明日咲く花

花より男子の2次小説になります。

ケサランパサラン 03 司つく

得体のしれないフワフワとした何かが目の前を漂う。
掌を広げれば、俺の掌にフワリと乗る。

「何だコレ?」フッと息を吹きかける。
息を吹きかけた瞬間、何故か愛する女の顔が浮かび、愛する女の幸せをただただ願ってた。

フワフワしたものは、もう一度風に乗り開け放された窓から飛んで行った。

* **
約束の4年をもうじき終える頃、親父の具合が最悪に悪化した。共に道明寺HDの株価もだ。
財閥立て直しの為にと政略結婚の話が、重役連中から次々に舞い込んで来た。

有り難い事に、お袋は首を縦に振らなかった。その代わり
「5年で会社を建て直せ」それが出来ないのなら、責任もって政略結婚を受け入れろと命が出た。

死ぬ気で、それこそ寝る間も惜しんで働いた。我武者らに働いた、
連絡をおいそれと出来る状態じゃない場所にも行った。気が付けば‥牧野に連絡も取れずに半年1年と時が過ぎていた。
1本の電話をかける時間もなかったのか?そう問われれば弁解の余地もない。
ただ、牧野の声を聞いちまったら崩れそうだった。
あいつとの日常を得る為には、今連絡取るべきじゃないと判断したのだ。

その間にあいつが他の男と? いいや、俺にとっての唯一の女があいつだけのように、あいつにとっての唯一の男は俺だけだ。
そんな変な自信に支えられて、俺はその時出来る事だけを黙々とこなした。

ただただ黙々と。一日でも一秒でもお前と共に過ごす未来を手に入れる為に。

全てが整い、やっと、やっと日本に帰れる。真っ先に牧野に連絡を入れる。
繰り返されるのは、《この電話は電波の届かない‥》無情な声のみ。
メールは、返信のへの字もなく‥‥
そりゃ‥そうだ。怒ってて当たり前だ。
だがな、5年を3年半で切り上げたんだ。

仕方がないから、直接あいつの元へ行く事にした。
剣崎グループを訪れて商談を交わした後に、さり気なく話題を牧野に持っていった。
ラクダ顔の剣崎は、直ぐさまあいつの部署に連絡を入れた。俺、ワクワクし過ぎてトイレに立つ振りをして、あいつのオフィスの直通電話に連絡を入れていた。
くくくっ‥

久しぶりに聞く牧野の声に‥‥幸せを感じながら部屋に戻った。
ラクダが何やら色々喋ってるが‥‥もう何も聞こえない。もう何も見えない。
俺が見つめているのは、目の前のドアだけだ。

コンコンッ とノックの音がしてドアが開かれる。
ひょろりとした男の後ろに、牧野が立っている。
俺の方をチラッと見た後、すました顔をしたかと思ったら、今度は、ラクダを見ながらクスリと笑う。

俺の視線は、いいや俺の全てはあいつに釘付けだ。
牧野の眉間に皺が寄る。うんっ?皺が寄る。
そりゃそうか‥‥3年半だもんな。

挙げ句の果てに、首を傾げて
「‥‥はぁ‥べつに、嬉しくは‥」
一瞬にして、周りの空気が張りつめる。

「プッ、アハハッ‥‥」
見かけは、すげぇ色っぽく綺麗になったっていうのに
ちっとも変わらない。

やっぱ、好きだ
やっぱ、たまらなく愛おしい。
やっぱ、お前は俺の全てだ。

目の前の女を、すぐにでも抱きしめたくて仕方ない。

どんなに怒ろうとも、どんなに文句を言われようともかまわない。お前の声が聞こえて、お前の顔が見れて、お前を感じられるのなら、それさえも幸せだ。

俺は、お前が好きだ。
3年半閉じ込めていた思いが、一気に溢れ出す。


ケサランパサラン04 6時更新予定です。
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4 Comments

asuhana  

yukikoさま

司、よくやったでしょ?
そうなのよぉー そうなのよぉー
よくやったのよぉー
がんばった。まぁ、きちんと連絡取ればもっと褒めてあげたけどね(笑)

2016/08/29 (Mon) 15:32 | EDIT | REPLY |   

asuhana  

kachi様

おっ、ですよねぇー 3年半って長いですよねー

2016/08/29 (Mon) 15:25 | EDIT | REPLY |   

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2016/08/29 (Mon) 04:31 | EDIT | REPLY |   

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2016/08/29 (Mon) 00:20 | EDIT | REPLY |   

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