明日咲く花

花より男子の2次小説になります。

un secret ~秘密~ 最終話R aoi ver 後編



※ここから先は大人向けの表現がございます。18歳未満の方、苦手な方はご遠慮ください。





「で、どうしてあんな格好でお出迎えになったんでしょうか?奥様」


気が付いたらバスタブの中。
で、あきらの膝の上。

キッチンで散々あきらに突き上げられたあたしは、あのまま気を失っていたらしい。
最初は胡坐をかいた膝の上に横抱きだったけどあたしが意識を取り戻したら、向かい合わせに跨るように座らせられた。
この格好は初めてじゃない。けれど……
触れ合う肌が気持ちよくて。
密着している肌が熱くて、このまま蕩けてしまいそう。
あきらの胸に凭れ掛かり耳をぴったりと付けると聞こえてくる、あきらの力強い鼓動に安心して身体の力が抜けていく。


「おいおい、また寝るなよ?」

「……んー、わかってる」


眠いとき特有の幼い舌っ足らずな口調でそう応えたものの、つくしの眼は閉じられていて開く気配が全くない。
仕方がないとばかりに小さく溜息をわざとらしく吐き、あきらはつくしの耳の中に尖らせた舌先を差し込み、ぐるりと舐め回しわざと濡れた音を立てた。
その音と濡れた舌の感触に驚いたつくしの身体が、びくりっと跳ねて水面がぱしゃんと波立つ。


「ひゃっ!あ、あきらっ」

「お、起きたな。このままだと逆上せるからな」
「こんなとこで逆上せちまったら続きが出来ないだろ?つくしはあれ一回で満足したのか?俺はまだまだつくしを食べ足りないんだけどな……」


かりりと甘噛みをして耳に唇を当てたまま、熱く欲情を隠さない声色で囁く。
言っている間にあきらの手はつくしの背後から白い双丘の谷間に忍び込み、明らかな意図をもって秘裂をなぞっている。
お湯とは違う温かなぬるりと滑る液体が、あきらの指先に熱を与え動きを加速させていく。


「あ、ぁあっ……」

「どうする?さっきの質問に答えなかったら……」
「……このままだぞ」


つくしの下腹部にはすっかり勃ち上がったあきらの分身が当たっていて、まるで“どうするんだ?”と決断を迫るようにぐいぐいと押し付けられる。
熱い楔を押し付けながらもあきらの手の動きは止まらず、奥へ奥へと進んでいく。
つくしの感じるポイントを微妙に外して焦らす。


「おね、がいっ……」

「だったら、なぜあんな恰好をしてたのか答えろよ。ん?」

「んんっ……あぁ」


こりんっとさっきまでの情事で、まだ敏感なままのつくしの花芽を押し潰しながら揺さぶる。


「ひゃぁ……っ」
「言うっ!言うからっ……お願い」

「先に一回イカせてやるから、ちゃんと教えろよ」


上気した顔がこくこくと小さく頷くのを確認して、あきらはさっきまで自分が入っていたつくしのナカに指を挿れ、お腹側の襞を押し込み、細かく擦り上げ、奥を突き掻き回す。
蠢く指に絡みつく粘膜が、つくしの快感の度合いをあきらに伝えている。

そして訪れる限界の時。

バスルームに響き渡る一際高い啼き声を上げるのと同時に、激しく収縮をしてあきらの指を締め付け白い世界へ意識を飛ばした。





「前にね、みんなが来た時に話してたのを聞いちゃったの」


あれから寝室に場所を移して、冷たい水を口移しで飲ませてやると意識を取り戻したつくしを貪るように抱き潰した。
“一回イカせてから事情聴取”なんて呑気に構えていたけど、あんなに官能に乱れる姿を見てしまった俺は我慢なんて出来なかったんだ。
ベッドボードに背を預けている俺の胸に凭れ掛かりながら、息を整えたつくしが漸くさっきの格好の理由を話し出した。

恥ずかしいのか項から上を赤く染めながら……



あいつら?
司たちが来た時?
どんな話、したっけ?

俺の視線が左斜め上を向いて、思い出そうとしているのが判ったんだろう。


「ほら一カ月ぐらい前、あたしが晩ご飯作っててあきらたちがリビングで話してた時よ」
「四人で雑誌を覗き込んでて………」


あ……
思い出した。あの時か。


「あの話を聞いちゃったの、盗み聞きするつもりは無かったんだけど……つい。ごめんなさい」

「それで、あの格好か」

「うん、だって今日は……」

「解ってる……嬉しかったよ。めちゃくちゃ燃えたし」


ああ、確かにいつもより燃えた。

キッチン
バスルーム
ベッド
場所を変え、体位を変えつくしと幾度も交わった。
つくしが意識を飛ばすまで……



ちょうど一年前の今日。
つくしが俺の手をとってくれた。
こんな大事な日を忘れるはずがない。



あの俺たちの宣戦布告から、司も類も仕事の話に託けてつくしの働く会社に日参していたし、総二郎は週に一度の稽古日に家元夫婦まで引き込んでつくし包囲網を敷いた。
仕事帰りのつくしを待ち伏せして、食事に誘うのは日常茶飯事。
休みの日ともなれば夜討ち朝駆けで、つくしの住むマンションへ向かう。
一応スケジュールの調整はしているので、かち合う事は無かったのが救いと言えば救いだった。

俺はと言えば、それまでとそう変わらずつくしと接していた。
ただ一つの事を除いては。



つくしが就職した会社は俺のお袋の実家である勝山グループの本社で、社内には美作の息のかかった者がごろごろいるから情報には事欠かない。
表だって美作の系列じゃないので、つくしはその事を知らない……
警戒されずに情報を手に入れる事が出来た。
ちなみにつくしの上司も美作の協力者だ。


桜子には『余計な差し出口を挟むな』と釘を刺しておいた。
『俺たちF4には俺たちの考えがあって動いているんだ、もう一度牧野と俺たちの事に口を出したら……』と。
ここまで言えばあいつも黙って頷くしかなかった。
後で聞いたらつくしも桜子には、自分で考えて結論を出すから余計な事を言わないでくれ『もし言ったら、もう会わない』とまで言ったそうだ。

あの、つくしがだ!

それだけ真剣に自分の気持ちと、俺たちとの関係を冷静に考えて見詰め直したかったんだろう。



連日のあいつらからの攻勢に疲れているつくしを、俺は何度もあのマンションに連れて行っては休ませた。
つくしの残業が無い日に、あいつらの仕事を忙しくするなんて簡単だったし。
あいつらの手が届かない場所は、あそこしかなかったから。
美作の裏稼業用のシェルターを兼ねたマンションが、すっかりつくし専用の休息所になるのにそう時間は掛からなかった。

ハーブティーを淹れ、他愛のない話をしながら食事を共にし、夜は遅くならないうちにマンションまで送っていった。
【マンションにいる時はスマホの電源を切る】
いつの頃からか、これが二人の暗黙のルールになっていた。

とにかくつくしが楽に呼吸が出来る様に……
そう願って。

それまでと違うのは『好きだ』という気持ちを隠さない様にした事だ。
親しい友人の一人ではなく【男】として、ただし【オス】を感じさせない様に細心の注意を払う。
性に関しては奥手で初心なつくしの事だから……
怯えさせてはいけない。

俺自身もそうやって枷を嵌めておかないと、いつ箍が外れてしまうか不安だった。
つくしを送って行った後は、決まって冷たいシャワーで身体の火照りを覚ますのが習慣になるほどに。




「ねぇ、美作さん……あの時の言葉はまだ有効なのかな?」


その言葉を聞いたのは、俺たちの宣戦布告から季節が三つ廻った頃。
いつもの様にマンションへ連れて行き、つくしと一緒にキッチンで食事を作っていると不意にそう呟いた。

え?それはどう言う意味だ?

ぴたりと俺の手が止まり、横に立っているつくしを見る。
するとそこには、何か心を一つ決めた表情をしているのに、どこか不安げに瞳を揺らしているつくしがいた。


「……あたしね、美作さんが好き」


その言葉が耳から脳内に達して意味を理解するまで俺は固まっていた。


「それは……俺を選んでくれるという事か?」


声が震える。

漸く理解した俺の喉から絞り出した声は呆れるぐらい震えていた。
俺の眼を見てしっかりと頷くつくしに伸ばした手も震えていたな。
そっと腕の中に抱き込んだあいつの身体も震えていた。

最初はそっと触れるだけ、次に軽く音を立てて啄む。
ちゅちゅっと小さなリップ音と、ふっくらと柔らかい感触が俺を煽る。
右手で小さな耳の後ろを擽り、左手で背中をしっかりとホールドして、唇を首筋に滑らせ吸い付いた。
ぴくんと揺れるつくしの首筋に咲いた小さな赤い花。

───もう少しこのまま抱き合っていたい。

そう思っていたのにキッチンに漂う焦げ臭いにおい。
慌ててIHを切るも、時すでに遅し……



その日の夕食は、ちょっと焦げた豚の生姜焼き。
二人で笑い合いながら食べた。
ちょっと焦げ臭い豚の生姜焼き……俺はこの味を一生忘れないだろう。



食べ終わった後、俺たちはどちらからともなく抱き合い、ソファの上でキスをし続けた。
徐々に熱くなっていく身体。
止められないキス。
つくしの身体のラインに沿って彷徨う俺の手。


「牧野、いい?」

「……っ」


ここで『NO』と言われても仕方がないと思っていた。
なにしろ気持ちが通じ合ってから、まだ数時間しか経っていない。

なのに……

小さいけれど『YES』意思を込めて頷いてくれた。



あの時の俺は今思い出しても焦っていたと思う。
一刻も早くつくしを俺のモノにしないと、あいつらに掻っ攫われてしまいそうで不安だったんだ。
気遣いのあきらが聞いて呆れる程に……
余裕なんてどこかに飛んで行ってしまっていた様で、あいつがシャワーを言い出さなかったらそのままベッドに直行して抱いてしまっていたはずだ。

今、思い出しても恥ずかしい。

つくしを抱いた後も不安で、俺は朝までつくしを腕の中に閉じ込めて眠った。
何度も目が覚めてはつくしの温もりを確かめ“これは夢じゃない”と安堵の溜息を吐いてはまた眠る。
朝の光の中で眠るつくしを見て俺はやっと実感したんだ。

───つくしの手を掴む事に成功したと……




一年前。
つくしを抱いた翌々日の夜に、あいつらを呼び出して結婚する事を告げた。
『なぜだ?』と理由を問うあいつらに『美作さんといる時が一番楽に呼吸ができるの、あたしがあたしらしく生きるには美作さんじゃなきゃダメなの』きっぱりとそう言うつくしに詰め寄る司や総二郎とは違って、類だけはつくしの一点をじっと見つめていた。

おっ!
類の奴、牧野の首筋にある赤い痕に気付いたな。
お前があの日に付けた場所と同じ位置にあるもんな。これは俺からの牽制だ。

───この先お前たちと、特に類……お前と会う時には、この印を付けておいてやるよ。

そうしたら牧野が俺のモノだって何回でも認識するだろ?






「あいつら来るのって、明日だったよな」


あの日に誓った事は忘れちゃいないから。
今夜も俺はつくしの首筋に、全身に俺の印を残すんだ。


ちゅッ!


ほら、また一つ……


fin



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