明日咲く花

花より男子の2次小説になります。

un secret ~秘密~ 最終話 miumiu ver 前編

あの宣言の後、道明寺と類が私に会いに会社に来る。
そして美作さんとは職場で顔を合わせる機会がある。

全員をきちんと友達ではなく男性として見て誰を選ぶか?
私はもう逃げずにキチンと向き合うと決めたし、彼らもビシバシアタック駆けるっていってたから
しょうがないの事なのかもしれないけど・・・


だからって、毎日毎日、会社の正門前で待たれても・・・困るんだよね。

道明寺も、花沢類も
ただそこに立っているだけで目立つ人な自覚があるのかなぁ?

そんな事を思うけれども、私が彼らの前に行くまで、おそらく受付前で待たれるのだろう。

この日は道明寺が受付前で待っていた。
私は、道明寺の姿を目にして、まっすぐ道明寺のいるところへ進んでいくけれど、
そこに行くまでにもみんなの刺さるような目線が気になる。

せめて目立たないところで待っててもらうように言わないと・・・
そう思った私は、受付で待ってた道明寺に
「確かにビシバシアタックするとあんた達は言ってたけどさ・・・さすがにココは職場だしすごく目立つから、
もう少し目立たないところで待っててくれると嬉しいんだけどな?」
そう二人に伝えてみるけれど
「お前、俺様に待たれるのが迷惑だというんじゃねーよな。お前は鈍いから
俺がこうやって牽制しててやんねーと変な男にいい寄られんだろ?」
そう言って取り合ってくれない。



花沢類が待っていてくれた時も、
立ち姿だけで華やかさと繊細さが溢れて出てるから、
そこにいるだけで流れている空気が違う感じだった。
類は私を見つけると、まっすぐ私のところまで歩いてきて、額にキスをする

「・・・ちょっ・・・みんなに見られてるからっ」
そういっても花沢類は
「みんなは関係ないよ。俺は牧野が好きだからこうやってここで待ってるんだよ。
少しでも長い時間牧野と過ごしたいからね。」

そう言ってこの人もまた、私の意見を取り合ってくれない。


私が美作商事に受けた時、誰にも言わずに受けたから、面接で私の姿を見たおじさまがすごく驚いていた。
入社してから、美作さんの後輩と知られると、仕事でミスした時などに美作さんやおじさまにまで迷惑がかかる。

だから、おじ様にも美作さんにも、私が後輩なことは言わないでほしいと頼んだのだ。

だからここ3年は静かに穏やかに過ごせていた。
それまでは花沢類と食事に行くときは、目立たないところに車をつけてくれていたから・・・。

でもあの告白以降、
道明寺が目立つのもお構いなしに、受付の前で待っているようになると、花沢類も同じように受付の前で待っているようになった。

おかげでここの所毎日、仕事に出社する時や昼休みに遠巻きに色々と噂されているのが聞こえるようになった。

そしてこの日の帰りにも道明寺が受付前で待っていた。
あの華やかな雰囲気と威圧感に、黙って立っているだけでもみんなの注目を浴びる。


「お前。今日はおせーんじゃねーのか?この俺様を待たせやがって」
「今日は残業だったから・・・」
「お前に残業なんてさせたら俺と食事に行けねーだろうが
あきらにはお前に残業させねーようにいっとくわ」
みんなに遠目から見られて、あらぬ噂を立てられていることなんてお構いなしにそんなことを言ってきた。



そして翌日、あきらが九州方面の出張から戻ってくると
受付あたりが騒がしい。
「ねぇ。今日もいるわよ。道明寺様」
「もしかして今日も牧野さんを待ってるのかな?」
「この間は花沢さんもまっていたわよね?」
「・・・っていうか、あのおとなしい牧野さんが、道明寺様と、花沢様とお知り合いなんて・・・」
そんな従業員の言葉が耳にはいる。

牧野が全社員の噂の的になっているのを知ったあきらは小さくため息をつく。

アイツら・・・加減ってもんを知らないからな。
お前らが牧野と会いたいのは分かるが、お前らがそうやって目立ってる自覚がないままに
いつも通りに牧野にふるまえば、嫌でも牧野も目立っちまうし、噂になっちまう。


司・・・お前や類はこの時間に牧野に会いたいからって会社まで来て待っていればいいんだろうが
それじゃあ後で牧野が色々と周りからつつかれちまうだろ?

高等部の頃からそうだったろう?
自分より下だと思っている人間が、自分の手の届かない人間と仲良くしていれば、
噂やいじめの矛先は、自分より下だと思っている人間に向かう。


俺は、牧野が好きだから、牧野に居心地のいい環境を作ってやりたいんだ。
だから牧野が、俺と親父に内緒にしてほしいと言ってきた時も、俺も親父も快くそれを受けた。

牧野にとってこの美作商事が居心地のいい環境であってほしいと思っていたから・・・。

なのに、ここ数日の司と類の行動で、牧野はまた高等部の時の様に
言われなくていいこと、あることないことを、司や類に近づきたくても近づけない女たちから言われちまうのだろう。



**********************
学生時代からの友人と、食事に行ったりしているだけなのに・・・
多分、名前を伏せて話をしたら、ただそれだけのことなのに、
なぜ道明寺や花沢類が待っているというだけで、ここまで言われるのだろう。

これまでにも何度か「目立つからここで待たないでほしいの。
もしそれでも待っててくれるのなら通りの裏に車をつけて待ってて欲しい」と伝えてきたが、
その都度道明寺にも花沢類にも
「俺がここで待ちたくているんだからお前は(牧野は)気にするな(しないで)」
そんな風にかわされてしまう。


今日は道明寺が待ってるんだ。
連絡も前もって来てないから、美作さんを待っているのだろうと思うようにして
正門の前をまっすぐに通り過ぎようとすると

美作さんが道明寺に声をかけていた。
「司。待たせたな」
そう言って道明寺と話してる美作さんが見える。
「おう。あきら。おめー昨日まで出張だったんだろ?」
「あぁ。今日は早く上がれそうなんだ。この後飲みに行かねーか?」
そんな風に道明寺に言いながら、美作さんは私に『牧野、こっちの事は気にせずに帰れよ』と促してくれる。


美作さんありがとう。
そう思いながら道明寺の後ろを通り過ぎる。

道明寺が美作さんとの話に気を取られて私に気がつかないでくれればいいのに・・・
そう思うけれども、道明寺の野生の勘は鋭くて、
「あっ、牧野っ。お前、俺様がこんなに待って・・・」
そこまでいった道明寺の声に、美作さんの声が重なる。
「・・・司。お前牧野の迷惑を考えてやれよ。
類もそうだが、司お前もこんなに目立つ毎日毎日、待ってることで牧野がなんて言われてるかとか考えたことないのか?」

「・・・あぁ?。あきら、おめー牧野と同じ職場だからって、余裕ぶっこいてんのか?
おめーが職場でアプローチしようとするかもしれねーから、俺も類も牧野をここで待ってんじゃねーか。」
道明寺の怒りは美作さんに向かっていた。
「誰もそんなことはしてねーよ。ただ牧野がこんな目立つこと嫌がるやつだって知ってるだろう?」
美作さんが私をフォローするように言ってくれるけれど、
「あきら。てめーも牧野が好きなら、余裕ぶっこいてると俺様がモノにしちまうからな」
「だから司やめろって・・・牧野が迷惑だろ?牧野はここで毎日仕事をしてるんだ?そこを・・・」

そんな事を話しているのが、道明寺がキレているため、帰ろうと会社を出ようとしている人たちに聞こえてしまっている。
おかげで、道明寺と美作さんと私は、周りの注目を浴びてしまっていた。
「ねぇ。やっぱり美作課長も、牧野さんの事・・・」
「もしかして、牧野さんって・・・美作課長と、道明寺様と、花沢様のコネ?」
「俺、明日から牧野さんにどう接したらいいんだろう」
「対して魅力があるわけでもないのに、F4の周りをウロウロして、入れてもらったのね。
はずかしい。よく普通に会社に来れらるわよね」
「おいおい。そんなこと聞かれた日には俺らがクビになっちまうからやめろよ」
遠巻きに道明寺と、美作さんとのやり取りを聞いていた人たちが
そんな事をこそこそと話しているのがつくしの耳に入る。

そんな言葉が私の耳にも入ってくる。
これ以上聞きたくなくてダッシュでその場を後にする。
普通の友達関係と一体何が違うというのだろう。
普通にみんな好きで、それぞれの良さがあって・・・選べないくらいいい男な人達。

みんなに言われなくてもわかってるよ・・・。
私が彼らと釣り合ってない事なんて・・・。
こうゆう風にはっきりと耳にすると、さすがに気にしないようにしていても、
分かっているだけに・・・分かり切っているだけにショックが大きかった。

明日から仕事場で、みんなは普通に接してくれるのだろうか?

そんな事を思いながらとぼとぼと家路に向かっていると、
私の横をスーッと車が通り過ぎて、少し先で静かに止まる。
私はその前を総っと通り過ぎようとすると、
窓がスーッと空いて、私のよく知ってる人が顔を出す。

「よぅ。つくしちゃん。どうしたんだよ。シュンとして歩いてっけど・・・」
西門さんは私に話しかけてくる。

・・・あぁ・・・。
今度は西門さんにあっちゃった。
思わず周りを気にしてしまう自分がいた。
こんなところをみられたら、また何を言われるか・・・

そんな事を思っていると、
「ココじゃお前の会社から出てくるやつらに見られて目立っちまうな。
とりあえず乗れよ」
そう言って、西門さんの車に同乗させてもらう。
ここで、乗る乗らないでまた、会社から出てきた人達の噂の的には
これ以上なりたくなかった。

西門さんの車に乗せてもらって、私は窓の外を見ていた。

道明寺も、花沢類も、美作さんも、そしてこの西門さんも、普通以下の生活をしている自分には
普通に生活していれば全然接点がない人たちだ。
私は偶然高等部から英徳で一緒だったから、それで仲良くしもらえただけ。

でも、あーゆー感覚はやっぱり、いつになってもついていけない。
私が嫌って言っているのに、それでもあんなふうに待たれて、
周りがいろいろと言っているのが聞こえてくると、

・・・やっぱり私は彼らの傍いちゃいけないんだろうなぁ・・・と思う。

道明寺とかは
「そんな奴らのいう事なんて気にすんな」っていうけど・・・。
私はそんな風に気にしないでないんていられないんだよ。
道明寺たちみたいに会社に入った時から将来が約束されてるわけじゃないから・・・。
私達はみんなと協調していかなくちゃいけない立場だから・・・。


西門さんは、運転手さんに何かを告げていた。

車が止まったところは、最近西門さんのお気に入りと聞いてたイタリアンのお店だった。
「お前が悩んでる事を全部聞いてやっから、とりあえずはうまいもんでも食おうぜ」
そう言って私を席まで案内してくれる。

西門さんは私が周りを気にしなくていいように、個室を予約してくれていた。


食事を待ちながら、あの告白の後から道明寺と、花沢類が受付前で待っていることを話す。
言葉を選びながら・・・
西門さんは、会社と関係ないからなのか、不思議といろいろ話すことができていた。

黙って話を聞いてくれていた西門さんは、小さくため息をつく。

「つくしちゃんが嫌だっていう事を聞き入れないのは、司と類の悪いところだな。」
そう言いながら少し笑う。

「毎日毎日それじゃあ、牧野が精神的にまいっちまうな。
たまには俺が気分転換につくしちゃんの行きたいとこに連れてってやるよ。

そんな事をいってくる西門さんに、
「普段西門さんたちが行くようなところじゃないけど、それでも付き合ってくれるの?」
「あぁ、付き合ってやるよ。俺も、つくしちゃんの好きなものに触れてみたいしな」
そんな事をいってくれる。

ねぇ、知ってる?女の子って、自分の好きなのを相手も好きになってくれるっていうのが
すごくうれしいんだよ。

そんなんで私の予定は休みの日に西門さんといろいろなところに出かけるという予定がはいるようになった。

と言っても私が行きたいと西門さんにいう所は、あまりお金のかからない国立公園とか、美術館博物館、動物園や植物園。
西門さんのお誘いで展覧会。そんなところばかりだった。
西門さんは初めに言った通り、全然つまらなそうでなく、むしろ私と一緒に楽しんでくれていた。
その時はたわいない話しかしなかった。

そして仕事の後のお茶のお稽古のときは、会社の裏口の目立たないとこに車を待たせておいてくれるので
それに乗ってくれるように言っていた。

お茶のお稽古は、無心になれた。私にとってはとても気持ちが落ち着く時間だった。

職場で、みんながはれ物に触るように接してくるのにとても気を遣うので、西門流に行ける時間はとても
充実した時間だった。



あの日も、いろいろと女子社員から嫌みを言われていた時だった。

稽古の終わった私に、
「まだいろいろ言われんのか?」
そう聞いてきたので、私は慌てて、
「なんで?そんなことないよ」
そういった私に、
「なんでもねーんならいいんだけどな。お前が稽古の回数を増やしてほしいなんて言ってくるから
・・・なんかあったんだろうと思って・・・」
私に聞こえるか聞こえないかくらいの声でつぶやいていた。

なんで?
なんで西門さんには何も言わなくてもわかっちゃうんだろう。
私は西門さんに心配かけまいと笑顔を作っていたのが、崩れそうになっていた。

西門さんは、一見チャラチャラしてるように見せてるけど、本当は人一倍周りを見ている。

女の子たちと接しているときにも、誰とでも話す明るく人懐こいひとと思わせているけれど、
本当の西門さんは、気を許した人にしか心の奥底をみせないし
幼馴染や桜子や滋さんの様に、仲間と認めた人達には徹底的にやさしい。
なんでもやってくれるというより、何も知らないふりをしながらも、本当に困った時にさりげなく手を差し伸べてくれるやさしさを持っている。




ある日、家元に呼ばれていた西門さんが、厳しい顔をして稽古に戻って来た。
「どうしたの?」
私が恐る恐る声をかける。

西門さんはその言葉には返事をせずに稽古を始めた。

そして稽古が終わって片づけをしていると
「牧野。お前、2ヶ月後の土日はあけておいてくれるか?」
「何かあるの?」
「あぁ、茶会がある。それも今回は、園遊会で呼ばれるような人達が来るんだ。
気を抜けないからこそ、俺のやり方をキッチリとサポートできる人間に俺の半東をやってほしいと思ってな。」
「・・・そんな大きな茶会の半東が私なんて・・・西門さん何考えてるの?私よりも立派に半東をつとめられる人がいるじゃない。」
「いや、お前じゃないとダメなんだ。」
そう言ってまっすぐ見つめ返してくる。
その潤んでまっすぐ私を見つめてくる瞳に捕われて動けなくなる。
「・・・そ、、そんな風に言ってくれるなら、力不足だとは思うけど、足引っ張らないように頑張るね」

それから2ヶ月牧野は猛特訓の成果か、その辺のお嬢様に引けを取らないくらいに上達していた。

茶会で俺の半東をした牧野に対しての評価がすごく高かった。

俺のところに挨拶に来た招待客は、夫婦揃って挨拶に来ては牧野と話をしたがった。
「若宗匠。本日の半東さんが一番やりやすかったのではありませんか?」
「そうですね。若宗匠の表情も心なしか柔らかい感じでしたものね」
牧野は挨拶に来る招待客にニコニコしながら応対しているが、
この人たちが夫婦揃って挨拶に来た本当の意味を知ったら驚くだろうな。


「西門さんの半東を務めるって事は、次期家元が自ら半東として選んだ人間が、
西門流の将来を発展させらるかどうかを左右すると言われてるって、家元夫人の秘書の伊沢さんからきいたよ」

次期家元が自ら選んだ相手って事は、経験も実力もちゃんとあるってみられるって事だもんね。
私は西門さんのサポートをできるほどの力があるとは思ってないけど、
西門さんが私にたのみたいって言ってくれてる以上迷惑はかけないようにしないといけないもんね。

そんな風に言ってるが、
そうゆう意味じゃねーんだけどな。
・・・まぁ、いいか。
コイツが俺を選んだときに本当の事は教えてやるよ。

そして無事に終わった茶会の帰り、俺は牧野と別行動をした。

そこで俺の乗っていた車は、飲酒運転の対向車に突っ込まれたのだった。



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