バカ言ってるんじゃない 22 司つく
「道明寺君、朝から38回目の溜め息ですよ」
「あっ、はい。すみません‥‥ハァッーー」
たった半日なのに‥‥つくしがいないと思うと寂しくて寂しくてたまらないというところなのか?
心ここにあらずの返事をして、もう一度大きな溜め息を吐いている。
百瀬室長‥‥もといコードNO.008は、自分の恋をぽわわぁ〜んと思い出していた。
百瀬社長、もとい結花さん恋に導いてくれたのは‥実は実は‥‥この目の前の司だったりする。
本人、憶えちゃない‥‥と言うよりも、当時会った事もないんだけどね、巡り巡って司のお陰で恋をした百瀬夫妻。
だから、AtoZのプロジェクトを引き受けたのだ。
だから、司を幸せにしてあげたいと心から願ったのだ。
だから、牧野つくしなのだ。
工さん、温かく司を見守る。
心の中で、“頑張れ道明寺司!” なんて、応援しながらね。
一方、百瀬社長と言えば、ビシバシとつくしを使ってる。
「牧野、次はこっちの写真撮って」
「はい」
「その次は、こっち。で、今まで見た中での問題点、疑問点は?」
「あっ、はい‥‥」
次々と飛ぶ命令、質問に一生懸命で、ついつい
「ちょっと、道明寺‥‥そっち‥あっ」
「牧野、道明寺は、いないわよ?これで4回目よ」
「す、す、すみません」
「道明寺が居なくて寂しい?」
百瀬社長、いいや結花さんが聞けば‥慌てて首を振りながら
「いやいやいや。そんなことないです」
なんて、慌てて‥必死に弁解してる。
隣がスースゥしてたまらない癖して。会いたくてたまらない癖して。
1日、2日、3日‥‥ここに来て4日目の朝。
つくしは、気が付く。
美味しい食事をとっても、美しい景色を見ても‥‥隣にいつもの誰かさんが居ないと何だかとっても寂しい事に。
食事をとりながら一杯飲んだつくし‥すっかり酔っ払って、惚気話をする結花さんに向って
「あたしも、道明寺に会いたい」
そう叫んだ後に、パタンと倒れて眠りの国へ。
結花さんが、嬉しそうに微笑んだのをつくしは、知らない
***
ピロリーン
いつものように、朝のメールが届く。
おはよう。いい朝だよ。
起きた?今日は、4日目Cバージョンでね。
ちゃんと朝ご飯食べて行くんだよ。じゃあね
その後に、
なんだか‥‥道明寺に、会いたいなぁー
暫し呆然としてから呟いた。
『会いたい? 俺に? 牧野が?』
猛然と‥まさしく猛然と
返信を返す間もなく‥‥南の島へと向う。
工に連絡を入れてなかったのに気が付いたのは、雲の上。
『やべっ、無断欠勤なんて‥‥バレたら、牧野に怒られる‥‥』
南国の島に着いてみれば、アロハシャツ着た工に迎え入れられる。
にこやかに、楽し気に。
「おはようございますは?」
色々色々考える前に去来した思いは、多分‥‥安堵の思い。怒られないで済むっていうね。
南国の島々の花が、咲き乱れている。
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