un secret ~秘密~ 最終話 asuhana ver.
人は死ぬ時に、走馬灯を見ると言う‥
一瞬で、人生の全てをみると言う。
死ぬ時‥この男の顔がみたい。
ううん。この男の顔だけでいい。
そう思えた瞬間‥
あたしは、目の前の男に、もう一度恋をした。
「うふふっ」
突然笑い出したあたしに
「どうした?」
怪訝な顔で、あんたが聞いてくる。
どうもしないよ‥そう、あたしは答える。
恥ずかしくて、言えないよね‥
ずっとずっと‥アンタが好きだなんて‥
笑いを噛み締めるあたしに、
「ったく、何考えてんだか教えろって‥」
「教えない‥」
教えろ、教えないで押し問答して、
2人でクスクス笑って
小鳥のようにキスをする。
「なぁ、俺の事だろう?」
「うふふっ、背負ってるねー」
「そんなんじゃねぇよ」
じゃぁなんで?って問えば、
真面目な表情で、俺の頭にはお前しかいねぇだからだ。
って答えてくる。
真摯な顔が、あたしの劣情を誘う。
「バカ‥」
口とは、裏腹に‥
あたしは、あんたの耳朶を齧る。
真っ赤になりながら
「反則だ‥」
そう呟いて、あんたは、あたしを抱きしめる。
強く強く抱きしめる。
胸に顔を埋めながら、小さく小さく呟く‥
「好き‥」
優しく笑って、あんたが、あたしを胸に抱く。
刹那‥
生きてる事の喜びを、幸せを感じる。
「どうした?今日は、やけに素直じゃんか」
あんたの耳許に、そっとそっと答えを囁く
あたしの答えに‥ ガバッと飛び起きて
「マジか?」
「‥うんマジ」
愛おしい男が、あたしのお腹に手を当てて‥
幸せそうに、目を瞑っている。
大きな手の甲に、手のひらを乗せて‥
「よろしくお願いします」
頭をペコリと下げる。
目の前の男が、破顔する。
嬉しそうに、嬉しそうに破顔する。
明日からきっと、
アレするな、コレするなと、今まで以上に五月蝿くなるだろう‥
その度に
「もう五月蝿い」
と喧嘩して‥
渋々、あんたが、あたしが、お互い歩みよって‥‥
仲直りの繰り返しなんだろうね。
だけど‥それも幸せな事なんだよね。
会えなかった、あの日々を思い出して、幸せを噛み締める。
幸せを噛み締‥
あっ、大変だった事を思い出し、なんだか頭にきて、腕にガブリと齧りつく
「痛っ 何すんだ。この凶暴女‥」
「あっ、そんな言い方したら、この子が聞いてるよ」
エヘンッ と得意気に、言い返す。
***
宣戦布告をガツンとしたあたしに‥
容赦なく4人の聖獣が、攻撃を仕掛けてくる。
連日連夜、マスコミに追いかけられて‥
連日のように、誌面を賑わす
〜魔性の女‥T.Mさん〜
〜男を惑わす悪女T.Mさん〜
ハァッーー
一体このひと月で、あたしは何度ため息を吐いたのだろう?
当然、仕事先にも迷惑がかかる‥
そりゃそうだ。マトモな業務など出来やしない状態だ。
それぞれの良さを、友人としてではなく、受け入れていこうと考えていた。
もう、逃げはしない。
もう、逃がしはしない。
そう思ったけど‥‥‥‥
このままじゃ、あたしの世界が壊される。
あたしが、あたしじゃいられなくなる。そう頭を抱えた時に、
「牧野さん、関西本社に移動しない?」
課長から、打診を頂いた。
体の良い肩叩き? 一瞬ギョッとしたら
「噂の悪女‥会長が手元に置きたいんだってよ」
課長が可笑しそうに笑いながら、まぁそれは嘘だけど‥
「牧野さんの企画に食いついたみたいだよ」
そんなやり取りがあって‥
あははっ あたしは逃げた東京を。
うん。逃げた‥関西に。
同じ国内、来ようと思えば、ヘリでひとっ飛びだ。
だけど、流石に、同じ都内と違って連日連夜、F4の誰かしらが来るという事は、なくなった。
ホッとした。少し息をつけるようになった。
あたしを救ってくれた会社に感謝した。
半年後、人事移動で宝珠社長の秘書になるまでは‥
「薫社長、すみませんが‥何か用事でもおありですか?」
「っん?ないよ」
でしたら、先ほどからあたしに投げつけている‥纏わり付く視線は一体何なんでしょうか‥
クスクスッ、笑って
「ないけど‥可愛いなぁーと思ってさぁ」
美しい瞳に見つめられ、真っ赤になったあたしに
「牧野さん、流石、魔性の女だね」
クスリと笑う。
えぇえぇ、確かに‥
あたしは、あなたのお爺様の筒井会長に救って頂きました。
だけどだ、だけど
薫社長に救って頂いたわけじゃないですよ。
そんな心の言葉が聞こえたのか?
「良いんじゃないかな?魔性の女の備忘録に、もう一人くらい超絶イケメンが加わっても」
嘘とも本気とも解らない物言いで、そんな言葉を返しては、クスリと笑う。
「まぁさぁ、どっちにしても‥牧野さんのお陰で色々楽しませて貰ってるよ」
あははっ‥渇いた笑いしか出やしない‥
そう‥薫社長が言っているのは、F4とあたしの攻防戦の事だ。
アポ無しの約束に関しては、あたしは逃げる事にしているのだけど‥
時間が空いたと言って、突如として現れるときがあるのだ‥
「一昨日は、ダストボックスから滑り降りたんでしょ?」
「先月は、ターザン宜しく、隣のビルに飛び移ったんでしょ?」
あたしは、フルフルッと首を振って
「流石に、そんな事をしたらあたし‥死んじゃいますから」
えっ“そうなんだー 優斗が言ってたからさぁ〜 なんて、ケラケラ笑いながら、言ってくる。
「あははっ、薫社長‥それ、笑えませんから‥外で言わないで下さいよ」
あたしは、釘を刺す。
笑い続ける薫社長を見ながら‥
今週の予定を頭の中で、反芻した後に‥
「薫社長‥明日‥やっぱり‥あたしも出ないと行けませんかね?」
そう聞いてみる‥
「あははっ、牧野さんが主役みたいなもんだからね」
ウィンクしながら
「じゃぁ、また明日、お疲れさまね。あっ、遅れないようにね」
そう言い残して、去って行く
社屋を出て、左右を確認する‥
誰もいない事を確認して、あたしは、夜の街に繰り出す
愉快な気持ちで、軽快な足取りで♪
カランコローン
扉を開けてNotre fleurに入る‥
あたしの癒しの空間だ。
スツールに腰掛けると、インディゴちゃんがアキダクトが出してくれる。
「時の流れに身を任せ?」
そう問えば、薄く笑って頷いている。
身を任せて‥早一年‥‥‥
事態は収束するどころか、よりややこしくなってる気もしないでもないが‥
一杯目を飲み終える頃、インディゴちゃんが、隣に腰掛けて‥
「目下の有力馬は、誰とぉ〜?」
興味津々に聞いてくる。
「有力馬?」
「そうとよぉ〜、死ぬ時に一緒に居たか男よぉ」
瞬間‥あいつの顔が浮かぶ‥
あたしの顔を見て
「あらぁ〜 答えは出てるとね〜」
嬉しそうに笑う。
《 コタエハ デテイル 》
そうなんだ‥そうだったんだ‥ あたしは呟く‥
あたしの目の前に、ジンライムを差し出してくる。
思わず、笑みが溢れる。
あたしの思いは、帰結する‥‥
ずっとずっと決まっていた‥
あたしの思いは、あいつにしかないって‥
どんなに強がっても‥あたしの思いは、帰結する。
今も昔も変わらずに、真っすぐに真っすぐに、あたしだけを見てくれる男に‥
地獄の果てまで追いかける‥そう言った男に‥
あたしの思いは、帰結する。
「ごちそうさま」
そう言い残して、Notre fleur を出る。
6月の夜風は、生暖かく、あたしに纏わりつく‥
雨が降るのかな?
だけど‥あたしの心は、晴天だ。
あいつを愛してるって‥
もう一度気づく事が出来たから。
あたしの心は、晴天だ‥
刹那‥
あいつがあたしの前に現れた‥
「えっ“ ストーカー?」
「バカ‥違う‥」
なんとも、まぁ‥素っ頓狂な会話の後に‥‥
あたしは、あいつに抱きついた。
全てを忘れて抱きついた。
神様が下さった偶然は、きっと必然‥
ずっとずっと言いたくて言えなかった想いを口にした。
「道明寺‥やっぱりあたしは、あんたが好き‥」
思いは帰結する。
fin

一瞬で、人生の全てをみると言う。
死ぬ時‥この男の顔がみたい。
ううん。この男の顔だけでいい。
そう思えた瞬間‥
あたしは、目の前の男に、もう一度恋をした。
「うふふっ」
突然笑い出したあたしに
「どうした?」
怪訝な顔で、あんたが聞いてくる。
どうもしないよ‥そう、あたしは答える。
恥ずかしくて、言えないよね‥
ずっとずっと‥アンタが好きだなんて‥
笑いを噛み締めるあたしに、
「ったく、何考えてんだか教えろって‥」
「教えない‥」
教えろ、教えないで押し問答して、
2人でクスクス笑って
小鳥のようにキスをする。
「なぁ、俺の事だろう?」
「うふふっ、背負ってるねー」
「そんなんじゃねぇよ」
じゃぁなんで?って問えば、
真面目な表情で、俺の頭にはお前しかいねぇだからだ。
って答えてくる。
真摯な顔が、あたしの劣情を誘う。
「バカ‥」
口とは、裏腹に‥
あたしは、あんたの耳朶を齧る。
真っ赤になりながら
「反則だ‥」
そう呟いて、あんたは、あたしを抱きしめる。
強く強く抱きしめる。
胸に顔を埋めながら、小さく小さく呟く‥
「好き‥」
優しく笑って、あんたが、あたしを胸に抱く。
刹那‥
生きてる事の喜びを、幸せを感じる。
「どうした?今日は、やけに素直じゃんか」
あんたの耳許に、そっとそっと答えを囁く
あたしの答えに‥ ガバッと飛び起きて
「マジか?」
「‥うんマジ」
愛おしい男が、あたしのお腹に手を当てて‥
幸せそうに、目を瞑っている。
大きな手の甲に、手のひらを乗せて‥
「よろしくお願いします」
頭をペコリと下げる。
目の前の男が、破顔する。
嬉しそうに、嬉しそうに破顔する。
明日からきっと、
アレするな、コレするなと、今まで以上に五月蝿くなるだろう‥
その度に
「もう五月蝿い」
と喧嘩して‥
渋々、あんたが、あたしが、お互い歩みよって‥‥
仲直りの繰り返しなんだろうね。
だけど‥それも幸せな事なんだよね。
会えなかった、あの日々を思い出して、幸せを噛み締める。
幸せを噛み締‥
あっ、大変だった事を思い出し、なんだか頭にきて、腕にガブリと齧りつく
「痛っ 何すんだ。この凶暴女‥」
「あっ、そんな言い方したら、この子が聞いてるよ」
エヘンッ と得意気に、言い返す。
***
宣戦布告をガツンとしたあたしに‥
容赦なく4人の聖獣が、攻撃を仕掛けてくる。
連日連夜、マスコミに追いかけられて‥
連日のように、誌面を賑わす
〜魔性の女‥T.Mさん〜
〜男を惑わす悪女T.Mさん〜
ハァッーー
一体このひと月で、あたしは何度ため息を吐いたのだろう?
当然、仕事先にも迷惑がかかる‥
そりゃそうだ。マトモな業務など出来やしない状態だ。
それぞれの良さを、友人としてではなく、受け入れていこうと考えていた。
もう、逃げはしない。
もう、逃がしはしない。
そう思ったけど‥‥‥‥
このままじゃ、あたしの世界が壊される。
あたしが、あたしじゃいられなくなる。そう頭を抱えた時に、
「牧野さん、関西本社に移動しない?」
課長から、打診を頂いた。
体の良い肩叩き? 一瞬ギョッとしたら
「噂の悪女‥会長が手元に置きたいんだってよ」
課長が可笑しそうに笑いながら、まぁそれは嘘だけど‥
「牧野さんの企画に食いついたみたいだよ」
そんなやり取りがあって‥
あははっ あたしは逃げた東京を。
うん。逃げた‥関西に。
同じ国内、来ようと思えば、ヘリでひとっ飛びだ。
だけど、流石に、同じ都内と違って連日連夜、F4の誰かしらが来るという事は、なくなった。
ホッとした。少し息をつけるようになった。
あたしを救ってくれた会社に感謝した。
半年後、人事移動で宝珠社長の秘書になるまでは‥
「薫社長、すみませんが‥何か用事でもおありですか?」
「っん?ないよ」
でしたら、先ほどからあたしに投げつけている‥纏わり付く視線は一体何なんでしょうか‥
クスクスッ、笑って
「ないけど‥可愛いなぁーと思ってさぁ」
美しい瞳に見つめられ、真っ赤になったあたしに
「牧野さん、流石、魔性の女だね」
クスリと笑う。
えぇえぇ、確かに‥
あたしは、あなたのお爺様の筒井会長に救って頂きました。
だけどだ、だけど
薫社長に救って頂いたわけじゃないですよ。
そんな心の言葉が聞こえたのか?
「良いんじゃないかな?魔性の女の備忘録に、もう一人くらい超絶イケメンが加わっても」
嘘とも本気とも解らない物言いで、そんな言葉を返しては、クスリと笑う。
「まぁさぁ、どっちにしても‥牧野さんのお陰で色々楽しませて貰ってるよ」
あははっ‥渇いた笑いしか出やしない‥
そう‥薫社長が言っているのは、F4とあたしの攻防戦の事だ。
アポ無しの約束に関しては、あたしは逃げる事にしているのだけど‥
時間が空いたと言って、突如として現れるときがあるのだ‥
「一昨日は、ダストボックスから滑り降りたんでしょ?」
「先月は、ターザン宜しく、隣のビルに飛び移ったんでしょ?」
あたしは、フルフルッと首を振って
「流石に、そんな事をしたらあたし‥死んじゃいますから」
えっ“そうなんだー 優斗が言ってたからさぁ〜 なんて、ケラケラ笑いながら、言ってくる。
「あははっ、薫社長‥それ、笑えませんから‥外で言わないで下さいよ」
あたしは、釘を刺す。
笑い続ける薫社長を見ながら‥
今週の予定を頭の中で、反芻した後に‥
「薫社長‥明日‥やっぱり‥あたしも出ないと行けませんかね?」
そう聞いてみる‥
「あははっ、牧野さんが主役みたいなもんだからね」
ウィンクしながら
「じゃぁ、また明日、お疲れさまね。あっ、遅れないようにね」
そう言い残して、去って行く
社屋を出て、左右を確認する‥
誰もいない事を確認して、あたしは、夜の街に繰り出す
愉快な気持ちで、軽快な足取りで♪
カランコローン
扉を開けてNotre fleurに入る‥
あたしの癒しの空間だ。
スツールに腰掛けると、インディゴちゃんがアキダクトが出してくれる。
「時の流れに身を任せ?」
そう問えば、薄く笑って頷いている。
身を任せて‥早一年‥‥‥
事態は収束するどころか、よりややこしくなってる気もしないでもないが‥
一杯目を飲み終える頃、インディゴちゃんが、隣に腰掛けて‥
「目下の有力馬は、誰とぉ〜?」
興味津々に聞いてくる。
「有力馬?」
「そうとよぉ〜、死ぬ時に一緒に居たか男よぉ」
瞬間‥あいつの顔が浮かぶ‥
あたしの顔を見て
「あらぁ〜 答えは出てるとね〜」
嬉しそうに笑う。
《 コタエハ デテイル 》
そうなんだ‥そうだったんだ‥ あたしは呟く‥
あたしの目の前に、ジンライムを差し出してくる。
思わず、笑みが溢れる。
あたしの思いは、帰結する‥‥
ずっとずっと決まっていた‥
あたしの思いは、あいつにしかないって‥
どんなに強がっても‥あたしの思いは、帰結する。
今も昔も変わらずに、真っすぐに真っすぐに、あたしだけを見てくれる男に‥
地獄の果てまで追いかける‥そう言った男に‥
あたしの思いは、帰結する。
「ごちそうさま」
そう言い残して、Notre fleur を出る。
6月の夜風は、生暖かく、あたしに纏わりつく‥
雨が降るのかな?
だけど‥あたしの心は、晴天だ。
あいつを愛してるって‥
もう一度気づく事が出来たから。
あたしの心は、晴天だ‥
刹那‥
あいつがあたしの前に現れた‥
「えっ“ ストーカー?」
「バカ‥違う‥」
なんとも、まぁ‥素っ頓狂な会話の後に‥‥
あたしは、あいつに抱きついた。
全てを忘れて抱きついた。
神様が下さった偶然は、きっと必然‥
ずっとずっと言いたくて言えなかった想いを口にした。
「道明寺‥やっぱりあたしは、あんたが好き‥」
思いは帰結する。
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