ずっとずっと 49
「つくし……」
どこかに消えてしまいそうで心配になり、声を張り上げる。
「っん?どおしたの」
キョトンとした顔で振り向き、戻ってくる。
「ごめん……転ぶんじゃないかと心配で……」
「もぅっ、相変わらず心配性なんだからぁ」
クスクスと笑う。
離れないように放さないように、手を繋ぎ、二人で歩く。
日中の彼女は徐々に元気を取り戻して行った。
夜の彼女は、偽りの僕を求める。
あいつだと思って僕に抱かれる。
それでも僕は構わない。
だってその瞬間、間違いなく彼女は僕のものだから。
セミナーの前日に、筒井のお爺様より連絡が入る。
「しぃちゃんの調子はどうじゃ?明日からは参加出来そうか?」
「日中は元気に過ごしていますので、逆に気が紛れて良いかと思います。」
「そうか。まだ今は辛いじゃろうからしっかりと支えてやりなさい。」
「はい。お爺様やお婆様にも何かとお世話になるかと思いますがどうぞ宜しくお願い致します。」
*****
道明寺の坊が、ボスウェルの令嬢と婚約を決めるじゃろうと、社交界に噂が流れる。
ジュエルは、LUCYは、ボスウェルとも親交はある。
あやつがしぃちゃんを選ぶだけの度量があれば、薫には辛い思いをさせるが、ドウミョウジを助けてやろうと考えておった‥… だが、あやつはしぃちゃんを切り捨ておった。紙くずのように捨ておったのじゃ‥…
儂は、全力でしぃちゃんを薫の伴侶として迎える事に決めたのじゃ。
雪乃も約束通り協力をしてくれる事になった。
儂の決意は誰にも覆させない。
たとえ、それが薫であろうともしぃちゃんであろうとも‥…
儂は決めたのじゃ。筒井の名にかけて、筒井の名誉にかけて決めたのじゃ。
棗に連絡をする。
しぃちゃんと薫が一緒に暮らし始めた事を話すと、驚くと同時に大層喜びおった。
その後に、道明寺の事を話す。
「亜矢から聞いて、しぃちゃんには好きな男性がいるんだろうとは薄々思っていたんだ‥‥ そうか、道明寺だったとはね。でも彼はボスウェル家の娘と結婚するそうじゃないか?」
「あぁー。しぃちゃんは捨てられたんじゃ‥‥儂は、しぃちゃんを薫の伴侶として迎えようと決めた。棗はどうじゃ?」
「大歓迎だよ。宝珠もいいや、LUCY も栄の考えと同じ考えをもって行動する。」
「では‥…」
儂等は、道明寺を、ボスウェルを いずれ力になろうとするであろう、花沢を美作を西門を大河原を 雁字搦めにする計画を立てる事にしたのじゃ。
儂等の意のまま行動するのであれば、共栄の道を与えよう。
儂等と袂を別れようとするならば破滅の道を‥…
TSUTSUIの力を持って、全世界に散らばる門下生に発令する。
儂と共に栄えて来た者達に協力を仰ぐ。
ジュエルの、LUCYの力を持って、ジワリジワリと追いつめる。
儂等は決して道明寺は潰しはしない。
ジュエルがLUCYが手を貸そう‥…
瞬く間に、道明寺は立て直すことじゃろう。
だがそれは、儂等の手のうちに入った事を意味するのじゃ‥…
たった一人の少女のために‥…
世界経済が動く‥…
パチリッ
また一つ駒が進む‥…
*****
「つくし、朝だよ‥…」
いつもの朝が始まる。
同じに見えて、同じではない朝が始まる。
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