただって友達という言葉で、

   ジュニア達を誑かす 悪女なんだから、、同類でしょ?」

そう呟きながら、つくしの前の箱を開ける

そこには、あの雑誌の写真が切り抜かれ、黒い物体に貼りつけられている

それは、つくしも初めて見る物だが、それと分かる品物だ
つ 「爆弾?」

呆然とした表情で呟くつくしに、女はクスッと微笑み、そのスイッチを入れた

途端に、カウントが始まった


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