スカートの中 09 類つく
着いた先は‥‥病院。
「一応、検査した方がいいらしいからさぁ」
「じゃぁ、あたしはココで」
「っん?ダメだよ。つくしも付き合わなきゃ」
全くもって意味が分からなくて、キョトンとすれば
「だって、赤いハートが目に入ってきて、それで木にぶつかったんだよ。だから当たり前だろ?」
えっ?
あたしのせい?
えっ?
それって慰謝料請求とかされちゃう?
なんて不安が過ったのと。
「ねっ」
可愛らしく言う勢いに釣られて、コクンッと頷いていた。
ハァッーーーー
今思えばあの時の頷きが悪かった。
検査入院にあたしは付き添う事になって、心配して駆けつけた梨々香さんに何故か気に入られて‥‥あははっ、あたしの運命は変わっていったのだから。
MRIを撮る間‥‥何度も帰っちゃおうかと思った。
思ったら、病院長がやって来たんだ。
「類様より伺っております。この度は‥」
挨拶されて応接室に通されて、色とりどりのスウィーツが並べられいて
「ゴックン‥‥」
なんて美味しそうなのぉー、あっ、あれは噂のスーパーモンブラン。
うんっ、あっちは、ルタオのチーズケーキ
うひょ、うひょ
「どうぞ、どうぞ、お幾つでも」
「いいんですか?」
「勿論でございます」
なんて言われて、ついつい食べながら待ちゃった。
気が付いたら目の前に、ウットリするような美人さんがいて‥これまた話し上手で、聞き上手。とっても気が合って
「本当に美味しそうに食べるのね。そうだ今度一緒にスウィーツ巡りしましょう」
「はい。喜んで」
なんて返事をしちゃってた。
ガチャリッ ドアが開いて
「つくし、お待たせー、アレッ?母さん」
「類君、大丈夫だった?」
「あっ、うん」
親子と解った瞬間‥‥なんか、なんか嫌な予感がした。
蛇に睨まれた蛙?
鷹の前の雀?
なんか、マズイ事になりそうな‥‥
「あ、あっ、あの‥‥お母様だったんですね?あっ、あっ、あの‥じゃぁ、あのぉ‥学校もありますし‥」
身内の人も来てることだしもう‥帰ってもいいよね?と立ち上がった瞬間
「つくし、はい」
右手が差し出されて、手を繋がされそうになった
「えっ?」
驚いたあたしは、バランスを崩してテーブルに躓いて、キャビネット目掛けて倒れこみ、その振動で、飾ってあった額縁があたし目掛けて落っこちて‥‥
「あっ、危ない」
花沢さんが、あたしを守ってくれた。
「‥‥花沢さん‥?」
額縁の角が花沢さんのおでこに当たって‥‥綺麗な額から、タラリと血が流れた。
「花沢さん、花沢さん、大丈夫ですか?」
「っん?花沢さんじゃないよ。類だよ。類」
そう言い残して2度目の脳震盪を起こして、倒れた。
あたしを抱きしめてる類を見て、あの日の事を思い出しもう一度、溜め息を吐く。
「ハァッーーー」
類のお陰で、あたしは怪我をしなかった。
類が動いた瞬間に、類の前髪がフワリと揺れた。
美しい顔についた額の傷跡が目に入る。
ズキンッ
あたしは、指先を傷跡に這わせた後、傷跡にそぉっとキスをする。
この傷跡のせいで‥‥
あたしの人生は、変わったんだ。
類が瞳のがあたしを見つめる。視線が絡み合ったあとに、クシャリとあたしの髪の毛を撫でたあと、自分の傷を触って
「クククッ、名誉の勲章」
微笑んだ。
ポチッとお願いします♪

♥ありがとうございます。とっても嬉しいです♥
- 関連記事