小っこいの 焼き芋屋さん 司つく

焼き芋♪　焼き芋♪　お腹が　グ〜ッ♪♪
楽しそうに唄う大きな声が聞こえてくる。

「おーーーたん　おきてくだしゃーーい」
おっ、小っこいのがやってきたぞ‥‥
あいつ飛び乗ってくるからなぁ〜　油断してっと大変な思いすんだよなぁー
覚醒しきらない脳みそで考えてた。

瞬間、ボスッ　小っこいのが飛び込んでくる。
「おっ、痛って‥…」
満面に笑みを浮かべながら　「おーたん　おはようございましゅ」
「結　おはよう。」
「おっきしましたか？　はやくしてくだしゃい。ばぁばと、るいたんたちがきましゅよ」
「？？？？？」

朝っぱらから来るって何の用だ？　
つくしが翼を抱っこしながらやって来る。

「司、おはよう〜　今日は焼き芋屋さんよぉー」
俺の頭じゃ、この二人の会話にはついていけなかったようだ
「焼き芋ってあんだ？　で、焼き芋屋さん　ってあんだ？　なんかの店か？」
「うーーーん。焼き芋はサツマイモっていうのを焼いたモノ。で、相変わらずの結のごっこ遊び継続中〜」
なんとなく解るような？解んねぇーよな　説明で‥
「まぁ、百聞は一見にしかずだから〜さぁさぁ起きて〜先ずは朝ご飯！朝ご飯！」
４人揃って、飯を食う。
「あんね、おーたん　ゆいのおともだちもくゆんだよぉー」
聞けば、お試し幼稚園で友達になった兄妹が来るらしい。

「英徳でママ友なんて出来ないかと思ってたらね、ブラッサムちゃんママで有名になちゃって、色々声かけて貰えてね〜うふふっ　な、な、なんとあたしにもママ友なるものが出来たのよ〜」
「でね、でね〜　結のお友達のすずちゃん家族も今日来て焼き芋屋さんなの。」
「くるんでしゅ♪」
2人揃って満面の笑みで笑ってやがる。
「そうかぁー良かったな。」
「ところで、類達はなんで来んだ？」
「滋さんから一昨日電話があって、焼き芋の事話したら、いつの間にかそーなってたの。あははっ」
「あいつら何かっつーと集まってくんなぁー」
「うふふっ　嬉しい事じゃないのぉ」
「‥…まぁなぁ」
でもな、あいつ等の目的は、つくしと結と翼だかんな。

「で、ババァは何しにくんだ？」
「結が電話したみたいよー」



＊＊＊＊＊

一番乗りは、滋と桜子
「つくしぃ〜」玄関を開けた瞬間走り出して、桜子に首根っこ捕まえられてた滋。
「滋さん。先輩は翼君抱っこしてるんですからダメです。」
「エッーーーずるい」
「ずるくないですから‥…」
そんな桜子だが結を見つけた途端
「結ちゃーん♡桜子ちゃんですよぉー」
なんて言いながらメロメロになって結を抱っこしてる。

「るいたーん　いらっしゃーいましぇ」
桜子からスルリと抜け出し、類に飛び込んでいく結。
類も嬉しそうに結を抱っこする。
「ゆい、元気にしてた？ゆいの欲しがってた髪留めとリボンもってきたよ。」
「るいたん　だいしゅき♡」
「‥…類、結から離れろ！！」

みんなが一斉に笑ってやがる。

「結、俺等に挨拶は？」
「あきた、そーじろー　いらっしゃい」
「るいたん♪るいたん♪ゆいのかみのけにパッチンつけて」
「ちょ、ちょ、結、俺等にはそんだけかよ？」


「結、すずちゃん達が見えたわよぉー」
「あーーーい♡」
類もそっちのけで走り出す結。
あははっ、類めいい気味だ

‥…思ったのも束の間
小っこいのを真ん中に、すずちゃん（多分な）と、誰だこれ？の野郎が一人‥…
小っこいのが、ちょっぴり頬をピンク色にしながらやってくる。

「おーたん　すずたんと、きぃたん」
「こんにちは。くじょうすずねです。」
「今日はお招き有り難うございます。英徳学園初等部一年の九条桐人です。」

後ろから、少し遅れて
「妻と子供達が仲良くして頂いてるそうでありがとうございます。‥…九条快人と申します。」
「こちらこそ。妻と娘が仲良くして頂いてるようで、大変ありがとうございます」

つくしと結が仲良くなったのは、九条グループの御曹司一家だった。
今後、どこかで繋がれたらと思ってたので、心底驚いてしまった‥…


邸の中の空気が張りつめた次の瞬間‥…
「ゆいちゃーーん」
ババァがやってきた。
「ばぁばーーいらっちゃーい」
結を抱っこして、満面の笑みで微笑んでやがる‥…

九条は、ババァの満面の笑みに心底驚いた表情で
「お初にお目にかかります。九条グループ代表九条快人と申します。」
ババァも、これからどこかで繋がりたいと思っていた人間を目の前にして‥…
心底驚いた表情で
「挨拶が遅れまして‥…」　なんてやっている。

ホントに、つくしと結は道明寺財閥にとって宝もんなんだろうな。

つくしは、九条の女房の朱里さん、滋、桜子の４人で楽しそうに笑っている。
朱里さんは、かなり気さくな人らしく、つくしと同じ満面の笑みで笑う。

九条快人も少し話しただけで、懐の深さ人間の大きさを感じさせる立派な男なのが解る。
九条家の子供達は、鈴音ちゃんだっけかな、結と同じ元気一杯の可愛らしい女の子だ。

ただ一人だけ、モーレツに猛烈に気に食わねぇのが‥…　九条桐人‥…
コイツ、どことなく類に似た容姿を持ってやがる。まるで小さい王子様ってやつだ。
まるでじゃねぇな、九条家のれっきとした王子様ってやつか。
立ち居振る舞い、話し方、まだ小せぇのに、非の打ち所がない野郎だ。
だが、コイツと結　やけに仲が良いんだ。
クスクス笑いながら、おでこなんて近づけてやがる。

結命のババァが何か文句でも言うかと思って期待してるのに‥…
ババァは何も言わずに、ニコニコ笑って結と九条桐人を眺めてやがる。

＊＊＊

落ち葉を庭からかき集め、焼き芋の準備をする。　
小っこいのが先月芋掘りだが何だかで取って来たのを、甘くする為に天日に干していたんだと。
その芋を新聞紙と銀紙に包み、火にくべる。
小っこいペアがワクワクしながら、焼き芋の歌を唄っている。

やきいも♪　やきいも♪　おなかがぐー
グッーのたんびに、腹に手を当てながら、クスクス二人で笑ってる。

九条快人も俺も目を細めながら二人を眺めてる‥…　二人で目があい、笑ってしまった。
あぁ、こいつも女房と子供等によって幸せを沢山貰ってんだなー　って、しみじみと思った。


九条快人は、すげぇいい奴で‥…俺等４人の兄さんか？ってくらいいい奴で‥…　女房にべた惚れで、子供達にメロメロだった。
類もあきらも総二郎も珍しく、快人さん、快人さん　なんて呼んでいやがる。

焼き芋が焼き上がる。
小っこいペアが二人で小さいエプロンと帽子を被り、「やきいもいりましぇんかー」なんてやっている

初めて食う焼き芋は、あまくてホクホクしてて、幸せを食ってる気分になった。
快人さんも、類も、あきらも総二郎も同じ気持ちなのか、みんな頬が緩んでる。

つくしと快人さんの恋女房朱里さん、滋の３人は
「ホッペが落っこちそうだね〜」
なんて、言いながら大口開けて食べてる。
桜子とババァは、それを見ながら嬉しそうに微笑んでいる。

幸せな幸せな午後のひと時だ。

幸せなひと時をぶち壊したのは‥‥　俺の可愛い可愛い小っこいのの一言
「おーたーん　あたち　きぃたんのおよめしゃんになりゅ」


＊＊＊オマケのはなし＊＊＊

きょうはおうちでやきいもやしゃん。
すずたんといっちょにやきいもやしゃん。
あたちはすずたんとなかよししゃん

あたちは、きぃたんがだいしゅき
だってね、るいたんににててかっこよっくて、なんでもできてやさしいんだよ。
きぃたんもあたちがだいしゅきなんだって♡

ばぁばとさくらこたんがね、あたちときぃたんにね
「結ちゃんと桐人君は本当にお似合いね。小さなお姫様と王子さまみたいね♡」
って、いうの
だから、あたちきめたの
きぃたんのおよめしゃんになるって♡

あきたとそーじろーに、いったらね、「おーたんにも言わなきゃいけねぇー」って、いうんだ
だからね、おーたんにおしえてあげたの
「おーたん　あたち　きぃたんのおよめしゃんになりゅ」って♪♪



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