そうか、そうだったんだ。 総つく

裏か表か　表か裏か
つくしがコインを弾く‥…

表ならオレの勝ち。裏ならつくしの勝ち。

裏か表か　表か裏か　
コインが空を舞う……

「表だぁー」つくしがオレを見た。
「オレの勝ちか。」オレはほくそ笑む。

「はぁはぁーなんなりと‥…」

オレ達は、コインで賭けをした。
表ならオレの勝ちで、裏なら牧野の勝ち。
負けた奴は、勝った奴の言う事を聞く。
願い事は、全部で５個だ。


「じゃぁ先ず、呼び名から‥…今日はオレの事、西角さんて呼ぶな。」
「えっ”　じゃぁ　西門？？」
「お、お前、呼捨てはねぇだろうよ。あっ、若宗匠、師匠もなしだかんな」
「‥…総さん？　総？」
「‥…そ、総？」
「疑問系にすんな。」
「総‥…」名前を口にするだけで真っ赤になってるつくし。むふふっ可愛いなぁー


「２個目‥…全身オレ好みの格好。」
つくしをセレクトショップに連れて行く。上から下までオレが選んだ服を着せる。
こいつは、オレが何か買ってやろうとすると、頑に頑に拒否る。
オレは親の敵か？って、ぐらい全身全霊で拒否る。
オレがこいつに遠慮しないでプレゼントを渡せるのなんて、誕生日とクリスマス、ホワイトデーくらいだ。
それだって、下手すりゃ文句三昧だ。
ちょいエロイ、だけど健康的な可愛さを押し出した服を着せ、髪先に少しカールをつける。
胸元にはダイヤのついたクロスのネックレス。
実は前々から渡そうと思って用意したやつだ。ここぞとばかりに首もとにつける。
こいつは、ダイヤの原石そのものだ。磨けば磨く程美しくなる。


「３個目‥…伊豆に行って、帰りはオーべルジュアマンダな」

「ねぇ‥…西門さん」
「総だろ？」
「そ、総‥…あのさぁ、総の願い事を叶えるんだよ？」
「わかってるぜ。」
「本当に解ってる？うーん」
「あぁー解ってる。」

「じゃぁさ、西門さんって、言ったらペナルティーな。」
「えっ”」
「お前が言ったんだからな。オレの願い事だって。」
「あっ、はい。」
「西門さんって、言ったらお前からオレにキスなキス」
「‥…」
俄然楽しくなるオレ。


助手席につくしを乗せ、高速を走ららせる。
伊豆の海に行く。
スキューバーを始めたいと言ったお前を連れて、初めて二人で行った伊豆の海。
アマンダは何度も泊まったな。残念な事に別々の部屋で…
春先から２人で通い、夏には２人でバディを組んでたな。

今日は珍しく、いつもよりも頑張って起きてるつくし。
ウツラウツラと船を漕ぎ出し、急に静かになったと思ったら、ストーンと眠りについている。
なぁ、頑張んなくて起きてなくていいんだぞ。
お前の寝顔を見るのもドライブの楽しみの一つなんだからよ。

夏の喧騒が嘘のように、静かな冬の海
水面に光が反射している‥…

「総～キラキラして綺麗だね」
「あぁ　綺麗だな」
海の水面よりもお前の方がずっとずっと綺麗だけどな

二人でのんびり散歩するこの時間は何物にも代え難くて‥…幸せで
つくしも同じ気持ちで居てくれるように願いながら、のんびりとのんびりと散歩する。

太陽が海に沈む瞬間に、つくしの髪にキスを一つ落とす。
驚いた顔でお前がオレを見上げる。何事もなかったふりをして前を歩く。

「そろそろアマンダに行くか。」
「う、うん。」

アマンダで食事をする。
夏に潜った海の話しをしながら、先月つくしが努めた半東の話しをしながら
庭に咲いた花の話しをしながら、この前二人で行った書道展の話しをしながら
オレ達は食事を楽しむ。

アマンダのオーナー夫妻が、ハート形の小さなケーキを
オレ等二人に出してくれる。
ピンク色した生クリーム。甘酸っぱくて妙に美味い。


食事が終わりほろ酔いのオレ達は少し散歩をする事にした。

オレは矢継ぎ早に願い事を２つ口にした。

「４個目‥…部屋は一つしかとってねー今日は朝まで一緒に居てくれ」

「５個目‥… オレの嫁さんになってくれ。これがオレの５つの願いだ」

つくしを見ると、困ったように俺を見ている。
「総…」
「お前は賭けに負けたんだから、答えは、はい。だけだからな。」
「……はい。」

つくしを抱きしめキスをした。恋人同士のキスをした。
つくしが遮るように‥…
「総‥…お誕生おめでとう‥…それとね‥…」
怖ず怖ずと見せてくれた、コイン。
どっちも同じ絵柄のコイン。

そうか。そうだったんだ
オレは嬉しくなってもう一度　つくしを抱きしめキスをする。



～総ちゃん　お誕生日おめでとう！！～　

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そうか、そうだったんだ。A面のお話しになります。
コンイトス と併せて読んでくださいね(*^^*)